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半導体製造装置メーカー業界の現状と今後

 半導体製造ラインでは、そう大きくない規模でも1000台にも及ぶ装置の台数が必要で、その半導体製造装置の市場規模は、2023年に10兆5,000億円に足しているとされています。この装置の種類を分けると、露光装置、レジスト塗布現像装置、薄膜成膜装置、エッチング装置、ウェット処理装置、イオン注入装置、CMP装置、メッキ装置が上げられます。これらの製造装置を供給できるメーカーは、世界でも限られており、売り上げ順位で列挙していくと、以下となります。
1.        Applied Materials (AMAT米国):薄膜成膜装置、CMP装置、メッキ装置
2.        ASML(オランダ):露光装置
3.        Lam Research(米国):エッチング装置、薄膜成膜装置、
   ウェット処理装置
4.        東京エレクトロン (日本):レジスト塗布現像装置、エッチング装置、  
   薄膜成膜装置、ウェット処理装置
5.        SCREENセミコンダクタ―ソリューションズ(日本):
   ウェット処理装置、ジスト塗布現像装置
6.        Kokusai Electric (旧日立国際電気 日本):薄膜成膜装置

 2023年は、半導体市場の需要の踊り場となっていますが、2024年以降は回復に転じるとの見方が一般的です。新たなニーズとして、5G移行やクラウドコンピューティングなどの展開が予定されていることに加え、引き続き自動車のEVシフトや自動運転の実用化で、半導体デバイスへの需要の増大は続くでしょう。また、AIを搭載した革新的なIoTサービスの拡大により、更に半導体の需要が高まるものと考えられています。この需要の見込みは、今後5年で倍の市場に拡大し、2030年には150兆円にも達することが予想されており、半導体製造装置の市場規模も20兆円を超えるレベルに到達すること期待されます。
 先端半導体を生産するための工場では、初期の設備投資だけでも1,000億円程度が必要です。この内、露光装置、レジスト塗布現像装置、薄膜成膜装置、エッチング装置だけでざっくり半分の投資が必要でしょう。露光装置では、最先端のEUV(極紫外線露光装置)露光装置はレジスト塗布現像装置も併せて1台100億円を要し、これ以外の露光装置は10億円/台の金額になります。即ち、露光関係で数百億円に達すると思います。残りの100億円ずつを薄膜成膜装置、エッチング装置で分けるというイメージとなります。上述のように半導体製造装置市場規模が、20兆円となった場合、露光関係でその内5~6兆円を、薄膜成膜装置、エッチング装置で7~8兆円を分け合うというイメージが思い浮かびます。
 この市場規模の倍増に対しての対応として、ASMLは、EUV(極紫外線露光装置)のHigh-NA化の開発を進め、同装置の生産能力を拡大捨て行くことと一世代前のDUV(深紫外線)露光装置の生産能力も格段に拡大することを進めるとしています。Applied Materialsは、新製品の創出により年間55%の売り上げ伸長を目指し、更に、製造装置に必要な消耗部品のサブスクリプションビジネスの拡大を目指すとしています。一方、東京エレクトロンでは、東京エレクトロンは、研究開発に積極的に取り組むために、2023年から5年間で1兆円以上の研究開発費を投入し、半導体製造装置の新製品開発を推進して行くとしています。当然、競合も新技術・新製品の開発は手掛けていくでしょうし、これで打ち勝っていけるのでしょうか? 2023年度の売り上げが2兆円を超えるレベルですので、仮に装置1台当たり10億であると仮定すると、年間2,000台の出荷相当が予想されます。この台数は単純割で日当たり5.6台の出荷が必要で、もし装置単価が大きく変化しないと考えた場合、2030年には日々10台の出荷となり、これだけの所要を満たせる先端製造装置の開発が達成されるのか? 開発が達成された場合でも、生産能力、フィールドサービスの対応人員の倍増が必要となるでしょう。今からの施策実施が必要でしょう。


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