見出し画像

クルマに味ってあるんですか?

ぼくが職業について聞かれた時、「クルマの味付けを主にやっていました。」と答えるんですが、まぁほとんどと言っていいくらい、

「クルマに味ってあるんですか???」

と聞き返されます。あるんですよ、クルマには、それぞれ、味が。

味というと味覚を先に想像するから意味不明に聞こえるかも知れませんが、「乗り心地」というと、いいとか悪いとか、なんとなくあるじゃないですか。電車で言えば在来線と新幹線ではなんか違うでしょ。え、わからない??じゃあギターだったら、同じコードを弾いても音色が違ったりするじゃないですか。え、わからない??なんだろう、だんだん何に例えていいのかわからなくなってきましたが、

そうね、声、人間の声だって、同じ曲を同じ音程で歌ったって、その人の癖が出るじゃないですか。SMAPが歌う世界に一つだけの花もいいけど、槇原敬之が歌うまたいい。ミスチルが歌うイノセントワールドは間違いないけど、尾崎紀世彦が歌うとまた素晴らしく、ヒッパレメンバーが歌うTSUNAMIなんてそういうことです。そういうことが言いたかったんですよ。

本当は良くないんだけど貼っときますね。若い人も見てるだろうから。

で、一見、街を走り回っている、ただの鉄の塊ように見えるクルマ一つ一つに個性があって、味があるんです。もちろんその味と呼ばれるそれが、狙ってつくられたものなのか、何かを追求する上で結果的にそうなったのか、それはまた別の話なんですが、わたしが手がけていたのは前者で、

このクルマ、どんな味にしたろかな。

という仕事をしていました。

じゃあ何をやっていたのかというと、話が長くなるのでまたいつか。若干の機密に抵触してしまう部分もあるから離せないこともあるから注意しないといけないしね。

あなたはどんな味のクルマが好きですか?アクセルを踏み込んだらスッと軽快に走り出す感じ?それとも、グイグイ踏み込んでモリモリ走る感じ?それともそれとも、ちょいと踏んだら周囲を置き去りにしちゃうくらいじゃじゃ馬な感じ??

もちろん、その時の気分にもよると思うし、だからいろんなクルマを楽しむという文化が存在するんだと思うんだけど、そもそも知らなかったらどう選んでいいかもわからないですからね。

今からすごくキザで乱暴なことを言いますけど、道は楽譜で、クルマは楽器だと思うんです。さあ、あなたはどんな楽器で、その曲をどんなふうに演奏します? ソツなくまとめるもよし、ちょっと自分らしさを出してみるもよし、自分だけの世界を堪能するもよし。クルマを運転するって、ちょっとできるようになれば、次に広がってるのはそういう感覚なんじゃないかなと思っています。ぼくと練習する人たちだったら、ペーパードライバーから初めて2日目に気が付くポイントです。そこに気がついたらもうこっちのもの。自分の好きなスタイルを探し求めていけばいい。

っていうことで、好きになってもらうためにも、クルマの味ってのは結構重要なんです。その瞬間に好きになってもらうというよりも、

雪が降っても、乗りたいと思うようなクルマがあるんです。

1週間後に思い出して、あれ、また乗りたいな… って思ってもらえる、そんな味のレシピを、持ってて、作り込む技術をぼくは、あ、ここからは内緒で!

自動車開発テストドライバー
古賀章成

kotatounten.com

古賀章成です。自動車開発テストドライバーという仕事をしています。主に、運転を苦手だと感じている人に、安心してもらえるような・自信をつけて楽しんでもらえるような練習の仕方やクルマの在り方を研究・開発しています。頂戴したサポート費は、テストや開発の経費として活用させていただきます。