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【自治トピックス】No.43

 10月1日から緊急事態宣言が解除され、休業していた飲食店が再開したり、アラカルト料理を中止していた飲食店が通常営業に戻っている。1日に行きつけのお店はいくつか顔を出したが、店主やスタッフは一様に安心した表情だった。様々なお店を見ていると、アルコールに頼らずに料理で攻めている店舗は強いと感じる。逆にアルコールでしか成立しない店は、政府や自治体の休業要請に従うこと自体、意味がない。営業したもん勝ちである。コロナ禍の初期であればともかく、1年半以上も過ぎて、様々な経験や知見を蓄積しているのに、いまだに居酒屋いじめでしか感染者数が減らせないというのは、率直に言って政治家や行政マンの勉強が足りないという一言に尽きる。もしくは、打算でしかコロナ対策を考えていないのだ。

 写真は、久しぶりに訪れた行きつけのお店で、今年初の松茸を焼いてもらい、いただいた。10月だというのにやたら暑いが、季節はもう秋だ。もう少し気温が下がると、土瓶蒸しが美味しくなる。それまで、感染増にはならないでほしい。

 さて、週初めのニュースの切り抜きから。

 東京都の小池百合子知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」の荒木千陽代表は3日、都内で会見し、国政新党「ファーストの会」を設立すると発表した。衆院選に向けて、東京を中心に擁立を目指す。
 小池氏は立候補しないといい、新党の代表に就任する荒木氏は「私たちから出馬の要請もしていない。小池知事の応援や相談をさせていただく。さまざまに連携をさせていただきたい」と語った。党名について「小池百合子特別顧問とともに決めさせていただきました」という。
 荒木氏は「立ち位置は保守中道」と宣言。「保守本流路線から大きく離れていく政党や、また選挙目当てに左旋回を強めていく野党。この国の分断すら懸念される中で、強い危機感を持って立ち上がらせていただいた。左右に偏らない、国の真ん中をいく」と決意を述べた。
 ただ、新党の綱領は発表されず、役員の名簿は「いま発表できるのは代表のみ」と、急ごしらえの感はぬぐえなかった。

 やはり、今週最大の爆笑案件は都民ファーストの会の国政新党設立である。しかも、新党名が「ファーストの会」と来ているから、牛乳を飲んでいる方は鼻から吹き出さないように気をつけていただきたい。

 綱領もない。政策もない。でも、候補者を公募するからよろしく。四半世紀にわたり様々な記者会見を見てきたが、こんな見切り発車の新党設立は初めてだ。コロナ禍で支持率が低迷する菅首相が早晩追い詰められて衆院解散に至ることは事前に予想できたことで、準備不足の感はぬぐえない。

 まあ、というか、都議選でまずまずの議席を確保したことで、調子に乗ったのだろう。数字的にはどう見ても敗北だが、底を付かなかったことが本人たちを勘違いさせたのだ。「本人」というのは、都民ファーストの会の一部の小池シンパたちのことである。選挙の最終盤に荒木代表が中野駅前で小池知事とお手てつないで歩いただけで、30議席以上獲ってしまうのだから無理はない。

 いきなりYouTubeに映像をアップした「希望の党」とは大違い。

 まずは旗印をはっきりさせることだ。衆院選は政権選択選挙だ。自民党と連携するのか。それとも、非自民・非共産・立憲の保守中道政権なのか。はたまた、旧希望の党と同様、自民党にかわる政権を目指すのか。元々、立憲民主や共産の支持層を削るような存在ではないので、脅威になるとすれば、国民民主や維新の会なのではないか。

 政治家になりたいゴロツキは山ほどいるので、資金さえあれば候補者は集まるだろうが。

Q 現職の国会議員への働きかけは?
A 現在のところ、政党要件を満たしていない。志を同じくする方であれば政党に限らずさまざまに協議をさせていただきたいと思っている。(国民民主党とか知事出身の国会議員と話は?)一部報道を見させていただいたが、具体的にファーストの会から具体的にこのような連携でと要請をしていることは現在ない。さまざまに協議の場を設けてほしい、街頭でも都政にとどまるだけでなく東京と国のパイプをつくってほしいとの強い声を受けているので政党、個人と協議させていただきたい。とはいえ解散までわずかですのでスピーディーに話させていただき、私たちの理念をしっかり実現できる方向で進みたい。

