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おしっこはすごい!ネフローゼ症候群とは

こんにちは、あきのくれです。
いつも記事を読んでいただきありがとうございます
今日は【心】とは関係がありませんが
おしっこの話についてしていこうかと思います。

ネフローゼ症候群って聞いたことありますか?
この病気…症候群というのは、おしっこに”タンパク質”が出てくる病気です。
おしっこが蛋白に出てくるようになるために、血液中のタンパク質も減ってしまい浮腫(むくみ)などが出てくる難病です。
重症になると、心臓や肺にも影響が出てきます。

原因が分かっていない一次性ネフローゼと、糖尿病や感染症などに合併する二次性ネフローゼとがあります。

一次ネフローゼは年2200〜2700人新たに診断されるそうです(難病情報センターによる)
ネフローゼの話に入る前に
おしっこのお話をしましょう

○おしっこはただの水ではない

みなさん、おしっこはしますよね?
1日どれくらいの量おしっこ出すか知っていますか?
おしっこの量は季節や、どれくらい飲み物を飲んだかで変わりますので、人によって違いますが、基本的に成人であれば1日1000〜1500mLおしっこをすると言われています。
500mLペットボトル3本分です。

このおしっこ、実は体にとってはとても大切な役割をしています。

おしっこは、腎臓で作られます。
腎臓というのは、体の左右に1つずつついていて、だいたい腰に手を当てる位置辺りにあります。大きさは握りこぶしくらいと言われています
結構大きいですね…

この腎臓の役割は次の5つです

・血圧の調整
・老廃物の排除
・赤血球を作る指示を出す
・体のイオンバランスを調整する
・骨を作る

この中で、太字の血圧と、老廃物の除去、体のイオンバランスの調整はおしっこが行っています
赤血球は腎臓から分泌されるエリスロポエチン(EPO)というホルモンにより成熟した赤血球が作られます

骨については、ビタミンDを活性化させます。
骨は、カルシウムの他にビタミンDがあることで骨に吸収され、骨が強くなります。

それぞれ重要な役割をしておりますが、今日の主人公は”おしっこ”です

おしっこは何から出来ているの

おしっこの元は”血液”です。
体中を流れている赤い血液です。
体中の血液が腎臓に入っておしっこができます

少し詳しく話すと
この血液の正体は
体中に酸素を運ぶ赤血球、細菌やウイルスなどの外敵から体を守る白血球、血液固まらせて出血を防ぐ血小板、といった細胞たちの他に

水分やタンパク質、電解質などが含まれています。
この、細胞じゃない成分にも役割があって、先程言ったホルモンなども血流に乗って他の臓器に移動することで、遠隔で指示を出すことが出来ます。

この血液が腎臓に入ってくると、腎臓にある糸球体という場所に入ります。
糸球体というのはザルみたいなもので、そこで細胞やタンパク質などの大きい物質は糸球体を通り抜けることができずに血液に戻りますが

水分や電解質などの小さい物質は糸球体を通り抜けることができるので、おしっことして体の外に出されます。


水分を取りすぎたな…という時は結構早くおしっこがしたいと思うようになりませんか?

また、冬の寒い時もおしっこが近くなりませんか?

冬というのは夏に比べて汗をかきません
汗をかかないから体に水分が溜まりやすくなるために、おしっこがをしたくなるのが多くなります。

この水分調整が、血圧調整に関係しています。
かなり乱暴に言ってしまえば、体の水分が増えて、血液の量が増えると血圧が上がります。(実際には、血管抵抗というものもありますが、今回は省きます)

つまり、水分を取りすぎたり、寒い冬で、汗をかきにくい時というのは体に水分が溜まりやすく、血圧が上がりやすくなります。
これを防ぐためにおしっことして”水分”を捨てることで血圧を調節します。

また、この時に電解質のバランスも同時に取るために、体のイオンバランスの調整もとっています。

塩っ辛い食べ物を食べたからと言って、すぐに調子が悪くならないのは、このイオンバランスを取るおしっこの機能のおかげです。

つまり、おしっこはものすごいんです

ネフローゼ症候群とは

さて、おしっこのすごさが分かったところで、ネフローゼ症候群についてお話をしましょう。

今回、一次性、二次性の話はなしにします。

実はこのネフローゼ症候群という病気は
・本来なら血液中に戻るはずの”タンパク質”が血液に戻らずにおしっこに流れ出てしまう
・タンパク質が血液に戻ってこないから、血液中のタンパク質が下がってしまう(低蛋白血症)
・脂質異常症

