風な日記

書かないとわからん書いてもわからん 頭をすっきりさせましょう

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最近の記事

流星群

まだまだ終わらないぞ、と言わんばかりに増幅された三線。全身で聴き慣れたリズムが住宅街に響いていく。まだそれなりの車通りで、いつもより出歩く人も多い。暗くて顔姿はよくわからないが、みな肩の力は抜けていて穏やかだ。歩行者信号の明滅で消えたり現れたりする若者のグループを見送って、アクセルをじわりと回した。 工事で盛り上がった交差点。思いのほかバイクが跳ねて肝を冷やす。危うくご先祖様になるところだった。死んだらすぐご先祖様になれるのだろうか。ご先祖様認定試験とかあったらどうしよう。

    • 羽化

      午後10時半、階段を登り切ると通路にはたくさんのヤスデが走り回っていた。一方向にではない。どこかへ行きたい、という欲求をヤスデが持っているかどうかは知る由もないが、とにかく思い思いに走り回っている。休日の公園に少し似ているな、などと思う。どこに行くわけでもなく無闇矢鱈に走り回っては、ぶつかってくるかもしれない子どもを警戒するような。足元のヤスデを踏み潰さないように自宅の鍵を取り出していると、壁際をセミの幼虫がゆっくりと力強く歩いていた。私の近づいてくる気配を感じたのか、セミは

      • 最後の散髪

        なんとなく面倒くさくって切らずにいた髪が好き放題している。 髪なんて伸びなければいいのに。 面倒くさがりな私でも、さすがに我慢ならなくなってきたのでいつもの理髪店に向かう。車を走らせながら、12年通い続けた店で散髪するのはもう最後かもしれない、と気づいた。というのも、新生活に伴って転居することになり、気軽には通えない距離になるからだ。 まぁ実際のところは車で30分になるだけなのだが。 とはいえ、私は面倒くさがりである。髪を切るために負わなければならない時間的負担は、新