提言:Twitterのコミュニティノート協力者になって「背景情報」掲載のための評価に参加してみませんか。非常に手軽です。
今回の記事は、皆さんへの提案です。Twitterで日本のユーザー向けに最近公開された機能「コミュニティノート」の協力者として手続きし、まだ掲載されていないノート候補の評価・投票に参加しませんか。
Twitterユーザーなら、下記リンクから参加できるはずです。
https://twitter.com/i/flow/join-birdwatch
手間はほとんどかかりません。協力者は匿名なので、あなたが協力者になったかどうかも含めて、他のユーザーには分かりません。協力者になる手続きをしても、失うものは特にありません。参加しない格段の理由はないように思われます。
協力者になる手続きをすると、まだ一般公開されていないノート(背景情報)を閲覧して評価できるようになります。
コミュニティノートに関して、最低限知っておくべき事
Twitterで日本ユーザーに一般開放されたコミュニティノート機能に関しては、戸惑いもあるようです。重要な点は次のようになります。
●コミュニティノート機能が「ファクトチェック」機能として紹介されることがありますが、Twitter側では「ファクトチェック」という言葉は一切使っていません。
コミュニティノート機能は、誤解を招くツイートに「背景情報」を付けることで、誤解を解くことが目的です。結果的にファクトチェック(誤情報の訂正)として機能する場合もありますが、誰かの責任で「ノートが事実である」と保証している訳ではありません。
●コミュニティノートへの掲載は、権威や専門性ではなく「匿名の協力者コミュニティの議論と評価(投票)」だけで決まります。
あなたが見て適切で有用だと思ったノートでも、協力者コミュニティの評価が少なければ掲載されません。
逆に、あなたが見て不適切で不要だと思うノートであっても、評価が高ければ掲載されます。
そこで、ぜひ上に記したリンクから協力者コミュニティに参加して、他人が書いた未掲載ノートを評価しましょう。良いノートには良い評価を与え、ダメなノートにはダメを出しましょう。誰でも評価(投票)に参加できます。
評価を繰り返すうちにランクが上がっていき、ある段階でノートを書く資格が得られます。
コミュニティノートのやや詳しめの説明
コミュニティノート機能は、イーロン・マスク氏によるTwitter買収の前、2022年の秋には完成していました。この機能は当初は「Bird Watch」と呼び、2022年10月6日に米国のTwitterユーザーに対して公開しています。下記はWashington Post2022年11月9日の記事。Bird Watchについて詳しく紹介しています。
Washington Post, 2022年11月9日
How Twitter’s contentious new fact-checking project really works
https://www.washingtonpost.com/technology/2022/11/09/twitter-birdwatch-factcheck-musk-misinfo/
日本では、2023年3月22日にコミュニティノート協力者の募集が始まり、7月6日に一般公開のアナウンスが始まりました。イーロン・マスク氏は同日、日本語でコミュニティノート開始の公式ツイートに引用RTで「どうも ありがとうございます」とツイートしています。7月6日といえば、Metaの新SNS「Threads」がローンチしたのと同じ日です。そっちに話題が持って行かれた感はありますね。
Twitterのコミュニティノートは、イーロン・マスク氏による買収以前に作られた機能なので、マスク氏の主な功績は「自分のツイートにノートが付きまくっているのに、コミュニティノート機能を廃止しなかった」ことです。
コミュニティノートの機能は、アメリカ人が好みそうな「言論の自由市場」——議論と投票で決めましょう、という発想で作られています。
自分が理解した範囲でざっくり説明すると、まずノート作成者は匿名です。最初のうちはランクが低く、ノートを作ることはできません。他人のノートを「役に立った」「立たなかった」と評価します。適切な(多数派に近い?)評価をしているうちにランクが上がっていきます。
ランクが上がるとノートを作れるようになります。ノートは誰でも書けるので、Wikipediaの編集合戦のように、「誤解を招くので背景情報を付けました」ノートと、「そんな情報は不要だ」と元ツイートを擁護するノートが入り乱れることもあります。
最終的には高い評価を得て勝ち抜いたノートが、一般ユーザーに見えるような形で表示されます。なので、組織票などで操作される可能性は排除できません。複数アカウント対策も心配ではあります。
コミュニティノートの妥当性は、Wikipediaとどっこいどっこいかな、といったといころです。ですが、コミュニティノートの投票権の行使は、Wikipediaの編集への参加よりずっと手軽です。
以上の説明でお分かりの通り、コミュニティノート機能そのものは価値中立で不偏不党です。協力者コミュニティの質が高ければ、コミュニティノートの質も高くなります。逆にコミュニティの質が低ければ、それなりの結果になるでしょう。大勢の多様な人々が参加してノートの執筆や評価に参加すればするほど、コミュニティノートの質は高まると期待されます。なので皆さんに参加をお薦めする次第です。
最近も、Wikipediaの「編集合戦」のように、コミュニティノート協力者の間の議論で、「ネタツイへのマジレスを不要とするノート」が掲載されたことがあります。これはちょっと笑える出来事でした。
参考情報
●コミュニティノートの公式説明
https://communitynotes.twitter.com/guide/ja/contributing/notes-on-twitter
●Twitterアカウント「役に立つコミュニティノート」https://twitter.com/HelpfulNotesJP/status/1677361332306288666
●応募方法、協力者に応募できる資格などに関する公式の説明↓
●掲載基準などに関する説明↓
(単純多数決ではなく「評価が相違することのあった協力者の間で「役に立つ」という評価が一致すること」を評価すると記載)
●「視点の多様性」に関する説明
https://communitynotes.twitter.com/guide/ja/contributing/diversity-of-perspectives
●透明性に関する説明。ランキングアルゴリズムも公開されている。
●西尾泰和さんによるアルゴリズム解説(なおBirdwatchはコミュニティノートの旧名称)。原論文へのリンクあり。
https://scrapbox.io/nishio/Birdwatch