 埼玉の上田新党との絡みがどうなるのか。おそらく松沢成文もそこに乗るつもりなのだろう。それなら、小池知事が出てこないと、いかにもバランスが悪いと思うが。

「今回の動きは、都ファだけが主導しているものではないようです。国民民主党や、前埼玉県知事の上田清司参院議員(無所属)が結成する“上田新党”も連携を模索し、鳩山由紀夫元首相のファミリーも参加するという情報が流れています。ここのところ、荒木代表や鳩山ファミリーの側近が国会議員会館を出入りする様子が目撃されているから、荒唐無稽な話ではないのでしょう」(永田町関係者)
「出所不明の“候補者リスト”には鳩山由紀夫氏本人の名前があった。選挙区は東京2区。さらに、長男の紀一郎氏が同4区。故・鳩山邦夫氏の長男・太郎氏は同14区だという。鳩山家の後ろ盾である『ブリヂストン』の関連会社がスポンサーについたとの情報も流れています。最終的に断られたようだが、明石市長の泉房穂さんにもオファーがあったそうだ。そのほか、複数の元職の名前も挙がっています」(同)

 この手の鳩山家の政治ごっこに必ず名前が出てくるジャーナリストの姿が見えないのだが……。

 上田氏も二階氏と新進党時代に懇意だったという。小泉俊明氏も取材に対し、こう語った。

「上田新党の党名はまだですね。ネットなどで公募することも考えている。路線は、優しい保守、寛容な保守。今の自民党は強い人が勝つ保守じゃないですか。第3極はそこと一線を画す。会社経営者や、もうとある省の官僚を辞して上田新党から出馬準備している候補者もいます」

 候補者として2人の大物の名前も浮上している。鳩山由紀夫元首相と名古屋市の河村たかし市長だ。

 東京2区から鳩山氏もしくは鳩山氏の親族が出馬するのではないかともいわれる。旧民主党時代、小泉氏は鳩山氏の側近の一人だった。

「鳩山先生の出馬が話題になっているのは承知している。鳩山先生が政治家として『不完全燃焼だった』と話しておられ、まだまだ舞台があればやってみたいという意向がある。総理経験者ですから、鳩山先生や親族については、上田氏とのトップ会談になるでしょう」(前出の小泉氏)

 一方、河村氏は9月末に上田氏や前田氏と名古屋市内で会談。新党結成について話し合ったという。河村氏を直撃した。

「わざわざ名古屋まできてもらい、70歳をすぎているワシに誘いをいただけるというのはありがたやだわな。上田氏は衆院議員時代からの盟友だから、協力したいとは思う」

 上田新党は上田新党なりに動いている。「ファーストの会」よりも現実的な動きに見える。選挙の顔は小池百合子でも、党の顔は上田前埼玉県知事の方がうまくいきそうな気がするが。

 党執行部の国政進出の決断に対し、都民ファのある都議は「都議選で都民から信託を受けたのは都政を良くするためで、国政に進むためではない。都議選の3カ月後に国政進出を狙うのは節操がなさ過ぎる」と、不満を語った。

 都議選で本当に惨敗なら、国政進出どころではなかっただろう。中途半端に生き残ったから、こうなっている。要するに、若い政治家たちにありがちな、龍馬ごっこがやめられない〝落ち着かない人たち〟なのだ。

「小池知事も関与しないとおっしゃってますし、姿、形が分からないのでコメントできない。連携を何かにするというのはない」と切り捨て「選挙のための互助会のような、小細工はやめた方がいいです」と、目先の“離合集散”には批判的だった。

 維新は焦りが見える。本当に小池知事が衆院選の顔としてお出ましになれば、それなりに風は吹く。東京の維新勢力は弱い。吹き飛ばされる。さっそく東京の音喜多氏が反応しているのも頷ける。

 荒木代表の稚拙な政治ごっこの範囲ではリアリティーが全く感じない。「ファーストの会」がどうするではなく、上田新党や河村たかしなどの国政での大きな流れの一角に「ファーストの会」があると考えると、少しリアリティーが出てくる。それでも、政党要件を備えるのは簡単ではなかろうが。「ファーストの会」はあくまで駒の一つなのだ。

ファーストの会は現在、候補者公募を行うなど衆院選に向けた態勢がまだ整っていない。また、野党でも、各党の選挙協力が完全に整ったわけではない。岸田氏にとっては、こうした「新興勢力」や野党の準備が整う前に、解散総選挙に打って出ようとする戦略も垣間見え、岸田自民党による「新党つぶし」ではないかとの声も出ている。

 自民党が警戒するほど新党が強いのであれば、衆院選は面白くなるが、果たして…。

 東京都議会の都民ファーストの会と立憲民主党は29日、長期欠席する都議の報酬を減額させる都議員報酬条例の改正案を議会運営委員会の理事会に共同提案した。無免許運転で人身事故を起こした木下富美子都議(板橋区選出)が辞職勧告に応じず、体調不良を理由に議会を欠席し続けていることを受けたもので、開会中の第3回定例会での成立を目指して他会派と調整する。

