鹿丼
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鹿丼

中村安希

今回は鹿肉を牛丼風にアレンジした「鹿丼」を作りました。鹿を解体するようになって約一年半になりますが、スライサーや真空パック機など、道具もいろいろ揃ってきました。友人や知人に配布しているお肉の中身もレベルアップして、真空パックしたミンチやスライスも入れられるようになってきました。そんな中、先日スライスを送った友人が「鹿丼を作った」との報告をくれましたので、うちも真似して作ってみることにしました。

材料:スライスした鹿肉、玉ねぎ、醤油、酒、みりん、砂糖、生姜、水、(お好みで、紅生姜、七味唐辛子、生卵)、米

1、鍋に水と醤油、酒、みりん、砂糖、すりおろした生姜を入れて煮立たせ、適当に切った玉ねぎを入れる。

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2、玉ねぎがしんなりしたら、スライスした鹿肉を加える。

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3、アクがかなり出るので、丁寧に取り除きつつ、10分程度煮詰める。

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4、ご飯の上に盛り付け、七味唐辛子と紅生姜を乗せたら出来上がり。途中で生卵も加えて味変しました。

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まとめ:とても美味しかったです。お肉は柔らかく、獣臭もゼロで、牛丼との違いがよく分からなかったです。牛肉の場合は使う部位によってはもっと脂が入ると思いますが、そこはやはり鹿らしく淡白でした。手軽で美味しくて、作ってみてよかったですし、また作ると思います。ただ本当のことを言うと、「鹿丼おいしかったよ」と連絡をもらってすぐに「それはいい!ではうちもぜひ!」と思ったわけじゃなかったんですよね。ここがね、鹿を自分で捌いて配ることの面白さであり、難しさでもあるんですが・・・。

と言うのも、うちで配っている鹿肉のスライスは、自分で言うのもなんだけど、めちゃめちゃ手間がかかっています。(笑)解体して持ち帰った肉の中で、スライスに使える(ある程度、断面積が確保できる)部位としてシンタマという後ろ足の前側部分の中心部にある肉を取り出し、まずはラップに包んで急速冷凍をかけます。凍ったら、それを5%くらい解凍の状態にして表面にスライサーの刃が入る様にし、スライサーにかけます。95%はガンガンに凍っているので、スライサーにかける作業は力がいります。額には汗が滲みますし、一方で凍った肉をつかんでいるので、手は冷たくて痛いです。そうやってスライスした肉の中で、形や状態がいいものだけを選んで袋に詰めて真空状態にし、再び冷凍して配っているのがスライス肉、というわけです。状態のいいシンタマが取れる確率が全体の6割くらい。それをスライサーにかけると、最初と最後の部分や、解凍が進みすぎた部分など2割ぐらいがクズ(うちで食べます)になります。だから、真空パックに入って出荷されていくスライス肉たちはですね、もう、うちの精鋭中の精鋭!選りすぐりの肉なんです。ついでにスライスの何が大変って、スライサーの掃除ですよね。毎回、ドライバーで刃や台やスライドやらを全部分解して、飛び散ってこびりついた肉片を掃除して、乾かしてまた組み立てるっていう、泣ける作業を繰り返しています。ね、手間かかってるでしょ?(笑)

それでもスライス肉を送るのは、やっぱり鍋で食べるときに、極薄スライスがあると助かるし、美味しいから。包丁でスライスをするのは大変だし、機械ほどはきれいに薄くはできない・・・というので、私としては一応「おいしいお鍋を食べて欲しくて」スライスパックを作ってます。それでスライスを送ると、みんな早速料理して連絡をくれるんですよ。「スライス、とりあえず焼肉のタレで炒めてみた。うん、臭くないし、全然食べれる!」とか、「スライスで鹿カレー作ってみたよー。なかなかイケる」とか、「スライスで早速鹿丼作りましたー!」とかね。もちろん、おいしく食べてもらえてとっても嬉しいですよ。嬉しいです。でも嬉しいんだけど、ちょっと複雑・・・みたいな感じが続いていました。うちの感覚で言うと、ちょっともったいない食べ方っていうのかな。それは例えば、殻付きの生がき(生食用)をプレゼントしたら、「炊き込みご飯にしたよ〜。牡蠣ご飯、イケるイケる〜」って連絡が来た時みたいな感じです。(笑)

でも、こういう経験をたくさん積み重ねてきたことで、いろんな学びがありました。ものの価値や使い方は本当に人それぞれだし、一つのものを巡って贈り手と受け手で考えが違うのは当然です。スーパーに行って肉売り場を見れば、日本で赤肉(牛肉や豚肉)がどうやって食べられているか、どんな調理方法があるかは、一目瞭然なわけです。スライス肉を炒めたり、煮たり、煮込んだりして私たちは暮らしている。だから、亡くなった師匠と私が始めたミッション「鹿肉を家庭で手軽に料理して食べてもらう。ハードルの低いジビエ料理」を遂行するなら、スライス肉を炒めたり、丼にしたり、カレーにして食べてもらうのって一つの理想形でもあるんですよね。だから自分としてできることは、カレーや丼など手軽に食べてもらっても複雑な心境にならずに済むような加工方法や加工基準を考え直すことなのかなと。「自分ではお鍋に使って欲しかった、手間のかかる肉」がカレーになることにモヤモヤするのなら、最初からもう少し手間がかからない「カレー使い用のスライス肉」を作ってみるとか・・ね。(って書きながら既に、うわ、めんどくさっ!って思いますけども。笑)

そういうことで、鹿丼、おいかったです。ジビエだからって、別に気取ったものを作らなくてもいいんです。鹿丼でいいと思う。


ジビエの手引き *ジビエお料理リスト *ジビエをおいしく食べるコツ

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