社会人2年目の私が転職する理由

「とりあえず3年は働かないとね」という言葉はよく聞くけど、それは呪いの言葉だなと思う。新入社員として入社した会社は、全く興味のない大手企業(人材派遣)だった。就職氷河期でもない世の中で中々内定を貰えず、大学4年生の12月に内定を貰ったのだ。全く興味のない会社だけど、大手だからか福利厚生がしっかりしていて、残業時間も少なく、女性の営業が活躍できるという言葉で入社を決意した。

大学生の頃は大好きな本のバイトがしたくて、大手書店で4年間働いていた。その時に思ったことは、大好きなものと近すぎるとそれを大事にできない自分になってしまうということだった。このままでは本という大事な存在を蔑ろにしてしまう。それだけは絶対に避けたかった。他のバイトをしたことがない私は、就職を機に本と関係のない業界へ飛び込んだ。


1.興味のある分野とない分野、どちらを仕事にする?

私の友人には自分の好きなことを仕事にするということが考えられないという人がいる。仕事と趣味は完全に別にしたいタイプで、その境界線がしっかりしている。別物として割り切っているからこそ、どちらも全力でできるということだった。私は大学で興味のある分野(本)しか関わったことがないからか、興味のない分野で働いたときがどうなるのか自分ではわからなかった。だからこそ全く興味のない分野へ飛び込んだのだけど、私にとっては興味のある分野で働くことが心も身体も健やかだということがわかった。現在も人材派遣会社で勤めているものの、今年には退職願を出す予定だ(具体的な日にちも決めてある)。

人間関係で言うと書店も人材派遣会社もどちらも良い方だと思う。ただ、決定的に違ったのは業務の内容への興味の有無だ。興味のない分野でも入ったからには何かで一番を取ろうと思い、必死になって営業した結果、入社して半年後に全国月間売上成績1位を獲得してしまった。その後はモチベーションが上がらず、鳴かず飛ばずの成績。私にはこの先、この仕事をしていく中での目標が何も見えなくなってしまい、暗いトンネルへと突き進んで行った。

人材派遣という業務柄、人と人を結ぶ手助けをするということを言えば聞こえはいいものの、実際は人に振り回され続けている仕事だ。その心労たるや、新入社員には計り知れない程の重圧がある。家に帰ってきて玄関先で大泣きして辞めたいといった日は、1度や2度ではなくほぼ毎日続いた時もあり、両親に心配をかけた時もある。辞めようと決めた今でも体調が悪い日々が続き、会社へ行く時になると吐き気・頭痛・腹痛に悩まされている。あまり人に深入りすると潰れてしまうことがわかってはいるものの、きちんと聞いていないと見抜かれてしまうので、できるだけ受け持っている派遣社員のフォローをするようにしている。そうすると色んな出来事が舞い込んでくるわけで、その時々のフォローでまた心労が増える。上司に相談はするものの、全てを対処してくれるわけでも万全なフォローをしてくれるわけでもないので、中途半端なフォローをされるよりは自分でやってしまおうと思い、何とか時間を割いてフォローしていると、それが当たり前にできてしまうと認識されてしまい、放置。上司が忙しいことはわかっている為、抱えきれないストレスを誰にも言うことができず、内側に秘めていると身体に影響が出てしまい、ヘルペス→風邪(治らない無限ループ)になっている。そしてストレスからか本が全く読めなくなった。

私には興味のない分野で働くことは無理なのだと悟った。



2.転職先はどうする?

興味のある分野での転職となると、本かコーヒーしか頭の中には浮かんでこなかった。どちらも私の中では大切なもので、ヘルペスになった時コーヒーが飲めず心の中にぽっかりと穴が開いたし、ストレスで本が読めなくなった時は心も身体も廃れてしまった。

どちらにしようか悩んだ時に、書店員時代のバイト仲間で今も同じ書店で働いている友人に会った。彼女は心の底から本を愛していて、趣味に全力。彼女の生き方は眩しかった。そして彼女から聞く書店の話は面白く、大物になるという意気込みは聞いていて清々しかった。夜の書店バイト(大学生時代)と昼の勤務とは全く違った景色を見ることができて、自分の棚を持てるから心底楽しいことや企画書を書いて提出して実現したこと、本屋大賞での出来事など聞いていて飽きることがなかった。営業をしていて人と接することが好きだと思っていた私は、転職しても人と関わることを中心とした仕事がいいなと思っていた。


書店員に戻ろう。


そう決めてからは早かった。元バイト先の仲が良い課長に相談をすると、大歓迎で待っていると言ってくれた(元々退職したときから、いつでも戻っておいでと言われていた。ただ給料面が低いので断り続けていた)。何月頃に辞めるか確定していないけど、ここまでには辞めるという旨を伝えて、その時期の面接に行くと伝えた。書店といえども本が好きで仕事している人はあまり多くなく、尚且つ重労働なのでイメージと違うと言われて辞めていく人が多い。そんな中、私は本が好きで尚且つ4年間勤務していたので大体の流れはわかる。そんな人材は目から鱗なのだろう(人材派遣の業界にいるからこそ、そういう人材が欲しいというのがわかる)。

現在勤めている企業の厳しい経験があったからこそ、この先の書店勤務は楽しいものになるのではないかと思っている。私は私のために、私が生きやすいように生きていく。それが今の私の出した答えだった。



3.さいごに

私がこの決断をするまで半年かかった。

漠然と転職を考える→自分が何をしたいか、今後どうなっていきたいのか、何が自分の中のコアな部分なのか見つめなおす→具体的なこと(私の場合、本かコーヒー)が決まった後、その分野ではどういう仕事があるのか→仕事内容を見て何が自分に合っている又は興味があるのか、その仕事の中で自分が達成したいことがあるのかを徹底的に考えて、時にはノートに書いたり、人に意見を求めたりしていた。私は自分の性格上、考えて考えて考え抜いた結果ではないと違う環境にいけない臆病な人間だから、時間をかけてじっくり考えた。そしてそれくらい考えないと、今いる会社の仲間に失礼だと思った。私がいなくても会社は回ると思う。それはそうだ。でも回ったとしても、私がいなくなった穴は一時的に発生して迷惑がかかる。それを覚悟の上で退職を決意しているのだから、それ相応の考えが必要だと思った。

社会人2年目だろうが、何年目だろうが、やりたいことがあるなら転職すべきだと思う。やりたいことがあるのに何年も燻る必要性がないなと考えている。今の時代、働き方が多種多様な社会が形成されていると思う。だからこそ、自分の考えを明確にして生きていく必要がある。今自分の考えが迷走していたとしても、なかったとしても、いつか明確になった時に、やりたいことをやりましょう。そうして健やかに生きていきましょう。


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