 改正案では、逮捕、勾留された都議が議会を欠席した場合には報酬全額の支給を停止し、病気などで2回の定例会を続けて全て欠席した時は半減させる規定を設けている。ただし、出産や新型コロナウイルス感染などの場合には適用しない。

 何度も指摘していることだが、木下都議をターゲットにして、一般的に適用できる条例改正をすべきではない。それは結果として、都議会の多数派によって意図的に濫用される恐れがあるからだ。木下都議が辞職に応じないのであれば、有権者がリコールという手段で彼女を追い落とすことは可能だ。また、4年後に審判を下すこともできる。

 新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言が全面解除されたのを受け、全国知事会は2日、オンライン会議で国への提言をまとめた。感染の第6波が「必ず到来する」として、第5波で感染者数が急増・急減した原因などの分析を求める一方、地域経済の再生に向けて、政府の需要喚起策「Go To キャンペーン」を感染状況に応じて再開することなどを盛り込んだ。

 GoToトラベルを再開させたいのであれば、まずは全国知事会議をオンラインではなく、リアルな会場で実現すべきだ。旅行をしてもいいというなら、知事自身も都道府県域をまたいで移動していいはずである。にもかかわらず、知事自身がオンライン会議をやっていたら、やっぱり人流を増やしてはいけないのね、ということになる。

 その上で、第6波の到来を受け入れる。第6波に負けないような医療体制を今のうちに整えるのだ。

 神奈川県の黒岩祐治知事は2日、新型コロナウイルスに伴う緊急事態宣言解除後、初めての週末を迎えた中で「ここで一気に緩んでしまうとリバウンドが心配だ」として基本的な感染防止対策の継続を呼び掛け、感染防止と経済活動の両立について「段階的に進めていきたい」と話した。

 全国知事会がGoToを再開しろと提言した会議の後に、リバウンドを心配する神奈川県知事のダブスタぶりには呆れる。

 徳島県の飯泉知事は1日、県議会本会議で次期衆院選の徳島1区(徳島市など)に立候補しない意向を表明した。飯泉氏は自民党県議らの要請に応える形で出馬を検討していた。徳島1区には自民党現職の後藤田正純氏が出馬する予定で、飯泉氏が立候補すると、自民は分裂選挙となる見通しだった。
 しかし、知事選の候補者の一人に三木亨参院議員(自民・比例)の名前が挙がると、参院選で選挙区合区の経緯がある自民党高知県連や参院が事態を問題視。自民県議らは一転、国政転身を見合わせるよう飯泉氏の説得を始めた。

 徳島県知事が衆院選に転身しようとしたが、後継者として名前が挙がった人物があまりにもひどくて、現職にやっぱり出ないでとお願いしたというアホみたいな顛末。

 党利党略そのもの。

 大阪府議会で大阪維新の会など主要3会派が、北朝鮮による拉致問題の啓発活動を推進する決議案を開会中の9月定例会に共同提案することが3日、関係者への取材で分かった。若い世代の理解を深めるため、関連アニメの上映などに積極的に関与する姿勢を打ち出す。今月中に採択した後、府内全市町村議会での決議採択も視野に入れており、被害者奪還の機運を全国に波及させる狙いがある。

 こういう決議のことを、〝オナニー〟と言います。

 コニカミノルタは7月、職員の業務量や作業の無駄を可視化できるサービスの提供を始めた。他の自治体の取り組みも確認でき、パートナー企業と連携しながら作業マニュアルの整備やペーパーレス化といった効率化策を提案する。今月中に自治体DXの専門子会社を設立、今年度100自治体での導入を目指す。地方銀行などへのサービス展開も検討する。
 人工知能(AI)ベンチャーのコージェントラボ(東京)は、手書きの書面を読み取ってデータ化するシステム「Tegaki(テガキ)」を開発。大阪府八尾市では、コロナ禍で殺到した給付金申請の書類をデータ化する作業の効率化を実現した。同社は「(今後も)紙による申請は残り、記録として保管される公文書も増える。文書からの情報抽出という領域でDXに貢献したい」と意気込む。

 前者が本当に〝働きぶり〟を評価してくれるのか疑問。職員の労働強化につなげたいのであれば、管理職が直に頑張ればいいだけだ。後者の「Tegaki」は面白そう。どうあがいても紙による申請から逃れられず、デジタル化が中途半端なお役所にとっては救世主になりそうだ。

