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【自治トピックス】No.19

 先週、急に思い立って、横浜スタジアムのプロ野球公式戦を見に出かけた。横浜DeNAベイスターズ対読売ジャイアンツの一戦。ベイスターズは、久しぶりの生え抜き監督が就任したというのに、開幕以来連敗続き。それでも、ファンは最終回まで熱心に応援していた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、座席は1席ずつ空けて、定員の50%以下に抑えている。大声での声援や音出しは認められておらず、別室からのリモートで応援歌が流れていた。

 浜スタは屋根のない野球場だ。今となっては少数派になってしまったが。私は子どものころ、祖父に連れられてナゴヤ球場で観戦した覚えがある。あの頃、中日は弱かったが、球場はいつも満員だった。そこでいつも楽しみにしていたのは野球ではなく、アメリカンドックだった。今ではコンビニに行けば当たり前のように売っているが、当時は神社の夜店くらいでしか手に入らなかった。たっぷりとケチャップを塗って、小さな口でかぶりつき、コーラでのどを潤す。それがたまらなく快感だった。

 浜スタの売店を巡ってみたが、今はシャレオツな飲食物ばかりで、露店感が満たせない。それでも、屋根がない浜スタの野暮ったさは気分転換にはもってこいだった。

 さて、今週も東京五輪の話題から。

コーツ委員長は、東京大会について「史上最も準備が整った大会だ。組織委員会の働きは際立っていて『最も安全な大会になる』と断言できる。一般の人たち、選手、参加者すべての安全を守るための対策が講じられる」と述べました。
 そのうえで「大会は必ず開催され、7月23日に開幕する。人々が協力し合うことで感染症の世界的な流行に人類が打ち勝ったことを示す大会となるだろう」と述べて大会の予定どおりの開催を断言しました。
 五輪開催により新型コロナの感染が拡大した場合の責任の所在について、コーツ氏は「対策の責任は日本政府や東京都にある。IOCの役割としては、彼らと協力して感染拡大の可能性を最小限に抑えるためにあらゆることをしている」と語った。大会の中止については「全く検討していないし、日本や東京都、日本オリンピック委員会(JOC)もしていない」と強調した。
 デュビ五輪統括部長は、大会中の感染予防策などをまとめた「プレーブック」の改訂版を28日に公表すると明らかにし、「検査で陽性反応が出た時の対応や自主隔離などについて示す」と語った。6月の最終版では、各競技や会場ごとの感染予防策を含めるという。

 アスリート貴族たちがまだ駄々をこねている。コーツ委員長の「感染症の世界的な流行に人類が打ち勝ったことを示す大会」というフレーズは安倍晋三前首相の受け売りだが、〝感染症を収束させて五輪を開く〟と〝感染症がまん延していても五輪を開く〟とでは、かなり大きな差がある。日本はワクチンの接種が遅れていて、今夏もマスクなしでは外に出られないだろう。そういう現実を無視して、ただやりたいと駄々をこねられても、国民としては困ってしまう。

 しかも、「対策の責任は日本政府や東京都にある」と他人事である。お前らが五輪やらせてくれっていうから、やらせてやってんだ。やることやってくれと。こんな連中が牛耳っているから、五輪など大迷惑なのだ。

 では、東京都はどうしようとしているのか。

 東京都の小池百合子知事は18日夜、新型コロナウイルスの新規感染者数が再び増加傾向にあることに関し「先手先手の対応が不可欠だ。(政府への)緊急事態宣言の要請も視野に入れて、スピード感を持って検討するよう、職員に指示した」と述べた。都庁内で記者団に語った。

 緊急事態宣言の解除から1カ月程度で、次の緊急事態宣言の検討を始めなければならないという状態。前段階の「まん延防止等重点措置」の効果が出ていない。そのことに対する検証がなされていないのに、また緊急事態宣言である。思い出してもみてほしい。東京の感染者数の微増傾向は、緊急事態宣言の延長期間中から既に始まっていた。現在も、その増加の途上である。再度、緊急事態宣言を発出しても結果は変わらない。いったい、どうするつもりなのだろうか。

