「ホープライト」 "僕が苦手な言葉たち"

僕はこの曲に出てくる言葉たちが苦手だ。
「夢を叶えよう」「信じよう」
「希望」「友情」「愛」
そんな言葉を簡単に使う歌も聞いてられなかった。

この曲を作ったのは確か20歳頃だったと思う。
あえて苦手な言葉たちを使って曲を作ってみようと思った。
それは僕自身の挑戦なのか、世間に溢れてる歌たちへの不満なのか分からないけれど、自分なりに答えを出したかったのだと思う。

今日はそんな歌の話。


ホープライト

ただ毎日毎日こうして電車に揺られながら
イヤホンから聞こえてくる綺麗事に疑問を抱いて

大学に行く時は必ずイヤホンをして音楽を聴いていた。今みたいにストリーミングでどんな歌も聴ける時代ではなかったのでお気に入りの曲ばかりを聴いていた。苦手な言葉たちを簡単に使わない、本当に大好きな曲たちを。

「夢を叶えよう」「信じよう」「希望」「友情」「愛」
イヤホンには差別のない世界が無限に広がってる

バスや電車で横に座る大学生もイヤホンをしていた。その世界ではこんな言葉たちが流れているかもしれない。イヤホンから聞こえてくる音楽には差別なんてない。

現実はこうじゃない こんな優しくない
だけど信じたい
矛盾だろうと何だろうと 僕らそういう生き物

歌を書いていくうちにこの言葉に向き合うことができたのだと思う。もしかしたらこの言葉から逃げてたのかもしれない。現実はそんなに優しくないから。でも本当は信じたかったのかもしれない。

まだ君にこの歌が届くだろうか もう諦めてはいないだろうか
いつかきっとこんなにも優しい歌が君の傷ついた心に届きますように

これが僕なりに導き出した答え。そんな言葉たちをもう僕は諦めていないだろうか。素直に受け止められたらいいのに。

窓に映る自分の顔に 通り過ぎる様々な景色
全て見切れないままに辿り着く終着点

やりたいことや見てみたい景色はいっぱいある。でもきっと全部は見切れないまま死んでしまうんだろうな。

現実はこうだけど受け止められずにもがいてる
そうそれでいいんだよ
だから信じよう 僕らには未来があることを

全部は見れないかもしれないけれど、一つでも多く見れたらと思って動く。行動する。まだ未来はある。きっと残ってる。

まだ君はこの歌を笑うだろうか 悲しみを瞳の奥に隠して
そんな君を包み込む優しい歌
だから信じてくれるかい ずっと歌ってあげるから

20歳の頃の僕は自分が好きじゃない歌を全否定していた。素直に受け止めたくないから。自分の知らない世界を見せつけられたくなかったのかもしれない。

汚れた現実から救い出すよ
震える体を
凍えた心を
強がりな君を守るから

現実は汚れてることが多いのだから、音楽に触れてる時だけは救われてもいいじゃないか。希望を見たっていいじゃないか。

ほら君にこの歌が届いたろう そして明日目覚める頃には
窓から差し込む眩しい光は 君を照らす道しるべ
希望の未来へ

この言葉たちにちゃんと向き合った時、光が照らしてくれるといいな。



この曲を作り終えた後、やっぱり苦手な言葉たちだらけだったので、初めの頃は誰かに押し付けるように腹いせのように歌ってた。

でもこの曲を好きだと言ってくれる人がいた。僕の中でこの曲へのイメージが変わっていった。

34になった今、改めてこの曲を歌うとまた違う人がこの曲に勇気づけられたと言葉をくれた。

そんな人たちに届くといいな。

2022.07.15 デジタルリリース 2ndシングル「ホープライト」


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