 DXという横文字だけで、団塊の世代である左巻きのおじいちゃんたちは発狂してしまいそうなので、あなた方が楽になれますという説明が必要だ。

 任期満了日が約半年ずれている神奈川県大磯町長と同町議の2選挙を同日実施するよう求めた町民からの2件の陳情が30日、同町議会で採択された。
 同町は1954年、旧国府町との合併を契機に選挙日程が7カ月ずれた。このため、町長選に現職町議が立候補し、落選した場合も半年後に町議に返り咲きできることから地元では「大磯方式」とも呼ばれた。2006年の町長選で敗れた現職が半年後の町議選で当選したケースもあった。

 別にいいではないか。何がいけないのか。現職町議を町長選で落選させるのは有権者、町長選で落選した候補者を町議選で当選させるのも有権者。それが許されないのであれば、町議選で該当者に審判を下すべきで、それができなかった有権者が町長選と町議選を同一日にしろというのは、随分勝手に思えるのだが。

マイナンバーカードの健康保険証としての利用について、厚生労働省は、トラブルのため先送りしていた全国での本格運用を、今月20日から始めることになりました。

マイナンバーカードの健康保険証としての利用は、ことし3月、一部の医療機関で先行して運用が始まりましたが、医療機関で患者の情報が確認できないなどのトラブルが相次ぎ、当初予定されていた3月末からの本格運用は先送りされていました。

厚生労働省は、システム面でのチェック機能を強化するなど対応を進めた結果、データの正確性が担保されたとして、今月20日から、全国の病院や薬局などで本格運用を始めることになりました。

 なんだか、ひっそりと始まった感じがする。健康保険証だけマイナンバーカードで利用することのメリットってあるんだろうか。支払った自己負担額やおくすり手帳、電子カルテなど、様々な情報にアクセスできなければ、メリットを享受できないと思うが。

 任期満了に伴う東京都武蔵野市長選は3日に投開票が行われ、無所属で現職の松下玲子氏(51)が、いずれも無所属新人で医師の鹿野晃氏(48)=自民、公明推薦、元市議の深田貴美子氏(62)の2人を破り、再選を果たした。
 松下氏は保育園の待機児童ゼロの実現など1期目の実績をアピール。子供の権利条例制定などを公約に掲げ、立民、共産など国政野党の支持も得て、選挙戦を有利に展開した。

 あまりにも当たり前の結果だ。落選する要素がゼロである。

 意味不明なのは、いったんは「支持」していた国民民主党が選挙期間中に取り消すという愚行をしたことだ。

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 国民民主党都連が「松下市長が共産党と書面による協定を交わしたから、支持を取り消す」と言い出したのだ。

 選挙結果から分かるように、国民民主党が支持するかどうかは松下市長の選挙結果には何ら関係ない。どちらにせよ、ぶっちぎりだ。

 松下さんが都議選で民主党公認として、定数1の武蔵野市選挙区で自民党現職を破って当選したとき、共産党は独自候補を立てている。共産党が支援しているかどうかは、松下さんにとっては大きな問題ではない。彼女はどこの政党が推していようが、定数1で勝ち抜いてきた人だ。元々は落下傘候補だったが、なぜか武蔵野市内では絶大な人気を誇る。むしろ、当選する松下市長に、当選後に絡ましてほしい政党が群れているだけだ。

 そこで、他の政党を出し抜いて、どうマウントを取るのかは、まさに政治力の賜物だろう。国民民主党にそれだけの政治力がなかったのだ。だから、拗ねて支持を取り消した。

 あんた、ばっかぁ?

 と言いたくなるのだが。

 最後に。

 青ヶ島村に建立されている「還住像」の話題。

 都心から南に360キロ、伊豆諸島の最南端にある東京都青ヶ島村。人口172人の全国最少自治体で、住所に番地はなく郵便物は氏名だけで届くという。役場のそばには奇妙な銅像が立ち、地元では「青ヶ島のモーゼ」と敬われている。調べてみると、像は過酷な島の歴史を背負っていた。

 その銅像は村役場や小中学校がある坂道にあり、ふんどし姿で舟の上に立ち、右手を上げている。青い海と空を背景にたたずみ、思わず目を奪われてしまう。台座の碑文には「還住像」と書かれていた。

 手がかりを求めて、近くにある村立図書館に向かった。青ヶ島島史をめくっていると、村教育委員会の幹部が「全島民の帰島を実現させた名主・佐々木次郎太夫の像で、『青ヶ島のモーゼ』と呼ばれているんですよ」と教えてくれた。

 青ヶ島は、言ってみれば火山のカルデラ火口の中に集落があるようなもので、戦後、大規模な噴火がないまま今日に至っているのは、「たまたま」「偶然」でしかない。かつては噴火によって全島民が八丈島に避難した歴史もあり、そのときの帰島(還住)を実現したのが、この像の人物だ。

 四半世紀、都政の専門紙に携わって、結局、行けなかった島である。機会があれば、チャレンジしたい。



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