 このなかで小池知事は都内でも、感染力が強いとされる「N501Y」の、変異があるウイルスが急増しているとしたうえで「人出が高い水準で続くと、感染者数が今後、爆発的に増加してもおかしくない」と述べ、強い危機感を示しました。
 そして小池知事は「『もう疲れたよ』と言わないでください。第4波と言われている感染の波は非常にきつい」と述べました。
 そのうえで、都と県の境を越える移動や出勤者数の3割への抑制など、徹底して人の流れを減らすための対策に協力を求めました。
 そして「毎日300万人が通勤や通学で都内との往来がある。特に都外に住む皆さんは、エッセンシャルワーカーなど、どうしても出勤が必要な人以外は、可能なかぎり東京に来ないでください」と重ねて呼びかけました。

 緊急事態宣言は出ていないが、東京には来るなと。実質的なロックダウンみたいなものだが、都にそんな権限があるわけでもない。果たして朝夕の通勤客は減っているのだろうか。何かを呼びかけるなら、それに対応した新たな施策が必要だ。「来ないでください」と言われて、「はあ、そうですか」と出勤しないで済むなら、誰も苦労しない。

 東京都の小池知事は、16日の会見で記者団から「知事は以前『コロナに打ち勝った証として東京大会を開催したい』と話していた。新型コロナの感染が続き都民の間には不安もあるが、コロナ禍で大会を開催する意義は何か」と問われました。
 これに対して、小池知事は「東京大会は多様性と調和を発信していく。アントワープ大会が第1次世界大戦とスペインかぜが猛威を振るった直後に開かれ、世界の気分も変えたという歴史もある」と述べました。
 そのうえで「今、重点措置の期間に感染をいかに抑えられるかが大きくものを言うからこそ皆様にお願いしている」などと述べました。

 どうすれば五輪を開催できるのかという観点はなくて、五輪開催が前提条件になっている。結局、五輪を開催するんだから、都民ががまんしろということでしかない。この期に及んで、過去の歴史しか持ちだせないのであれば、かなり悲観的にならざるを得ない。

 一般の生産年齢人口(15~64歳)を含めてワクチン接種を完了するのは、来年までかかると思います。来年開催でも観戦にマスクは必要でしょう。それでも国民がワクチンでプロテクトされた状態で行うのと、大きなリスクを背負いながら行うのと、どちらがいいのか。焦って今夏、やらねばならないことなのか。オープンに議論するべきです

 そして、〝8割おじさん〟こと西浦博教授の提言。その通りだと思う。必ず開催することを前提とする限り、日本国民を犠牲にして大規模イベントを強行するということにしかならない。最低限、国民の大多数が二度のワクチン接種を終わらせることが条件ではないか。

 この状態で五輪開催を強行し、秋の解散総選挙に突入すれば、困るのは自民党ではないか。その頃には日本では新型ウイルスがほぼ変異株に置き換わり、これまでのような緩い緊急事態宣言では感染増を止められなくなっているだろう。欧州並みのロックダウンが必要になるかもしれない。そんな最中に総選挙である。背筋がゾッとしないだろうか。

 東京より先に緊急事態宣言に突入しそうな大阪はというと。

 元東京都知事の舛添要一氏は、本誌・週刊ポストの『47都道府県知事「感染対策」の通信簿』(2020年8月7日号)では、吉村知事のコロナ対策を高評価していた。しかし、現在では吉村知事を「典型的なポピュリスト」と評する。
 「この1年間、テレビで何度も共演しましたが、本来なら記者クラブで言うべきコロナの感染者数をワイドショーやニュース番組で発表するなど、人気取りのパフォーマンスが目立ちます。緊急事態宣言やまん防でも、彼が成果を焦った政策が裏目に出て、感染が急拡大した。ポピュリズム政治の成れの果てが現在の大阪なのです」

 舛添氏の言う通りなのだが、これは今も昔も同じこと。吉村知事が高く評価されたコロナ禍の初期でも似たようなものだった。当時と今で、何が違うのか。それは、彼は自分の立場が危うくなっていると察知すると、とっさに逆転ホームランを狙おうとするのだ。一つひとつヒットで点を稼ぐのではなく、ここで一発逆転してやろうという心理が働く。これが厄介なのだ。

