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入場者数がディズニーランドよりも多い「テーマパーク」を作ってください

「日本に新しいテーマパークを作るとしたら、どのようなテーマパークを作りますか?」
さらに「ディズニーランドよりも多い入場者数を動員しろ」という制約付きだったらどうだろうか。

経営破綻に陥いりかけていたUSJは、たったの5年でディズニーランドの入場者数を追い抜いた。「差別化戦略」を駆使することで。

元々「映画だけのテーマパーク」というブランディングで経営していたUSJだが、「夢の国」というブランディングを行うディズニーランドとターゲット層が大きく被ってしまっていた。そのため、超人気テーマパークであるディズニーランドにほとんどのシェアを奪われていた。

ディズニーランドとシェアを奪い合ったところで、すでに人気テーマパークであったディズニーに勝てる要素はない。そこでUSJは「差別化戦略」を行い、ブランディングの差別化を図った。それが「世界最高のエンターテインメントを集めたセレクトショップ」だ。このようにブランディングで差別化を図ることで、ディズニーをも超える入場者数を達成することができた。

3つの基本戦略

「差別化戦略」は、アメリカの経営学者でハーバード大学経営大学院教授であるマイケル・ポーターが提唱した競争優位を築くためのフレームワークの1つだ。ポーターは他の2つも合わせて、合計3つの基本戦略を提唱している。

  • 差別化戦略

  • コスト・リーダーシップ戦略

  • 集中戦略

これらの戦略を理解することで、競合他社に打ち勝ち業界の中で競争優位を築くための経営戦略を知ることができる。企業が生き残るためのポジショニングや戦い方を提唱しており、企業で働く全ての人にとって、覚えておくべきフレームワークだ。生き残っている企業は、上記の戦略の中から自社に合うものを選択し、実行している。

差別化戦略

差別化戦略とは、自社の商品やサービスの独自性を強調して他社との差別化を図り、業界内で独自のポジショニングを築いていく戦略だ。
自社の商品やサービスを差別化する項目としては、商品の機能性、品質、技術力、ブランドイメージ、顧客対応などがあげられる。

差別化戦略では、商品やサービスの価値を上げるとともに、顧客価値も上げていく必要があります。
他社とは違う独自性を生み出すことだけが差別化戦略ではなく、商品やサービスに価値があると顧客に認知してもらうことも重要だ。

コスト・リーダーシップ戦略

コスト・リーダーシップ戦略とは、競合他社よりも安価な商品・サービスを提供することによって、競争優位を確立していく戦略だ。

低コストを実現する方法としては、業務内容や作業工程を効率化し従業員の生産性を上げていくこと、生産量を増やして単位あたりの固定費を減らしていくことなどがあげられる。また、低コストが実現すれば商品やサービスの販売価格を下げること以外にも、価格を下げずに他社と同等の価格で提供し高い利益率を得ることもできる。

たとえば、衣料品の製造・販売を行う株式会社ユニクロは、企画から生産、物流、販売までを一貫して自社で行うことで「コスト・リーダーシップ戦略」を実行している。中間業者を挟まないことで流通コストを削減し、販売価格に反映。低価格かつ高品質な商品の製造に成功し、飛躍的な成長を遂げた。

集中戦略

集中戦略には、コスト削減を図る「コスト集中戦略」と他社との差別化を図る「差別化集中戦略」がある。特定の狭い範囲にターゲットを絞り込み、自社の経営資源を集中させていく戦略だ。

コスト・リーダーシップ戦略や差別化戦略は、業界内での競争優位の構築を図るものだが、集中戦略は業界全体ではなく、特定の市場に限定して戦略を行う。ただし、絞り込んだターゲット市場が一定以上の規模ではなくなった場合、事業として成立しなくなる可能性がある。

集中戦略を活用するには、すでに自社が持っている技術力やブランド力が最適化できる市場を絞り込み、手口を広げずに一点集中する必要がある。
総合家電メーカーのシャープは、集中戦略を活用する代表的な企業だ。
シャープは液晶技術を武器に集中戦略を行い、優れた技術開発力で他社との差別化を図ることに成功している。

まとめ

あなたが働いている企業はどの戦略を行なっているだろうか。自分の企業が行なっている戦略を知ることで、より高い視座で仕事に取り組むことができ、事業における自分の部署や役職の立ち位置を理解することができる。

組織の方向性と組織内の自分の立ち位置の理解は、働き方をより効率的にさせてくれる。これらを理解しないまま行う仕事は、動機付けが難しくなり、モチベーションの維持も難しい。
今回のポーターが提唱しているような経営戦略について知っておくことは、あなたの仕事を大きく助けてくれるだろう。

https://www.profuture.co.jp/mk/column/10267


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