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決定!ワールドカップ豪州代表選手団

まずはオーストラリアがカタール行きの切符を手にするまでの物語を

なんだかんだと色々ありましたが、11月20日からFIFAワールドカップ2022カタール大会が始まりますね。初めての中東での開催という事でムリクリ日程を11月に変更させ、又、新型肺炎の世界的パンダミックが起こり、予選の日程や場所などが影響されましたが、それでも参加32チーム出そろい、代表選手の発表が各地で行われています。私の住んでいるオーストラリアも先日代表選手の発表がありました。今回はこの選手達をご紹介。

GK:3人 平均年齢33歳
     アンドリュー・レッドメイン  シドニー(Aリーグ)
     マーティー・ライアン     コペンハーゲン(デンマーク)
     ダニー・ヴコビッチ      CCM (Aリーグ)
     

守護神は今シーズンコペンハーゲンに移籍したマーティー・ライアン。昨シーズンはリアルソシエダの2.5番目のGKでした。2番手はPKにめっぽう強いアンドリュー・レッドメイン。大陸間プレイオフでの大活躍が記憶にも新しい選手(上記の動画でご確認いただけます)。3番目に誰が入るのかで憶測が飛びまくりました。3番手としての実績が多いヴィコビッチか、代表を引退宣言を覆して来たミッチ・ランゲラックか?ランゲラックのJリーグでの実績は素晴らしくデータで示されています。結局監督が選んだのはいつものダニー・ヴィコビッチでした。残念!


DF: 9人 平均年齢25.8歳
      ナセナル・アトキンソン     ハーツ (SPFL)
      アジズ・ベヒッチ                    ダンディ (SPFL)
      ミロス・デゲネク                    コロンバス(MLS)         
      トーマス・デン                        新潟 (J1)
      フラン・カラチッチ                 ブレシア (Serie B)
      ジョエル・キング                    オーデンセ (デンマーク)
      カイ・ローレス                        ハーツ (SPFL)
      ハリー・サウタ―                    ストークシティ(EFL)
      ベイリー・ライト                    サンダーランド (EFL)
ディフェンダーでの驚きは予選で活躍して来たセインツベリーが選ばれなかった事。その代わりに怪我から復帰したサウターとデンが復帰+デンマークで頭角を現して来たキングが招集されました。この3人もそうですが東京オリンピックに出場した選手5人が名を連ねいます。お分かりかと思いますがオーストラリアのAリーグ所属の選手は一人もいない若い選手層で挑みます。

MF: 6人 平均年齢26.5歳
      キアヌ・バッカス                    セント・ミレン (SPFL)
      キャム・デヴェリン                ハーツ (SPFL)
      エイデン・フルステッチ         ヴェローナ (Serie A)
      ジャクソン・アーバイン         セント・パウリ (2 Bundesliga)
      レイリー・マッグリー            ミドルズボロウ (EFL)
      アーロン・ムーイ                   セルティック (SPFL)
ミッドフィルダーでの驚きは予選突破の立役者トミー・ロギッチの名が入っていない事。昨シーズンのセルティックの最終戦で涙を見せながら去って行ったロギッチは移籍先がなかなか決まらなかったこともあり、試合経験の不足が原因と言るでしょう。ミッドフィルダーにも東京オリンピック経験者が3名入っています。ここにもAリーグ所属選手はいませんね。

FW: 8人 平均年齢27.75歳
      マーティン・ボイル                ハイバーニアン (SPFL)
      ジェイソン・カミングス        CCM (A League)
      ミッチ・デューク                   岡山 (J2)
      クレッグ・グッドウィン       アデレイド (A League)
      ガラン・クオル                      CCM (A League)
      マヒュー・レッキ―              メルボルン・シティ (A League)
      アワー・マビル                     カディス (La Liga)
      ジェイミー・マクラーレン   メルボルン・シティ (A League)
フォワードでの残念なのはタガートが外れてしまった事。KリーグとJリーグの経験の持ち主だけに残念。他のポジションに比べて少し年齢層が高いのも特色かも。

私の注目選手

全員が注目株なのですが、特にディフェンダーは若返りを図ろうとしてますね。日本代表のディフェンダーの平均年齢が29歳、東京オリンピック出場経験者が4人に対してオーストラリアは25.8歳・東京オリンピック出場経験者は5人。特にオリンピックでキャプテンを務めたトーマス・デン。怪我で思うように浦和で活躍が出来ず退団。のちにJ2リーグの新潟に移籍し、怪我復帰後の後半戦ではディフェンスラインの要として活躍し、新潟はリーグ優勝・来季はJ1に参戦します。浦和対新潟が今から楽しみですね。そして記憶に残るこのゴール!

