「ファミリーパズル」 "家族の話"

春は出会いと別れの季節とはよく言われる話。

友人もそう、会社の仲間もそう、恋人もそうかもしれない。

遡ること10数年前の話だ。

僕の家族は父と母、姉の4人家族。生まれた時から団地暮らしで自分の部屋と言っても襖で仕切られるくらいの部屋で、姉が受験勉強してる傍らで弟の僕がアコースティックギターを弾いては歌っても姉は文句ひとつ言わなかった。

ご飯は家族揃って食べる。そんなルールがあったように思う。当時、遊びたい盛りの僕は朝帰りの日も少なくなかった。家に帰る時にはコソコソ帰るがやっぱりすぐバレて、よく怒られた。

姉も僕も地元の大学に実家から通っていたので、約20年間一緒だったそんな家族が初めて離れ離れになる時がやってくる。


姉が東京に就職した。


その寂しさからか家族のバランスは崩れていった。喧嘩の数が増え、僕は相変わらずの朝帰り。


このまま家族はバラバラになっちゃうのかな?


そんな時に親しかった友人の姉に子供ができたことの知らせを受ける。

そんなふたりの姉のことを思い、家族のことを思い作った歌がある。

今日は「ファミリーパズル」という曲の話。

口紅をつけて歩く街
もう住み慣れたはずなのに 
私もとうとう少女じゃなくなった
作りかけのパズルがあるの
なかなか埋めることはできないけど
狭い部屋に飾りたくて

パズルは家族のことだ。狭い部屋にいつもあったパズルはバラバラになってしまって、また飾れる日がきてほしく思ってたんだと思う。

毎日鳴っている電話 心配なのは分かるけれど
少しくらい安心して 見守ってくれないかしら

父は姉に毎日電話をしてた。毎日毎日話すことなんてないのだろうけれど声が聞きたくて、電話してたんだろうな。家族を持った今、その気持ちはすごくわかる。

ちゃんと過ごしているから
こうして過ごしているから
ねぇ大丈夫だから
たまには帰るから そのとき抱きしめて
ちょっと恥ずかしいけど

本当に抱きしめられたら恥ずかしいけれど、いっぱい抱きしめたかったんだろうな。

発車まで間に合うのかな
やっぱり寝坊したみたい
相変わらずのクセは治ってないわ
ラベンダー色の車の前で
写真を撮ったの覚えてる
額にいれて飾っているの

姉はよく寝坊をしてた。そんな記憶がある。その度に父は車で学校に送っていってた。この写真は今でも実家に飾ってある。

夜行バスに乗って
帰ってゆくアタシは
しわくちゃの手のアナタに
少しくらいは近づいたかしら

小さい時に握ってた母の手はいつもザラザラだったように思う。洗い物とかで手が荒れてたんだろうなぁ。

言いたいことは言えないし
つまんないことで泣いちゃうし
ねぇ弱音を吐かせて
アナタの前では
アナタの前だけでは
愛想笑いはさせないで

親の前で馬鹿笑いはしないけれど、そうしていたい。親だからこそ、そうしていたい。

ちゃんと過ごしているから
こうして過ごしているから
ねぇ大丈夫でしょ
今すぐ帰るから
アナタに帰るから
迎えはいらないわ

「アナタに帰る」母に返りたいってことだったのかなぁ。

大事なことを伝えなきゃ
ただいまのあとに
「ねぇアタシ、ママになるの」
ずっと抱きしめていくわ
しわくちゃの手になるまで
私のアナタのように

そんな姉ももう2児の母親になった。幸せに暮らしている。ずっと抱きしめてあげてほしい。あの頃の僕らのように。


このファミリーパズルという歌は僕の代表曲となった。何かあれば歌ってきた。姉の結婚式でも歌わせてもらったし、ライブでも必ずといっていいほど歌っている。


そんな歌を明日3月17日にデジタルリリースする。音源は2016年に録ったものなので6年前にはなるが、この先もずっと残したくて、家族に届けたくて、改めてリリースすることにしました。


これからも歌っていきます。



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