映画『あの子は貴族』

「この家は私たちより上の階層の人たちだね」
と貴族階級のバイオリニスト逸子はさらっと言った。
階層っていうのか、日本のカーストでは。
この映画では都心在住の上層の人たちと、それ以外の人(この映画では地方から東京に出てきた人)の歴然とした生き方の違いと、そこを超越した共感、が描かれていた。
階層がはっきりあるのはどうも上層の人たちのようだ。階層、というものは現代でも意外に、目に見えるくらいの感じであったりする国もあると聞く。職業とか、結婚相手を選ぶ時支障が出たりするような。
でもそこははっきりさせるのが苦手な日本のこと、あるかもしれないけど触れないのが礼儀。
私がこの映画でまず言いたいのは、出てくる女優さんたちがキレイでキラキラしていたということ。
門脇麦さんは最初の場面で、付き合っている人に振られて家族の勧める人とのお見合いのための写真を撮るシーン、戸惑いをつくろって何とか微笑む表情がとてもキレイだった。(映画前半この表情が多い)あとウェディングドレス姿も清楚で素敵だった。
「麒麟がくる」もナチュラルでよかったけど、今回の後ろが丸くなった(前下がりではなく)ツヤツヤのボブに赤いルージュのメイクで、横顔が殊のほか美しかった。
水原希子さんはイベント会社の仕事の時は、パーティー会場にぴったりの艶っぽい女性、普段は大通りを自転車でガンガン走るその年代の等身大の美紀の役がぴったりだった。
バイオリスト役の石橋静河さんは家族を反面教師として自立して生きようとする女性を低めの声で、毅然とした表情で演じていた。合う〜
山下リオさんは大きな綺麗な目とキュッと結んだ口元が印象的で、自分で起業しようとする意思的な女性の役。みきに「一緒にやらない?」と誘った時の美紀の返事もいいんだな〜
この映画は共感できるセリフがいっぱいだ。
一番好きだったのが、華子がタクシーの中から偶然見かけた美紀を追いかけて家までついていくシーン。
「ここは落ち着きます」
「狭い部屋って落ち着くんだよね」
「そうじゃなくて、この部屋のものが全部美紀さんのものだから」
という華子の一言。
これはこの映画のテーマを、主人公の華子が気がついた瞬間の言葉のように思えてグッとくる。
どんな階層に属していても依存するということに疑問(不満?)を持った、持ってしまった人たちは何とか自立しようともがくことになる。結果はすぐには出ないのだろうけど、最後のシーンでは四人とも晴れやかな表情を見せてくれる。

ああまだ言いたい事が。二番目に好きなシーンはは美紀が華子との結婚が決まった高良健吾演じる幸一郎に別れを告げるところ。そのセリフがたウルっとくるんだ。
・・と色々後から思い浮かんでくる映画だった。

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