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【自治トピックス】No.27

 いわき駅での乗り継ぎ時間は20分弱しかなかった。朝食もランチも食べていなかった私は改札口を入ると、一目散に売店に向かった。帰りの特急でご当地の駅弁を食べようと思ったのだ。既にお昼をかなり過ぎた時間帯だったが、お目当ての駅弁が一つ残っていたので、それを手に取ってレジに向かった。先客の背後、ややソーシャルディスタンスを保って並んでいると、背の低い老婆がレジに近づいてきて、先客が清算している真横に、トンとお菓子の束を置いた。並んでいる私が見えないのだろうか。驚くべきことに、店員は先客の対応が終わると、目の前の私を差し置いて、この老婆の会計を始めた。当たり前のようにお金を出す老婆。それを受け取る店員。「おい、ばあさん、こっちが先だよ」と言いそうになって、体が固まった。

 ああ、私は見えていないのか。透明人間なのか。

 私には時折、こういう経験があるのだ。ファミレスに入ったのに、店員が誰も出てこない。居酒屋のカウンターで店員を呼んでも、誰も振り向かない。お店に入ったのに、「お客様は?」とキョトンとした顔で言われたことがある。「神様だよ」と答えそうになる。酷いときは、自動ドアが反応しないこともある。センサーにとっても、私の存在感はゼロなのだ。

 老婆が清算を終えて、満足そうにお菓子を抱えて、売店を出ていくと、店員があれ?という表情で私の存在に気づいた。そして、あたかも老婆の後ろに並んでいた客であるかのように応対を再開した。

 ああ、見えたんだね。良かった。今、私は見えているらしい。

 さて、今週もニュースのキュレーションから。

インテグラル法律事務所に所属する弁護士の小沢一仁さんは、「このFacebookページの情報だけでは断定できませんが、電話をかけて接種をやめさせるという効果を狙っているようにも見えます。仮にそうなら、これが正当な行為なのかどうか疑問を持たざるを得ません」と語る。

「言論行為としてどこまで許されるのか。あえてみんなで電話をかける必要性・合理性があるのかどうかがポイントになると考えます」

「このページには『電話攻勢はすごく効果があるようです』『今日は●町に皆で電話しよう!みたいなノリで、数十件、数百件から色んな意見の電話があれば~』『小中学生への接種が、非難の電話の嵐で一旦ストップされました』といったことも書かれています。電話という行為は相手に負担をかけるものです。誰かが電話を取り、対応する時間をとられる。それによってその他の自治体業務を停滞させ、本来業務に支障をきたす可能性は十分に考えられます。単に声を届けるだけなら署名等の方法もあり、あえて電話という方法を選択する必要性・合理性があるのか疑問です。自治体側に業務上の負荷を与えることにより、接種を止めさせることが目的であるようにも見えます。仮にそうであれば、威力業務妨害が成立する可能性があると思います」
「近年、抗議の意志を示すために、いわゆる電凸がされる事例が増えていますが、する側にとっては一件一件の電話でも、受ける側はその全部に対応しなければならないので、過大な負担を負うことになります。その結果、署名活動等と比較して、民事上・刑事上のトラブルに発展する可能性が高くなると思われます。目的を達成するために、皆で電話をかけるという手段が適切なものなのか、行動に出る前に考えた方が良いのではないかと思います」

 私は、抗議や意見表明を行う権利を簡単に侵すべきではないと思う。ただ、最近の安易なハッシュタグを使った意見や主張の集約が乱発されているネット空間で、そこに頼った運動に果たしてどれだけの説得力があるのか疑問を感じている。

 リアルな集会やデモには意外に手ごたえを感じないものだ。空に向かって鉄砲を撃っているような気分になることもある。だが、ネット空間は簡単に同じ考え方を持った仲間たちが集まる。我こそは多数派だと勘違いする。なによりも、自分の影響力を過信する。小さな役所なら、ほんの少しの人たちが電凹すれば、電話はパンクする。業務が停滞する。それをあたかも世論であるかのように勝ち誇ることがいかにむなしいことか。

 例えば今回、反ワクチンの主張だから問題になっているが、では逆に「ワクチンを二の次」とワクチン接種を急がない自治体があったらどうだろうか。やはり少なくない人が同じように役所に〝電凹〟するのではないだろうか。正義の電凹はしてもいいが、不正義は電凹してはならない。そういう都合の良いダブスタに陥ってはいないだろうか。

