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フランスへの旅3 もう一つの廃村へ

この日の行程

ラカベから、どうやってフランス方面に進むかと地図を見ていて、ピレネー山脈の近くに住む、友達のお兄さんを訪ねてみるかということになった。
朝、ラカベを出発して、のんびりと車を走らせるも、あまりに暑いので、途中の村の市営プールで涼む。
プールで泳ぐなんて、なんて久しぶりなの!チリにもプールはなくもないが、入りたくなるほど暑くないので行かないし。
それから村の特産?のお豆の煮物の昼ごはんを食べて

ダム湖で泳いだりして、夕方、Googleマップに従って目的地に着くも、携帯の電波は途切れ、ここに人は住んでいるのか?不安に駆られるほど、人気がない村にたどり着いた。

でも、犬がいるってことは人も住んでるってことで、ドキドキしながら入っていくと、友達のお兄さんがでてきた。

まじでここに住んでいるの?という感じだけど、もう13年も住んでいるという。半分廃墟に住んでいると言っても過言ではないが、娘2人もここで生まれ、今は娘の母親とは別れてしまったので、1週間交代で娘たちと暮らしているらしい。
で、最近、彼の家の隣に住み始めたカップルがいた。こちらの家もすごい。

外からみるとむちゃくちゃでかい。
今、中をきれいにしている最中だったけど、前からの住人を追い出すこともできず、ツバメと同居。

彼らはトラックに住んでいて、年に数ヶ月、フランスに果物の収穫の季節労働に行って、がっつりお金を稼ぎ、残りはこの村にいたが、この度、その家を借りることにした。というのも、彼女は今妊娠5ヶ月。
なので、急ピッチで、家を修復中。

キッチンの窓は大きくていい感じ。

ロフトも綺麗にすれば心地の良い空間になりそう。

スペインにはこのような廃村がたくさんあって、そこに移住する若者もたくさんいるらしい。
この村にも昔は300人くらいがひしめく様に住んでいたらしいが、60年代に次々に人々がよそに移住して誰もいなくなった。
移住の理由は、貧しさ。夏も冬も厳しい気候と、その中での農作業に疲れ果て、国の経済の発展により、場所を選べばもっといい暮らしができる可能性があった時代、人々は村を捨て、街に住んで経済発展の為の労働者となった。
日本の高度経済成長と同じ時代だ。

スペインでは、小さい街でもマンションが立ち並び、多くの人がマンションに住んでいるが、多分彼らの祖父母や両親は昔は、村に住んでいたんだろうな。

友達のお兄さんは、無料でそのボロ屋に住んでいるが、正直廃墟に飲み込まれないだけで精一杯だと言う。積み重なるホコリ、直しても直しても、直し足りない家の隅々にうんざりすることも多いとか。それでも、街中で高い家賃を払って自由のない暮らしをするよりは、ここがいい。

この村の今の住民は7.8人。最近はスウェーデン人とオランダ人も廃墟を買って引っ越してきたという。確かに、村にポテンシャルはある。彼のボロ屋だって、チュースのような大工を10人くらい雇えば、1ヶ月くらいで、見違える様な家になるだろう。人が集まればみんなで修理ができて、暮らしやすくなる可能性はいくらでもある。
じゃあ、ボロ屋を買い取るか、というと、そうもいかない。そんなボロ屋でも1000万くらいするらしい。そんなお金はないし、そんな高額を投資する価値があるようには思えない。
家を修復中のカップルも、せっかく修復しで、もしかして、買取人が出て来て、家を出て行かなければならなくなる可能性もあるという。

でも、将来的には自分の家に住みたいということで、友達のお兄さんはその村のさらに奥に土地を買い、今、家を建築中。
近くには水浴びができる川があって素敵だった。

1人でコツコツと材料を運び、時間がある時に作っているので、いつ住めるようになるのかわからないけど、それでいいのだと言う。

日陰で涼む住人たちとチュース。
廃村復活と、住居問題。
興味深いテーマだ。

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