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日本で一番よかった都市とは?実際に47都道府県を周ってたどりついた結論

「日本で一番よかった都市はどこですか?」

上記は47都道府県を周ったあと、一番よく聞かれる質問です。そんなとき僕はいつも迷いなく力強く「佐賀県」と答えています。

たまに場所がわからないという人もいる。福岡のすぐ左隣

この回答を聞いて意外と答える人も多くいます。もちろん、日本全国どこもいいに決まってるし、日本において微妙な都道府県はありません。それはみなさんもだいたい想像できるかと。

次に高確率で「なんで佐賀県なの?」と質問が飛んできます。

その答えは簡単。期待値を大きく超えてきたから。いわゆるギャップ。恋愛でもギャップがあると燃えるって言いますよね。

ぶっちゃけると旅前は佐賀県だけ観光面でもグルメ面でも、そこまで期待していませんでした。

失礼な話だけど『都道府県魅力度ランキング2022』で佐賀県は堂々の最下位。ごめんなさい、僕も訪れるまで同意見でした。

近年は茨城県と熾烈な最下位争いをしている

「あぁ〜かわいそう佐賀県。某佐賀県出身芸人にも歌のネタにされてるし。私は絶対行かないだろうな」と思ったそこのあなた!

それは大きな間違いです。佐賀県を知らずして一生を終えれば、あなたはあの世で後悔します、絶対に。

しかし、実際に訪れてみると見どころや絶品すぎる飲食店も多数。そして、佐賀特有の大自然(異常なほど広大な田んぼ)は、日本の原風景をイヤというほど存分に味わえます。

あまりにも美しすぎて思わずシャッターを切っていた

今回は旅前の僕と同様、イマイチ佐賀県の良さがわからないと感じている方のため、多くの日本人が知らない佐賀県の魅力をご紹介します。

心してかかってください。

読み終わったあと、次の夏休みの行き先を「SAGA!」と叫んでいる人たちが、もう僕には見えています。

激うま!珍レストラン・珍グルメの宝庫

まず最初に謝らせてください。

佐賀県民のみなさん、すいません!
佐賀県は珍レストランや珍グルメがたくさんありました。もちろん、いい意味でですよっ!

日本一の秘境料理屋『魚山人ぎょさんじん

イカで有名な呼子を越えてさらに奥地、玄海町という辺ぴな場所に『魚山人』という海鮮料理屋があります。

ガチ秘境の地にある魚山人

へんてこりんな店名ですね。安心してください、変なのは名前だけではありませんから。まず、この店は通りすがりにふらりと入ることは絶対にありえません。なぜかというと店への陸路がないから。

下のマップを見てください。赤丸のところ、道が途中で切れていますよね。実は途切れた場所から店まですべて山で、舗装された道がないのです。

じゃ、どうやって行くの?

仮屋漁港という本当になにもない港から、店主が操船する漁船でしか行くことができないのです。

乗船時間は10分ほど

僕が港で待っているとき、知らないおじさんに声をかけらました。今から魚山人へ行く旨を伝えたら、「あそこは呪われた土地だから〜」と10分ほど熱く語られました。

おじさんいわく、魚山人の店主は日本最初の怨霊・藤原広嗣と伊予親王の怨念を鎮めるために山奥で墓守をしているとのこと。実は店主は奈良時代から代々、その土地で墓守をしている家系なのです。そして店がある地域はガチの聖域のため、店主の家族しか住めないらしい。

おい、なんかすげー場所だな!
正直、料理そっちのけで呪いがなんちゃらの話の方に興味を持ちました。

仮屋漁港のこの風景を眺めながらおじさんの話を聞いていた

でも今の時代、墓守だけでは家族を養えません。そのため漁師をしていた店主が「自分で獲った魚を食べてほしい」「この大自然に触れてほしい」と考えつき、魚山人を開いたとか。

話が終わるとゴミ袋に入った大量の『龍のお守り』を店主に渡してほしいと、僕にゴミ袋を託し、おじさんは去っていきました。ちなみにおじさんは店主のいとこでした。

ゴミ袋に入った龍のお守り

この龍のお守り、このときは「なにこれ?」と思っていました。店主に訊くと、呪いを鎮めるため漁港の地域住民総出で作ったという。地域信仰のような昔からの言い伝えが固く守られている地域なんだなと感じました。

ちなみに僕も一つもらったけど、なぜかキンタマと不思議な手紙がついていました……。

龍のお守り。尻尾にある真珠のようなものがキンタマ

話し込んでると一隻の漁船が。それに乗り込み、素晴らしい風景を眺めていると店に到着しました。

この漁船で店へ
お客さんは一組の夫婦と僕だけ
素晴らしい風景なので10分が短く感じる

店に入ると店内には著名人・有名シェフのサインがたくさん貼っていました。

店内は漁師の番屋風な雰囲気

肝心の味は新鮮でものすごく美味しいんだが……絶対に1人で来る場所じゃないっ!!

