祝祭の記憶はたちまち

2023/08/11（金）

　ひと晩じゅう「暑いのに寒気がする」という最悪の体調になる。
　全身が熱っぽくふわふわして眠れず、いやな汗が止まらない。Tシャツを2回替えた。風邪かな、まさかコロ……などと、いろいろ不安に思いながら夜明けを迎えると、体調はじょじょに穏やかになっていった。昨日の整体が効きすぎて、身体がデトックスに大忙しだったのだと思う。
　寝不足だけど、なんとかライジングサンロックフェスティバルに赴く。
　快晴。暑すぎるくらいだ。普段なら太陽を呪うような天気だけど、今週末だけはそれでいい。ここ10年くらいは雨に降られてばかりだったので。
　RSRは石狩新港という札幌郊外の工業地帯のだだっ広い草原で行われるのだが、水はけが悪く、豪雨の後だと無数の観客に踏まれた土地はどろどろにぬかるんで、ロング丈の長靴なしでは歩けなくなる。GoogleやTwitterで「ライジングサン　田んぼフェス」で検索してみてください。
　今年は田んぼとは無縁の、しっかりした地面で嬉しい。
　午後いちでサンボマスターを、夜中にストレイテナーを観る。どちらも素晴らしかった。久しぶりに大きく気持ちが高揚した。
　他の時間はステージの前までは行かず、遠くから届く10ｰFEETやマキシマムザホルモンや電気グルーヴの演奏を聴きながら、お酒を飲んだりご飯を食べたりしてゆったり過ごす。贅沢すぎるBGM。
　そのまま会場に泊まる。

2023/08/12（土）～08/13（日）

　早朝の静かな会場を散歩するのが好きだ。
　夜通しやっている屋台が少しあり、疲れた身体に温かいカレーやスープを与えている人たちがいる。仮設の洗面台の周囲で歯を磨いたり、化粧を直したりする人たち。その辺の草むらにレジャーシートを敷いて寝ている人たち……。やがて2日目からの参加者が入ってきて、会場はふたたび熱気に包まれ始める。
　午後からカネコアヤノを観てみる。「ミリしら」というやつで、写真で見た風貌からなんとなくオーガニックな感じのサウンドを想像していたけど、エレキギターをギャリギャリ掻き鳴らしながら野太い声で歌い、客に背を向けてバンドメンバーと轟音のセッションを何分も続けるというシューゲイザーなロックで驚いた。
　UNISON SQUARE GARDEN、BABYMETAL、MISIAなどをぼんやりと聞きつつ、Twitterを見ようとするけどスマホのネット接続が非常に悪い。普段はほぼ無人のエリアに万単位の人間が集っているのだから、キャリア各社が（私はdocomoです）中継車を配置したって追いつかないのだろう。ストレスである。や、こんな日くらい見なきゃいいんですけど。

毎年、2日目の日没後に花火が上がる

　日付が変わるころになって、気温が下がってくる。
　心地いい夜気の中でZAZEN BOYSを観る。新しいベースの人を初めて生で観た。よくぞこんなド迫力の人を見つけたものだ。こうじゃないと向井秀徳の脳内宇宙の再現に携わることはできないか。
　体力的には限界だったけど、夜明けの少し前にドレスコーズを観る。
　昔はもっと、ひとつでも多くの演奏を観ようと何百メートルも離れた各ステージの間を駆けずり回ったけれど、今は無理です。ロックフェスって敷居が高そうかもしれないけど、ゆるい楽しみ方もゆるされるので、ライブハウスやホールのライブより楽ちんな面もある。
　昼前に帰宅する。さすがにたちまちコトンと寝てしまい、午後に起きてからも、終日ぼーっとしていた。

2023/08/14（月）

　祝祭の記憶はたちまち遠くなり、日常が戻ってくる。
　日焼けでひりひりする足首の痛みが夏フェスの名残りだ。