が起きてきます。
この原因について、おしっこの基本を抑えながら考えていきましょう。

○ネフローゼでは、糸球体の機能が低下する

血液が腎臓の糸球体に入って、そこでザルのように出てきた水分がおしっこになる

というお話をしました。

このネフローゼ症候群では、”糸球体”というザルが機能をしなくなります。
イメージとしては、ザルに穴が空いたようなものと思ってください

破れたりして穴が空いたザルというのは、ザルの機能をしなくなりますよね。
小石と小さい砂とを分離していたザルが、小石も通すようになってしまうようなものです。

だから、タンパク質などの大きな物質も糸球体からおしっこの中に漏れ出るようになります。

何故糸球体のザル機能が低下するのかは、かなり専門的な話なので割愛します

○漏れ出たタンパク質が体に与える影響

ただタンパク質が漏れるようになるだけではそれ程大したことないんじゃないの?って思うかもしれませんが、そんなことはありません。

この漏れ出るタンパク質が大切な役割を持っているからです。

このタンパク質の7割ほどはアルブミンというタンパク質で
その他にも抗体なども含まれています

このアルブミンというのは水分を維持する効果があります。
血液中を流れるアルブミンというのは、血液の中に水分を維持しておくという効果があります。(その他にも、いろいろな物質を運ぶ役割もあります)

この血液の水分を維持するアルブミンがおしっこに流れ出てしまい、少なくなってしまうと

血液の中に水分を維持することができなくなります。
そうなると、血液中の水分が、血管から血管の外へと出ていってしまいます。

これが、浮腫(むくみ)という状態です。
疲れて足がむくんだりすると、ちょっと大きくなって、いつもよりぷにぷにになっていると思いますが、この正体は血管の外に漏れ出た水分なのです。

この浮腫というのは、足だけで起こるわけではなく、心臓や肺などの重要な臓器にでも起こります。重症の場合はこの心臓や肺に水が貯まり、心臓の機能が低下したり、呼吸が十分にできない状態になってしまいます。

また、漏れ出たタンパク質には抗体なども含まれています。
抗体というのは病原体をやっつけるために必要なものです。

これが少なくなるということは、感染症が起こりやすくなるということです。

ネフローゼでは脂質異常症が起きる

3番め脂質異常症と書きました。
急に出てきたワードで困惑した人もいるかも知れませんが
高コレステロール血症のことを指します。

つまり、腎臓でタンパク質が漏れ出てしまっているのに、血液中のコレステロールが高くなります。

これって不思議ですよね。
ただタンパク質が漏れ出ているだけなのに、なんで”コレステロール”が高くなるのか?
それは肝臓の機能が関係しています

低蛋白血症という非常事態に、体は何もしないわけじゃありません。
肝臓では、”アルブミン”などのタンパク質を補充するために一生懸命タンパク質を作るようになります。

しかし、この時、足りなくなったタンパク質だけを作るという事はできないと言われており、一緒にコレステロールまでも作られるようになります。

そのため、血液中には足りなくなったタンパク質を補うために頑張ってコレステロールまでも作ってしまい、高コレステロール血症になります。
この高コレステロール血症を脂質異常症と呼んでいます。

しかも、糸球体からは作っても作ってもどんどんタンパク質が出ていくので
肝臓は頑張ってコレステロールと一緒にタンパク質を作るようになります。

難しい話です

最後に難しい話をします。
ネフローゼ症候群をまとめると
タンパク質が尿に漏れ出る高蛋白尿が起き
血液中のタンパク質が失われるため、低蛋白血症がおきます

その後、高コレステロール血症も起きます。

このコレステロールもおしっことして漏れ出ることがあります。

コレステロールの中に含まれる脂肪分が、おしっこの通り道の細胞に蓄積されていきます
しかし、脂肪がたまりすぎた細胞というのは死んでしまいます。

死んでしまった脂肪が溜まった細胞はおしっこに一緒に排泄されます。

これを卵円形脂肪体といいます。
卵円形脂肪体がおしっこで見られたとき、ネフローゼの診断の助けになると言われています


○まとめ

最後は難しい話をしましたがまとめていきましょう
今日はおしっこの話をしました


おしっこは

・体の老廃物を捨てる
・血圧を調整する
・体のイオンバランスを整える
という大切な役割を持っています

ただの水じゃありません

このおしっこは腎臓で作られています。
原料は体中を流れていた血液で
腎臓に入ってきて、糸球体というところで
水分・電解質といった小さい物質をおしっことして捨て、
赤血球、白血球、タンパク質といった大きなものは、糸球体を通り抜けずに血液に戻っていきます

これが本来の腎臓の機能であり、おしっこの姿です。

これが破綻してしまった結果起こることとして、ネフローゼ症候群があります。

感染症や糖尿病などをきっかけに糸球体のザル機能が低下し
タンパク質がおしっこに漏れ出るようになります。
血液中に戻ってくるはずのタンパク質がなくなってしまうので、血液は水分を維持することができなくなり浮腫(むくみ)が起きます
また、抗体なども失われるため、感染症が起こりやすくなります

これを改善しようと肝臓は頑張ってタンパク質を作りますが、一緒にコレステロールも作ってしまうため、
高コレステロール血症も起こります

更に、高コレステロール血症が起こると、動脈硬化などが起こりやすくなります

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