見出し画像

君にもできるよ

2023/09/25(月)

 アマプラに入った『水は海に向かって流れる』を観た。
 原作マンガが超、超、ちょー大好きなんです。
 映画は物語の主幹である、少年とおねえさんのラブストーリーに焦点をしぼって、ふたりの関係性の変化を誠実に描写していく感じでした。つっけんどんで酒飲みの広瀬すず、とっつきにくくて怖いけど、とてもきれいでちょっと脆くて、健やかな美少年が彼女に惹かれていく説得力がすごい。
 あの台詞がない、この場面が省かれている、というのは正直ある。原作のわちゃわちゃしたユーモラスな群像劇の感じをもっと再現してもよかったのではないか、と。でもそれは2時間では難しいのかな。
 いい映画なのでよかったら観てください。で、面白かった人にも、まあ普通くらい……?と思った人にも、原作マンガをお薦めします。
 

2023/09/26(火)

 疲労で日中ぼーっとしてしまった。
 HELLO!(疲労!)

 夜から用事があって忙しかった。
 しかし、なぜ私が出かけるときだけ大雨が降るのか……。自分の移動中だけ降って、目的地に着いたら止むってこと、ありませんか。
 学生時代を過ごした、懐かしい街並みを歩いた。
 あのころ足繁く通っていた古本屋はみんななくなって、どこかの大手飲食経営会社がやっている、チェーン店に見えない感じの居酒屋に変わってしまったな。


2023/09/27(水)

 インボイス制度というのが話題ですね。
 ざっくり言うと、領収書や請求書の扱いが煩雑になり、消費税の負担が増え、高収入でない自営業の人が……そしてそういう人と取引をしている企業も……とても困る制度と私は認識しています。あまりにも間違っていたらこっそりご指摘ください。
 そのインボイスに反対するクリエイターに向けて「高収入でないということは人気がない、人気がないということは作品の質が低い、そんなクリエイターは勝手に困ればいい」と言い放ったインフルエンサーが炎上している。炎上といっても、その意見を支持する声もけっこうある。その人は以前から炎上することで名前を売りたい人なのでどうでもいいんですけど、
「みんな、マンガやアニメは好きなのに、それを作っているクリエイターって嫌われてるんだな」
 という嘆きの声も多く上がっている。
 私も一応クリエイターの側なので「売れてる作品がある日いきなりにょきにょきと生えてくるわけじゃねえんだよ、売れっ子だって下積みの時代があるんだよ、その辛抱ができなくなるって言ってるのがなぜわからない?」とは思うけど……
 クリエイターが、ときには弱者のようにふるまい、ときには鼻持ちならない態度を見せるのが、一般的な会社員などに嫌われるのは、まぁわかる気もする。
 マンガ家や音楽家がこんなふうに言うのを聞いたことがありませんか。
「会社員ってすごいですよ。自分にはできない。絶対に向いてない。会社員は立派です」
 
本当に、純粋に尊んでいる人のほうが多いかもしれないけど、もう少し言い方を変えましょうか。
「会社員ってすごーい! 上司から理不尽なことを言われてハイハイと従ったり、毎日決まった時間に出勤させられたりするの、ぜったい無理だな! そんなこと我慢できるのが信じられない! よくやってるよね!」
 こういう言いかたをする人からリスペクトを感じられないのは聞いた人が悪く解釈しているからじゃないと思うんだよね。
「すごいと思うならやってみなよ。君にもできるよ。っていうか、向いてるとか向いてないとかじゃなくて、それをやるしかないって人のほうが圧倒的に多いんだよ」と怒られても仕方ない面はあると思う。


2023/09/28(木)

 終日、用事。
 来月から生活が微妙に変わり、その準備でも気忙しい。

 空いた時間に花村萬月『たった独りのための小説教室』を読み始める。まだ序盤だけど、予想通り、これはすごい本ですよ……背筋が伸びるどころか背骨がへし折れそう。
 クリエイターの端くれとして、もっとがんばらなきゃいけないな。
 私の作家の友だちはみんな優しい。私よりはるかに売れっ子でも。
「もうステージが違うから、君みたいな人とは話をしないよ」って態度をとることもできるし、実際にそういう感じで交流がなくなった作家もいる(仕方ないので納得はしている)けど、大半の人は変わらず対等の仲間として接してくれる。その信頼と親愛に応えたいというのも、がんばる動機のひとつです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?