デン選手と仲の良いのがフォワードのアワー・マビル。共に南スーダンからの難民としてオーストラリアに移住、同じタイミングで代表選手に選ばれてます。マビルはAリーグからデンマーク→トルコ→スペイン1部のカディスへと移籍。ストライカーの出世頭でもあります。彼はアジア予選で大活躍!その名をとどろかせましたね。右サイドから駆け上がってのミドルシュールは一見です。

一番の注目はやはり18歳のガラン・クオル。Aリーグの下部組織で頭角を現したのが昨シーズン。今シーズン(10月開幕)からトップリーグの選手として登録されましたが、来年1月からはEPLのニューキャッスルに移籍が決まっている選手です。今年の夏に行われたU23アジアカップにも出場し派手なゴールを決めました。

一人一人に物語があるのでここには書ききれないのですが、もう一人異色の選手をご紹介。27歳でオーストラリア代表デビューを果たしたジェイソン・カミングス。彼はスコットランド生まれでスコットランドアンダー世代の代表歴も多い選手です。彼の母親がオーストラリア人という事もあり2重国籍を持っています。今まではスコットランドやイギリスのチームで活動はしていましたが、怪我に苛まれる事も多く、20/21シーズンに所属したダンディFC(SPFL)でもあまり試合に出る事はなくっていました。同じころ、オーストラリア代表監督のアーノルドは多くのオーストラリア選手が所属するスコットランド/イングランドを視察中でした。監督のリストには勿論彼の名も上がっていました。ただ、ピッチ上で彼の試合を見る事はかないませんでした。オーストラリアの選手達に影響を受けたのか、或いはアーノルド監督とお話をしたのか予測の範囲をぬぐえませんが、2022年の1月の移籍期間、アンダー世代のスコットランド代表として活躍していた彼はその活躍の場をスコットランドやイングランドから未知の母国オーストラリアへ移しました。シーズン途中から加入した彼はシーズン終了時にはチーム内得点王に輝きました。そしてオーストラリアに移籍後1年未満で代表に選ばれました。27歳のシンデレラ・ボーイの誕生です。


最後に今大会の選抜メンバー発表の動画をご紹介。日本の様に記者会見で選手を発表するのもワクワクしますが、オーストラリアの様に1本のPVの様に全世界に発表も良いのではないでしょうか。
この動画の前半は今年がオーストラリア代表チーム発足100年を考慮して作られ、後半は世界中のオーストラリア人が共感するように出来ている事です。
途中で出てくる「 I told you so」はオーストラリアのサッカーを語る上では外せない1文です。故ジョニー・ワレン氏が残した言葉です。直訳すると「そう言っただろ」ですね。「ワールドカップの予選に参加する事を話題にするのではなく、ワールドカップで勝つ事を話題にするべきだ」オーストラリアが予選突破する前から何度となく行って来た彼の言葉です。そして「予選を突破したらーそう言っただろっーて言ってやるさ」残念ながら彼はオーストラリアが2006年のドイツ大会の出場権を得る前に故人となってしまいました。ただ、彼の先を見据えたこの言葉はオーストラリア・サッカーのレガシーとなって生き続けています。
後半部分のナレーションを自己翻訳しました。多分、こんな事が語られているはずです。
戦火を逃れてオーストラリアを祖国と決めた者達、14歳で夢を追ってオーストラリアを旅立った者達。才能がない、背が足りない、弱すぎる、ガタイだけと言われて来た者達がこのユニークな国の顔となる。拒否や疑いが渦巻く中、全てをかけてヒーローになる者達。怒りのツィート、コメント、大見出しを突き抜けて彼等は進んでいきます。
2千6百万人を代表する6回目の代表選手達。フランス、チュニジア、デンマーク、そしてそれに続く国々。挑戦は果てしなく続きます。私たちはユニークで多様な旅をしています。そしてこの旅の話は完結する事はありません。

では、FIFAワールドカップ2022カタール大会を楽しみましょう!


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