 その典型がイソジン会見や、緊急事態宣言の解除、まん延防止等重点措置の適用である。

 吉村知事が情報を発信すると、すぐに維新信者から「吉村マンセー!」と称賛の嵐が集まる。だから、本人は気持ちよい。表情は生き生きとする。だが、追いつめられると、彼の視線は宙を舞う。落ち着かない。すると、野球で言えば、大振りしたり、可能性の低いスクイズで点を取ろうとする。だが、元々、大阪の医療資源は豊富ではない。そういう現実と向き合わずに逆転ホームランを狙っても、すぐに化けの皮がはがれてしまうのだ。

 ポピュリズム政治であることは否定しないが、それだけでは済まない彼特有の問題がある。本来、ベテランの政治家や側近がそれをカバーできればいいのだが、困ったことに大阪維新は似たもの同士でカルト政治に躍起である。

日野市長選挙の開票結果です。
大坪冬彦、無所属、現、当選、3万1873票
有賀精一、無所属、新、3万188票
自民党と公明党、国民民主党、それに地域政党の「都民ファーストの会」が推薦した大坪氏が、元市議会議員の有賀氏との接戦を制して3回目の当選を果たしました。

 前回も書いたけれど、本来なら現職が負けるはずのない選挙。ところが、副市長のどす黒い事件が明らかになって、想像以上の苦戦を強いられた。

 同時に行われた日野市議補選(欠員3)は、4人の争いで、自民、共産、無所属の新人が当選。立憲民主の新人は落選した。

 2位に滑り込んだ共産新人の善戦が目立つ。3位の無所属新人は都民ファーストの会の地元都議が推薦した候補だ。立憲民主が苦戦したのは、日野市政の歴史的な経緯もあるだろう。

 この補選は7月の都議選の前哨戦的な意味合いもある。日野市選挙区の定数は2で、自民と都民ファの現職が立候補する予定。過去に共産が議席を獲得していた選挙区なので、風の吹き方次第では波乱がある。立憲民主票の大半が共産に流れれば、2議席目は共産だし、都民ファ現職に半分でも流れれば、都民ファ現職が滑り込むことになる。公明票の出方もカギを握る。

 読売新聞社は25日投開票の名古屋市長選について、世論調査と取材を基に情勢を分析した。4期目(5選)を目指す現職の河村たかし氏(72)がやや先行し、新人で前市議の横井利明氏(59)が追う展開だ。有権者の約3割は態度を明らかにしておらず、情勢は変わる可能性がある。
 自身が率いる地域政党・減税日本の推薦を受ける河村氏は、自民支持層の5割弱、無党派層の4割弱に食い込んでいる。自民、立憲民主、公明、国民民主が推薦する横井氏は、公明支持層の7割、立民支持層の5割弱を固めた。自民支持層は4割、無党派層の支持は2割にとどまる。

 やはり、現職有利。元名古屋市民としては恥ずかしい限りだ。名古屋にはネトウヨのシンボルがいるのに、リベラルのシンボルがいない。これは大阪と似ている。議会の最大野党である自民党の市議が出ても、「反河村」の旗印がはっきりしないのだ。

 例のリコール署名不正問題は、民主主義の根幹にかかわる重大な問題で、リコール署名の旗振り役である河村たかし市長の責任は重い。しかし、それが市民の共通認識にはなっていない。

 むしろ、河村氏は自らのネトウヨ遊びが逆に保守層の支持を集める結果になっていることをよく知っている。だから、忘れた頃に突然、南京大虐殺がどうのこうのと言い出す。それを名古屋市民はずっと許容してきたのだ。

 署名簿の一部をめぐっては、去年10月に佐賀市内で、集められたアルバイトが名前や住所が書かれた名簿を書き写したとされていますが、署名活動を行った団体の幹部で元常滑市議会議員の山田豪氏が「書き写された署名にみずから指印を押し、偽造に関わってしまった。500枚くらいの署名用紙に指印を押した」などと周囲に話していることが、関係者への取材でわかりました。
 山田元市議は2年前日本維新の会から立候補し、初当選を果たしましたが、問題発覚後のことし2月に離党し、15日「一身上の都合」を理由に議員を辞職していました。
 一方、団体の田中孝博事務局長は取材に対し、改めてみずからの不正への関与を否定したうえで「山田氏から直接聞いておらず、内容が正しいかどうかはお答えできません。内容を精査して今後なるべく早く説明の機会を設けます」とするコメントを出しました。