シンプルに量がめちゃくちゃ多かったのです。おそらく店主、2人前出してましたね。予約の電話で「う〜ん1人?ちょうど2人キャンセルなったからいいよ〜」と言われたので、1人であることを忘れて、2人前出したんかな。まぁ、1人前の料金しかかってないのでラッキーだと思いましょう。

アワビにサザエに新鮮な魚介類がわんさか

食べ終わったあと、意を決して「店の裏山に藤原広嗣の墓があると、いとこの方から聞いたんですが見てみたいです」と尋ねると、終始ニコニコしていた店主の表情が、すごい剣幕に一変し、一言。

「マスコミの人かね?」

否定すると、「行ってもいいがあそこは霊感ある人はぶっ倒れるほど危険な場所だから気をつけてな」と真剣な目で注意してきます。

いや、怖いって。

でも好奇心が勝り、裏山へ。

裏山の道

店の裏を少し登ると藤原広嗣の墓と伊予親王の遺跡が……。マスターが墓守をしていることは事実でしたね。未だに古習が固く守られていることに感動しました。

奈良時代に生きた藤原広嗣の墓

とにかく味は保証できるので、ぜひ『複数人』で訪れてみてください。

店主家族が飼っているわんちゃん

佐賀県は胸ときめく珍グルメの宝庫

他にも佐賀県には変わった仰天グルメはたくさんあります。

たとえば、ライスに肉とサラダをのせ、マヨネーズをかけた『シシリアンライス』。さっぱりしているので夏場の食欲がないときでも胃にかきこめます。佐賀市内に何店舗か提供している店がありました。

カフェ&レストランはなかごで食べたシシリアンライス

次に川魚と摘み草料理で有名な『飴源』の白魚の踊り食い。ミシュラン2つ星とのことで某有名力士も大好きな店。白魚の踊り食いは初めて食べるときは怖いのですが、味は淡白で喉越しが最高でした。食べ方は噛んで食べても飲み込んでもいいみたい。

白魚の踊り食いは、2月中旬以降から4月下旬までの限定

最後は佐賀県民のソウルフード・井手ちゃんぽん。エビ・イカなどの海鮮が入っていないタイプの珍しいちゃんぽん。スープを飲み干すほど旨く、野菜がたっぷりで健康的でした。

佐賀以外では福岡、長崎、大分、名古屋でも食べられる

行って仰天!珍スポットの宝庫

またまた佐賀県民のみなさん、すいません!!忖度抜きで言います、佐賀県は珍スポットが多かったです!

ここで紹介する珍スポットは、鏡山道祖神や太閤一里塚のようなモロに“珍”に焦点をあてたスポットではございませんのであしからず。一応、僕は後学のため訪問しましたが……。

松浦一酒造の『河童のミイラ』

みなさん、河童を見たことありますか?
おそらく大多数がNOと答えるでしょう。

そこで朗報。なんと佐賀県伊万里市で河童のミイラが見られるんです。

展示されているのは松浦一酒造の『河伯の蔵』というところ。ここは予約せずとも無料で見学できます。
※河伯(かはく)・・・カッパという意味

蔵には河童コレクションが所狭しと展示されていて、一番奥に河童のミイラが祀られていました。

ちょっと不気味な河童のミイラ

松浦一酒造は300年以上続く老舗の酒造で、「我が家には何やら珍しいものがある」と代々の当主から当主へ語り継がれた伝説がありました。

それが意味する言葉が不明のまま時が流れ、50年前にホコリを被った箱を発見。フタを開いてみると何やら生き物らしいミイラが出てきました。手がかりは箱に書かれた「河伯」という文字だけだったそうです。

