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ジャニーズ問題のさなかで

錦織一清さんの「少年タイムカプセル」を読みました。
僕は少年隊のファンです。
シングル曲のみならずアルバム収録曲の中にも好きな曲は沢山あり、ビデオも見ていました。
コンサートやミュージカルには行ってません。いや、行きたかったのですが子供の頃は経済的に行けず、若き日の僕には男性アイドルのコンサートへ行くことに抵抗があったので行けず、行けるようになった頃には少年隊が活動を減らしていて自分も忙しくなっておりタイミングが合わずに行けず。
コンサートに行けてないので大ファンを自称することは憚られるのですが、普通にファンという以上に結構なファンだと思います。

何しろ僕のアーティストネームである「AKINO LEE」は、少年隊の錦織さんがご自分の着ていたガウンに「NISHIKIO LEE」と書いてあったのを見て真似したことに由来します。
当然僕の、そして錦織さんの敬愛するBRUCE LEE師父のLEEをいただいているわけですが、僕の中では錦織さんイズムも入っているのです。

そんな錦織さんが語る半生をまとめた自伝的な本がこちら。
これが非常に面白く、興味深かった。

僕は今アイドルを育てるという仕事をしています。元々僕はアイドルヲタクであり、アイドルになりたかった人間でもあるのですが、己のルックスからそれは無理だとわかりきっていたのでアイドルにはならず、ロックバンドのヴォーカリストとしてメジャーデビューし、今に至ります。

僕が何故アイドルを好きかというと、頑張っている人が多い世界だからというのが大きな理由として挙げられます。
当然他の世界でも頑張っている人は多いです。スポーツの世界でもそうでしょうし学問の世界でもそうでしょう。
しかし、芸能の世界というのはかなり特殊でして、スポーツや学問と比べると努力が結果につながらないことが一番多い世界なわけです。
例えば鍛えに鍛えて力が人より強くなれば、重いものを持ち上げたり遠くに何かを投げたり人と戦って勝てるようになる可能性は確実に上がりますし、単語を徹底的に覚えてネイティブの方と会話しまくれば外国語の能力も確実に上がるわけですが、歌や踊りは歌いまくったところで上手くなるとは限らないし、踊りもまた同様なのです。さらに言えば歌と踊りが上達したからと言って人気が出るとも限らない世界であり、とにかく努力が結果につながりにくい。それなのに、いや、それだからこそほんの少しでも結果を引き寄せようと努力を重ねている人が本当に多い世界なのでしょう。

よく言われるのは「頑張ったから売れるとは限らないが売れた子は皆頑張ってる」という言葉。
これについては補足も必要で、時折運だけで売れる子もいるものの努力していないとその売れている状態を長続きさせることができないということになるわけですが、いずれにしても売れ続けている人は皆本当に頑張っている人達なのです。
だから僕はアイドルが好きなのです。

僕は元々格闘技を頑張っていました。
受験戦争が激しかった時代でしたが大学も卒業しています。
そしてバンド活動も頑張っていました。
それぞれの世界を経験して思うのは、やはりアイドル業界が一番頑張っている人が多いし、頑張らなくてはいけない世界だということです。

錦織さんもとてつもない努力を重ねた方。
しかしそれを特段頑張ったとも思っていないというか、努力するのは当たり前だから当たり前にしていたというようなスタンスだったことがこれを読んでわかりました。
何かと言い訳ばかりして頑張らない人が多い世界で、頑張っているのが当たり前なアイドルの世界に身を置き、その中でもさらに頑張ったからこそ少年隊は長年売れ続けていたのでしょう。

錦織さんはレジェンドです。
ジャニーズ史上で1、2を争う歌の上手さであり、ダンスのレベルに関してはズバ抜けてジャニーズ史上1位でしょう。
さらには顔も良いししゃべりも面白い。演技も素晴らしいと、これだけ完璧な芸能人はジャニーズ以外を見ても他にいません。

ジャニーズというのはまた特殊すぎる世界であり、昨今話題の件もあるわけですが、この本はそれが話題になる前に出版されたので当然その部分には触れず、錦織さんとジャニーさんの思い出の部分も普通に描かれています。

ジャニーズの件について私見を述べるなら、ジャニーさんのした事は確実に非人道的であるが、特殊すぎる世界の価値観を一般人が一般的な感覚で理解できるわけがないし、ましてやそれを許す許さないを決めるのは当人同士であって外野が口を出すことではない。
というものです。

ロックの世界でもそうなのですが、破天荒すぎて罪を犯してしまうアーティストが昔から多いです。
その罪は罪として置いておいて、常識から逸脱してしまう人だからこそ常識を超えたとんでもないものを生み出せるという部分は確実にあります。
今の時代にそぐわないだけです。
昔はもっとおおらかに許されていた。
それを許さない世界に変わってしまった。
そういうことなのだろうなと。

とにかく色々なことを考えさせられた本でした。
つまりは、とても良い本だったということです。
錦織さんに対するリスペクトが一層深まりました。
この精神性を僕の教え子達にも伝えていければと思います。

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