 彼らは間違っている。だが、右翼だろうが、左翼だろうが、現在のネット空間はそういう行為を正当化してきたではないか。

 金沢市は、福井県がコロナ対策として打ち出した「福井モデル」を参考に調べた。4月1日~5月19日の陽性者664人から無作為抽出した200人のうち、濃厚接触者に感染させたのは84人。その中でマスクをしないで会話していた81人が計148人に感染させたとみられる。
 一方、マスクを付けて会話して感染させたのは3人。市によると、この3人についても意識せずに外した瞬間があったり、マスクの着け方に不備があったりした可能性があるという。

 保健所がこうした積極的な疫学調査を行うことで、個人の行動をどう変容させたらいいのかが分かる。結果自体、今さら感はあるが、前述の陰謀論者の「マスク不要論」の反論にはなる。福井県や金沢市のように、人口が少なく、新規感染者数が少ない自治体だからできること。東京や大阪の保健所でやれと言われても、果たしてできるかどうか。

 知事は、海外では外出禁止令も発出されているのに対し、日本では外出自粛や営業時間短縮を要請している現状を説明。「無視している店では営業時間は自由、人もいっぱい入って酒も飲んでいる。われわれはクラスター(感染者集団)が起きたらどうするんだと苦悶(くもん)してきた」と訴えた。
 さらに「人権の尊重は平時においては素晴らしいことだが、パンデミック(世界的大流行)という有事にはスイッチを切り替える仕組みになっていない。根本的な問題が浮き彫りになっている」とし、より強い措置も踏まえた本格的な議論を求めた。

 日本では海外のようなロックダウンはできない。だから、こういう考え方はあっても不思議ではないだろう。実際、「まん延防止等重点措置」を適用しても、好き放題に営業している居酒屋を見ると、自粛要請だけでは限界があることは理解できる。

 しかし、それを神奈川県知事が言ってしまうことに違和感しかない。神奈川県は今回、あえて緊急事態宣言を発出しないで、まん延防止等重点措置のまま東京都と同じく酒類の提供自粛を求める内容を飲食店に課している。しかも、ゴールデンウィーク中に大勢の観光客が集まる江の島を要する藤沢市は、重点措置の適用がGW後に遅れた。

 つまり、黒岩知事は全県に緊急事態宣言を発出する覚悟もなく、かといって人流が増えることが確実な地域にまん延防止等重点措置を適用する覚悟もなかったのだ。全てが後手後手だった。その黒岩知事が今になって、自粛逃れしている飲食店に、さらなる規制をかけたいというのだ。

 そういう御託は、やることやってから言えと。

 手札を使い果たしたのならともかく、まだ伝家の宝刀すら抜いていないではないか。

 神奈川県では新型コロナウイルスの新たな感染者が、8日までの3日間連続で前の週の同じ曜日を上回りました。
 この状況について黒岩知事は「大きな衝撃を受けた。首都圏の他の都県と比べても神奈川だけ取り残されているようだ。原因が分からず、非常に厳しい状況だ」と述べました。
 そのうえで、まん延防止等重点措置の期限が今月20日に迫っていることについて「なんとかして感染状況を抑え解除の方向に持っていきたい」と述べました。

 GW中の江の島や箱根での人流の増加をほったらかしにしておいて、「原因が分からず、非常に厳しい状況」という認識なのが理解できない。

 逆に、GWは感染に気をつけながら箱根や江の島で楽しんでください、その代わりGWが終わったら再び規制しますよと言っていたなら分かる。当然、その代償は感染者数として出てくる。その結果がそのまま今の感染者数なのではないか。

 殿、何をとぼけておられるのか。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、東京都三鷹市の「三鷹の森ジブリ美術館」が苦境に立たされている。長期の休館が続いて入場料収入が大幅に落ち込んだことから、大規模修繕用の積立金を取り崩して維持管理費に充てているという。設置者の市は運営費の寄付を募る方針だ。
 寄付はふるさと納税の仕組みを活用し、7月以降に仲介サイトの「ふるさとチョイス」を通じて募る計画だという。

 ジブリ美術館の設置者が東京都三鷹市というのは、案外知られていないのではないか。私はジブリアニメのファンというほどではないが、こういう取り組みには協力していきたい。

 それにしても、そもそも定員制の美術館なのに休館する必要があったのか疑問だ。東京都がエビデンスに基づいた要請を行っていないから、こういう美術館がピンチに陥るのだ。

 大杉覚・東京都立大法学部教授(行政学)は「新型コロナの影響で、全国の自治体で専決処分が増える中でも、東京都の多さは際立っている。特に昨年7月の条例改正は、議決を経るべきだった」と疑問視。「都議会として、臨時会なども開かず、都の姿勢を認めるのは自らの存在理由を否定しているようなものだ。非常時だからこそ、行政が暴走しないか、厳正なチェック機能の行使が求められる」と指摘している。