松浦一酒造。人がだれもいなかったけど河童のミイラは見学できた

こちらでは疑いの邪念を捨て童心に戻り、「すげー!!」と叫びましょう。それだけで心は満たされます。

宝くじが当たる!?『宝当神社』

人間の欲は業が深いもの。世の中には宝くじの当選を祈願するためだけの神社があります。その名は『宝当神社』。年間20万人の参拝者を誇る宝くじフリークには有名すぎる神社です。

場所は高島にあります。島へは唐津城前の駐車場すぐ横にある海上タクシーで約5分で着きます。

海上タクシーは何社かあり、電話で予約もできる

島にあるのは宝当神社と、宝くじを入れるための宝当袋という巾着袋を販売している店だけ。マジで他になにもありません。しいて言えば、猫が多いくらい。

僕も宝くじを3,000円分買って、意気揚々と船に乗り込み、宝当神社で手をあわせました。気になる当選結果は……おそらく、みなさんの想像通りです……。

宝くじの聖地・宝当神社

この神社に参るということは、宝くじを買って抽選日までワクワクを最大限にするアクティビティだと真剣な面持ちの他の参拝者を見て気づきました。もちろん、参拝して当選した人もたくさん出ているそうです。

佐賀のヨーロッパ『有田ポーセリンパーク』
有田市のど田舎に突如として姿を現すヨーロッパの貴族が住んでいそうな超どデカい宮殿。田園風景とギャップがありすぎて、もはや腰を抜かすレベルです。

規模感がハンパない。佐賀県のここだけがヨーロッパ

なんでも地元起業や有志が出資し、有田の魅力を世界に発信するため、ドイツ・ドレスデンにあるツヴィンガー宮殿に似た宮殿とパークを造ろうと思いたったのがキッカケとのこと。発想がぶっ飛んでますね。
※有田市とドレスデンは姉妹都市

ここだけ切り取るとだれも佐賀県だとわからない

秘窯の里『大川内山』

秘窯の里『大川内山』は日本一、窯元が密集している地域ではないでしょうか。町のどこかしこも窯元&販売所だらけ。石畳を散歩しながらお気に入りの焼き物を探せます。

石畳の細道の両側を窯元が軒を連ねる

僕は青木陶房という窪元で、あまりにも美しい青磁のマグカップを購入しました。もう3年くらい愛用していますが、毎日のコーヒーがおいしく感じます。

青木陶房
美しい氷青磁に魅了された

町には若者の職人も多くて、しっかり次の世代に継承されているんだなという印象。実際、伝統を守りながらも新しい発想を込めた伊万里焼が増えており、現代人の感性にもマッチしていました。

日本最大級『伊万里湾カブトガニ繁殖地』

なんと日本最大のカブトガニの生息・繁殖地が伊万里湾にあります。いや、カブトガニってなに?と思われた方のために写真を載せておきます。

生きた化石と呼ばれるカブトガニ

一度はどこかで見たことありませんか?
実は時代によっては、小学校の国語の教科書で題材に使われています。

カブトガニはすごい生き物です。4億年前に生きていた三葉虫を祖先とし、2億年前からほとんど形を変えていません。そのため、生物の進化において貴重な資料となる生き物とされています。また近年、血液から内毒素を検出する成分がとれることが判明し、医学の分野でも注目を集めています。

そんな貴重な生き物が『伊万里湾カブトガニ繁殖地』で見ることができます。時期的には7月中旬~8月上旬の大潮の日の後、1週間が見頃。

繁殖地の横には『伊万里湾カブトガニの館』が併設されていて、運がよければ水槽に入った生きたカブトガニを見ることができます。

カブトガニの館

しかし、僕が訪れた日は定休日。かつ時期でもないので海でもカブトガニは見れませんでした。時期になったら絶対またここへ来ようと思っています。

僕的、魅力度No.1都道府県の佐賀県へ

正直、まだまだ書ききれないほど佐賀県の魅力は語れます。たとえば、鏡山展望台・下部島・大浦の棚田などなど……。

だがしかし、ここですべて書くと10万文字を軽く超え、読了率が0%になる恐れがあるので割愛します。でも佐賀県はたくさんの胸をトキめかせる出会いに溢れていることをわかっていただけたでしょうか。

ここまで読んで佐賀県の魅力を少しでも感じた方は、「S・A・G・A さがっ!」と歌いながら次の連休のために佐賀旅行への計画を立ててみましょう。

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