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無いものの存在

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2019年11月28日に右足を切断したことで体験した幻肢痛をきっかけに身体のこと、アートのことを綴る日記「無いものの存在」です。
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2020年9月の記事一覧

[無いものの存在]_29:普通足は持たない

[無いものの存在]_29:普通足は持たない

夏の間にたくさん汗をかいたせいか断端がだいぶ細くなってきた。早ければ年内に本義足の制作に入るかもしれないのだけど、断端はリバウンドすることもあるらしいのでもう少し様子を見てみる。

断端が細くなって義足のフィット具合が変わったせいか、最近つまずきそうになることが少し増えた。転びはしないのだけど、義足が予想に反して放り出されるような、相棒に意表を突かれる瞬間がある。これは自分としては結構小気味好いの

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[無いものの存在]_28:ゲンシとアートを行き交う技術

[無いものの存在]_28:ゲンシとアートを行き交う技術

非支配の対処を考える
幻肢。幻視。原子。原始。
ときの首相は原子力発電所の事故を「アンダーコントロールにある」と言っていたが、そう簡単に支配下におけるゲンシなんて無いだろうに。
一般的にネガティヴに捉えられるもの、例えば僕で言えば「身体障害」と呼ばれるようなものに対して人は極度に距離を取りたがってはいないだろうか。もちろん危険なものに対しては動物的な直感で距離を置くことがあるのはわかる。しかし、危

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