 この期に及んで、NHKが署名簿の「一部」と表現しているところが気になる。署名簿の「大半」が正しい。

 それにしても、この元常滑市議も日本維新の会所属。いったい、名古屋の維新の会はどういう経過でリコール署名に加担しようとしたのだろうか。しかも、署名の偽造に関わっているのだから、尋常ではない。元々、維新にはネトウヨ崩れの議員が少なくない。しかも、時折、チンピラみたいな議員が紛れ込んでいて、ある日突然、逮捕されたりする。

 身を切るのは結構だが、それより先に党としてやることがある。

 ユースク取材班は、名古屋市長選の告示前の3月26日〜4月1日、LINE(ライン)の友だちに「理想の市長は?」と尋ねるアンケートをしました。「現実の候補予定者は除く」との条件で質問したところ、計642人から回答が寄せられました。86%が愛知県からの回答でした。
 第1位は愛知が生んだ三英傑の一人、織田信長で41票。理由としては、「力強さ」「新しいことを取り入れた」「経済発展に力を注いだ」といった声が寄せられました。「後から言われても」と指摘されそうですが、取材班も何となく予想していました。本当、本当です。
 第2位は元大阪府知事でコメンテーターとしても活躍する橋下徹さん。38票でした。「話が納得できるし、分かりやすい」といった趣旨の理由が多く見られました。第3位は22票の現大阪府知事、吉村洋文さんでした。

 ユースクというのは、LINEを通じた読者からの情報提供を基に取材する取材チーム。そこで、LINEで理想の市長をアンケートで聞いた。

 ああ、河村たかし大好き市民だけのことはあるなあと思う。少々、ネトウヨ風を吹かせても、名古屋弁でぎゃーぎゃー言っている、あのおじいさんが大好きなのだ(笑)

 元名古屋市民としては、がっくりしてしまうが。

 しかし、この調査の驚くべきは、7位の本山政雄元名古屋市長。本山さんは晩年は赤旗にも登場したバリバリの革新市長。1期目は社共共闘だったが、後は自民党も含めたオール与党となった。名古屋五輪の招致に失敗した市長としても名を残している。

 歴代市長で唯一名前がトップテンに入った本山さん。当時、どれだけ人気が高かったのかが伺える。

 競技用けん玉の生産量日本一を誇る山形県長井市は緊急事態宣言が全国で発令された昨年4~5月、外出自粛生活の運動不足解消などを目的に抽選で1000人にけん玉をプレゼントした。アンケートに答えた応募者のうち100人に米沢牛を贈るサービスも付けた。市民以外も対象だった。
 秋田県小坂町は秋北バス(大館市)の大館-盛岡間の大型高速バスを、町の観光地の写真などでフルラッピングした。鮮やかな外観のバスが県境を越えて町をPRしている。
 岩手県八幡平市は山間部のテレビ難視聴地域の一部で、共同受信施設の改修を実施する。これまで財政面から改修に二の足を踏み、岩手県や国に求めた補助金制度創設も実現していなかった。担当者は「改修後は新型コロナ関連の情報がテレビで得られるようになる。幅広く使える交付金は懸案の課題解決にもつながり、ありがたい」と打ち明ける。
 宮城県村田町は第3次補正予算の交付金を活用し、公園の遊具やウオーキングコースの整備など計約3000万円の事業を計画。町議会3月定例会では妥当性に関する質問が上がった。
 ある町議は「コロナと関連性が薄かったり、費用対効果に疑問が残ったりする『グレーゾーン』の事業が散見される。本当に困っている人への支援は十分なのか」と首をかしげる。

 国が使い道が幅広い交付金を「コロナ対策」の名目で全国の区市町村にバラまいた。これは東日本大震災でも同じ。使い道が幅広いから自治体としてはありがたいが、あまりにも使い道に縛りがなくて、ほとんどコロナ対策とは関係ないことに使っている。

 そもそも、感染症対策は都市部ほど人が密集していて、金がかかる。ところが、過疎化している地方にも交付金は届くわけで、もらったはいいものの、何に使うの?ということになる。だから、けん玉になってしまう。

 それなら、いっそ一律定額を国民に配った方がいいのではないか。けん玉になるより、はるかに役に立つ。

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