 専決処分が大好きな小池知事。では、チェック機関たる都議会はなにをしているのかという記事。調整会議があって、執行機関からの説明は受けているが、非公開で議事録もない。自民党も最近は与党化してきており、都議会のオール与党化が色濃くなってきている中での都議選だ。

 そもそも、民主党第1党時代に都議会が「通年議会」の方針を出しておいて、ここまでほったらかしていた。都民ファーストの会が先陣を切って改革すべきだった。

 今回の都議選で、最大会派への返り咲きを期す自民党は都民ファを「チェック機能を果たしていない」と批判。8日の公約発表会見では会派役員が「ただヨイショでごまするだけならいらない」とこき下ろした。
 小池氏の元秘書で都民ファ代表の荒木千陽氏は本紙の取材に「知事には現場の声を直接伝えている。信頼関係の上でチェック機能も提案機能も果たしている。負け犬の遠ぼえとしか聞こえない」と語る。

 荒木代表、ぜひ都議会に戻ってきてください…(笑)

 東京五輪・パラリンピックのパブリックビューイング(PV)を巡り、東京都内全ての開催を中止する方向で都が検討に入ったとの報道について、小池百合子都知事は11日、「ファクトではない」と否定し、この報道機関に抗議文を出したと明らかにした。会見で答えた。

 中止しないの?…(震)

 東京五輪・パラリンピックで子どもたちに割り当てられている「学校連携観戦チケット」について、さいたま市教育委員会が約2万3千人分の辞退を決めた。市教委への取材でわかった。埼玉県はチケットを希望するか再確認しており、市教委は今月初め、観戦を見合わせる意向を伝えた。
 しかし、観客を入れるかどうかや、競技の当日に公共交通機関を使って移動できるかなど、6月に入っても「不確定なことが多い」として、すべて辞退することにしたという。

 満員の観客を入れるのはほとんど不可能なのだから、こういう無料枠は減らしていくのが得策だと思うが。

 競技会場で2時間程度、五輪競技を観戦したからといって、感染リスクが高まるとは思えない(そもそも観客と選手の接触など平常時もあり得ないから)。むしろ移動手段こそが重要で、大会組織委員会が最適解を出してあげればいいのにと思う。

 むしろ、教育委員会側からすれば、政治問題にされる前に手を打っておいたのかもしれないが。

 男性が公用車を運転する際、対向車に村民が乗っていれば深く頭を下げてあいさつするよう強要。男性があいさつをしない時には「なんで気がつかないか」「責任をどうとるか」などと複数回叱った。
 2時間近くトイレ休憩を許されずに「膀胱(ぼうこう)がおかしいのか」などと言われたほか、長時間の飲み会にたびたび参加を強いられ嫌みを言われ続けたこともあった。男性が運転中にマスクを着用していることについて「お前がマスクしていることがわからん。地元でマスクしなくてもよいと思っている」などと言われた。「懲戒にする」「今度査問委員会をする」といった発言もあった、としている。
 男性は2回、村総務課長にパワハラを相談したが、課長は「村長は言っても聞かない人だから」「診断書が出されたら休んでくれとしか言えない」と取り合わなかったという。

 熊本県水上村でのパワハラ問題。最近、お役所のパワハラ問題の報道が増えていると思う。報道を受けて、村議会で緊急質問が行われたが、報道機関の撮影は会議規則を理由に拒否したという。

 今後も、これまで以上に行財政の健全化を図りながら、色々な計画を精査し、4つの柱を中心に進めてまいります。

1 子どもと高齢者・障がい者に安全で優しい村づくり

2 活き活き働くことのできる村づくり

3 共生(自立)の村づくり

4 村行財政の健全化による村づくり

 時代は「平成」から「令和」へと変わり、新しい時代の幕開けを村民の皆様と共に歩んでまいりたいと存じます。今後とも村民の皆様のご支援・ご協力をよろしくお願い申し上げます。

 村長は、2期目の中嶽弘継氏。HPを見ても、どこの誰なのか全く分からない。

 神奈川県大和市の金子勝前副市長(64)が辞職理由を「大木哲市長(72)による市職員へのパワハラ行為」と主張している問題で、大木市長は10日の記者会見で、金子氏を相手取り、名誉毀損きそんのため慰謝料など1100万円の損害賠償と、一般紙などでの謝罪広告掲載を求める訴えを横浜地裁に起こしたと明らかにした。

