221227_三角に見る

自分の信念としている考え方があと二つあって、そのひとつが物を多角的に見る。と言う考え方だ。

何か揉め事の相談をされた時、相談者の意見だけを聞いてもその側面しか解らない。もう片方の意見も聞いた上で、自分の意見を出す。相談されたからには全力で答えたい、と考えた時にそのやり方に行きついた。
その場で答えは出ないし、煮え切らない答えになることもあるが、そんなに相談される事もないので期待に答えたかった…

そうこうしているうちに表、裏、俯瞰みたいな違う角度からみることが染みついてしまった。

建築設計をする上で大事な素質は本質を見出す事だ。時間、空間、人間。言い換えると自然、条件、要望。または構造、品質、デザイン。そう言った要素を整理して本質を見出しそれを建築という物へと昇華出来る人が自分の思う良い設計者だ。

基本的には三つ角度や要素から考える事が最良だと思っている。それ以上多くなると複雑になりすぎるし、それ以下だと成り立たない。無理やりかもしれないが物理で例えるとトラス構造が分かりやすい。割りばしを三角に固定すると一番安定するが、四角以上にすると不安定で崩れてしまう。ニではなりたたない。物理的には三角が一番安定しているのである。

もう一つ多角的に物事をみることは、想像力を鍛えるのにも役立つ。自分の考え、当事者の考え、相手の考えを想像して答えを出す。自分の頭の中で物語を一回作ってみる様に。

建築デザインの専門学校で唯一心に残っているのが、常日頃から想像力を働かせておけと言う言葉だ。日常のちょっとしたことでも自分の中で物語を想像して鍛えておきなさいという意味だった。

そういう日頃の訓練がアイデア出しにおいて、選択肢を考えるのにも役立ってくる。色々なアイデア出しの方法論があると思うが、特に大喜利的な思考方法に有効だと思っている。

例えば、こんなOOは嫌だ→なぜ→良いところはないか?
こんな住宅は嫌だ→傘を差さないと寝室に行けない→普通の家よりも四季や自然を身近に感じられる。というようなやり方も普段から物事を多角的にみていると選択肢を増やしやすい。

物事を三角にみるというのはそういう方法論にもなりうるのだ。白か黒か、ではなくグレーからも考えることによって、人間の、考えうる本質を見出していきたい。



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