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【読書】Ken Follett - Winter Of The World/ケン・フォレット 凍てつく世界

巨人たちの落日に続く第二弾、凍てつく世界を読み終えました。ケン・フォレット氏による10年ほど前の作品になります。前作は読むのに少し苦労しましたが、登場人物への馴染み、感情移入ができるようになってきたことや、複雑な関係が次の世代でそうなるのか、という驚きなどもあり、いいペースで読むことができました。


概要

前作は第一次世界大戦の開戦前から終戦まででした。今作は予想通り第二次世界大戦前〜中〜終戦後までのお話になります。

欧州の大国ドイツが第一次対戦後の経済的困窮からヒットラーの台頭を許し、全体主義、社会主義、民主主義が入り乱れる混乱の時代です。ロシアのグレゴーリィ・ペシュコフ、アメリカのレフ・ペシュコフ、デュアー、イギリスのウィリアムズ姉弟とフィッツハーバード、ドイツのワルターとモード、彼らの子供たちが繋がりながら歴史を語る手腕は見事としか言いようがありません。

さて登場人物と関係を整理しましょう。

主な登場人物と関係

ロシアのペシュコフ

グレゴーリィはロシア革命への貢献からソヴィエトの将軍になっています。レフの落とし子、ヴォロージャ(ウラジーミル)は情報部、いわゆるスパイ活動にその才能を発揮して活躍します。もう一人、カテリーナとの間に生まれた妹アーニャはとんでもないやつと結婚して話がややこしくなります。

アメリカのペシュコフ

レフは妻オルガとの間にデイジー、愛人マルガとの間にグレッグをもうけます。デイジーは金持ちの家に生まれたことで、スノッブな暮らしに憧れ、英国王に拝謁することを夢見て、やがてボーイ・フィッツハーバードと結婚します。

グレッグはレフにそっくりで天性の女たらしなところもありますが、頭脳は明晰。やがて政治の世界に入っていき、そこで原子爆弾の開発を目の当たりにするなど、深いところへと入っていきます。

グレッグ、ヴォロージャ、デイジーがレフの子供で男子は二人とも非嫡出子。グレッグには息子ができますがそれも非嫡出子となかなかの家系であります。それだけではないですね、みんなとても頭がいい。勉強もそうだけど生きる力を感じさせてくれます。

イギリスのウィリアムズ姉弟、フィッツハーバード

エセルとビリーの姉弟は二人とも議員になっていました。
エセルにはフィッツとの間に生まれたロイドと、バーニー・エクウィズとの間に生まれたミリーがいます。ビリーにはデイヴィッドという息子がいます。

フィッツハーバード伯爵には二人の子供がいます。ボーイとアンディです。アンディは性格の悪さをバッチリ受け継ぎ、クズっぷりを発揮しますが、空軍ではしっかり活躍します。彼はレフとオルガとの間に生まれたデイジーと結婚しますが…

デイジーはボーイとの間に子供が生まれず、ロイドとの間に本当の愛とは何かに気づき、彼との結婚を望みますが、ボーイはロイドと異母兄弟であることを知り、離婚は絶対してやらない、と言い切ります。

ペシュコフ・ブラザーズもなかなかですが、フィッツハーバード・ブラザーズもなかなかの出来の良さですが、この辺りはまあ小説ということで楽しみましょう(^o^)

デュアー家

アメリカのデュアー家、ガスとローザには二人の息子がいます。ウッディ(ウッドロー)とチャック(チャールズ)です。戦争はヨーロッパで起きていましたが、やがて日本の参戦から彼らにもいろいろなことが起きます。

弟チャックは軍に入り、ハワイへ赴任します。その彼を家族が尋ねたとき、パールハーバーの襲撃が起きます。激しい戦闘機からの銃撃を浴びながらも命からがら逃げおおせた一家でしたが、ウッディの婚約者だけは運わるく弾にあたり、絶命します。ウッディは父親同様議員への道を歩むかと思われますが、この事件で何かが変わり、写真家を志すことになります。一方チャックはもともと暗号解読担当でしたが現場に出たいとの思いを強くし、日本との戦いに臨み、南太平洋の戦場で命を落とします。

ドイツのワルターとモード

ワルターとモードには二人の子供、エリックとカーラがいます。モードはイギリスには戻らず、愛するワルターと共にドイツを母国として離れず暮らしています。

兄のエリックはヒットラーにすっかり傾倒し、戦中は医師として従軍するもその凄惨な行為に一度は目を開かれるのですが、ロシアに囚われ、帰国後はソヴィエトの社会主義に傾倒するクズっぷりを発揮します。

ロイドと並び、本作のもう一人の主人公と言えるのが妹のカーラです。非常に聡明な彼女、意志の強さも母親のモード譲り。でも時代は彼女に医学部への入学を許さず、仕方なく看護婦の道へ。戦争中に攻め込んできたロシア赤軍たちに襲われ、大変な目に遭いますが、その時助けた孤児(レベッカ)をその後引き取って育てます。

カーラのドイツでの暮らしは非常に厳しく、辛い話が多くて読んでいて怒りや悲しみを感じること度々でした。でもモード同様カーラは強かったです。それにしてもロシア赤軍が参戦してやったことがドイツナチ顔負けの悪さ、酷さで呆れて反吐が出そうでした。

ふと感じたのですが、ヴォロージャが関わり、カーラがスパイ活動に関わるくだりがいくつか出てきますが、とてもスリリングで、ケン・フォレットを有名にした名作「針の眼」を彷彿させます。

続く….

ここまで書きましたが細かなお話は次の回で書きます。
珍しく一回で書ききれませんでした。
それくらい大作という事でお理解ください&お楽しみに。

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