 これもお役所でのパワハラ案件。前出の熊本県水上村は人口も少なく、小さなお役所だったが、これは神奈川県大和市で立派な都市。しかも、市長が選任した副市長が市長のパワハラを理由に辞職するという前代未聞の出来事。

 市議会もこの問題を巡って調査特別委員会を設置。9日の会合で、両者に事実関係を確認する質問書を送り、職員にアンケート調査を行うことなどを決めた。

 こちらは議会がしっかり動いている。

 成果主義の民間企業はパワハラが起きやすいが、お役所の組織も意外に閉鎖的で、上司の資質次第でパワハラ職場は生まれやすい。最近は〝身を切る改革〟とか言って、職員たちも迅速な成果を求められることが多く、心身を病んだり、退職に追い込まれることもある。

 とはいえ、市民に選ばれる首長がパワハラということになるとめんどくさい。それはつまり、訴えを起こすこと自体に政治性が帯びてしまう。多くの職員は4年後に落選してしまうことを願いながら耐えてしのぶのだが、こういう首長はなかなか落選しない。

 解職請求(リコール)に関する審査申し立てを群馬県選挙管理委員会が棄却したことを不服とし、元草津町議の新井祥子氏(52)が県選管を相手取り、裁決の取り消しを求めた裁判で、東京高裁(深見敏正裁判長)は9日、新井氏の請求を棄却した。
 判決では、地方自治法に町議らの署名運動を禁じた規定はないことなどから、町議らによる投票への圧力が働いたとする新井氏の主張を退けた。

 リコール署名自体が適正に行われたのであれば、結果を覆すのは厳しいのではないか。ただ、こうしたリコールが「あり」だとしてしまうと、地方の保守的な議会で、リコール署名のハードルが低い(人口が少ない)自治体なら、気に入らない議員はリコールで辞めさせればいいという考えが広がってしまうことには危惧を感じる。議員としての素質は選挙で問えばいい。

 静岡県知事選の投票が8日後に迫った12日、社会調査研究センターが県内の有権者を対象にインターネット調査を行い、情勢を探った。4選を目指す現職の川勝平太氏(72)がリードし、自民党推薦の新人、岩井茂樹氏(53)が追う展開。3割弱が「まだ決めていない」と答えており、情勢は変わる可能性がある。
 争点として最も重視する政策を尋ねた回答では「リニア中央新幹線問題」が32%でトップ。「新型コロナウイルス対策」21%、「景気対策」19%、「社会保障・福祉」12%と続いた。

 川勝氏が勝つのは当たり前として、争点としてトップがリニア中央新幹線問題だというのは驚き。それでもなおかつ、川勝氏がリードしているわけで、世論を味方にしているから強気に出られるのだろう。

 今月六日に投開票された愛知県半田市長選で、初当選した久世孝宏さん(47)陣営の開票立会人が開票の様子を動画撮影し、陣営事務所へ生中継していた。陣営は「開票状況を知りたかった。中継が盛り上がると思った」と説明するが、識者などからは「立会人の役割を逸脱した行為」と批判の声が上がっている。

 傍聴席からかと思ったら、なんと現場にいた開票立会人が生配信していたという(笑)

 これはやはり、立会人は撮影NGにした方がいいのではないか。ただ、開票の様子を別の方法で配信することは悪いことではないと思う。広く住民に目にしてもらって、不正が行われていないことを実感してほしい。

 諸派5人は、氏名を届け出た一方で選挙掲示板には候補者名を示さずに党派名のみを記すポスターを貼った。ポスター掲示責任者名などから、諸派5人は「古い政党から国民を守る党(旧NHKから国民を守る党)」の関係者とみられる。

 こういう形で、当選する意思のない人たちが民主主義の制度をおもちゃにしている。笑い話では済まない。衆院選や参院選で、有権者がちゃんと審判を下していただきたい。

名古屋市教育委員会が小中学校に配布したタブレット端末約7万台の使用を一時中止することが、10日分かった。端末の起動履歴などを記録する「操作ログ」の収集をしていたが、利用目的を保護者らに告げておらず、市の個人情報保護条例に違反する可能性が高いため。

 相変わらず、教育委員会はキモい。操作ログを覗いたからといって、児童・生徒が守られるわけでもない。悪質なサイトにつなげば、もうつながっているわけで。教育委員会がリアルタイムにモニターしてくれるなら別だが。結局、自己満足にしかならないのではないか。


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