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人の失敗に学べ!〜生き方篇〜 「しくじり見本帖 〜16人の失敗談〜」から

わたしは「しくじり見本帖 〜16人の失敗談〜」に、「失敗男(しっぱいだん)」と称して、婚活で失敗した話、そのお相手の話を書きましたが、実はそれより先に題材として思い描いていた「大失敗」がありました。

『しくじり見本帖 〜16人の失敗談〜』
「オンラインサロン 京都くらしの編集室」のメンバー16人が参加しているオムニバスZINE。文学フリマ東京38では50冊を完売した。
感想、レビューをちまちまと書いています。(文末に販売サイト)

まあ、盛大な失敗です。お金、男がらみです。当時、「だめんずうお〜か〜」というダメ男を題材にした漫画が流行りましたが、ドンピシャすぎて顔が引きつります。家族にも友達にも、心配をかけました。

今となっては笑い話、面白おかしく「平成のだめんず」を世にさらす自信もありましたが、いざ頭の中で文章を整理し始めたら、胸がムカムカしてきたのです。

「ああ、本当にダメージが大きかったことは、思い出さない方がいいんだね」と自分に語りかけ、その話をネタにすることはやめました。

そんな経緯もあり、
嵐山ゆりかさんの「装いの笑顔」を読んだ時は胸が震えました。
タイトルから想像される通り、ゆりかさんが「笑顔」を装備してたどってきた人生、そしてその時々の思いを綴ったエッセイです。

その人生が、読んでいてけっこう辛い。
失敗談を読んで笑い泣きするつもりが、胸の苦しみを伴う本気の涙が出そうになるのです。

・子どもの頃から、笑顔を絶やさずにいた。
・真顔でいると「機嫌が悪いの?」と言われていた。
・社会に出て、嫌なこと、理不尽なことがあっても、笑顔を心がけて対応してきた。
・自分に辛く当たってくる人の機嫌を取るために、いつも笑顔を向けていた。

ーーそして、そんな自分の行動が、自分自身を追い詰めていた、と気づいたーー

最後に、
「自分のありたい表情で生きる。それを無理せずにできることが、今のわたしにとっての幸せ」
と結んでいることに、わたしは救われました。

ゆりかさんは巻末の「しくじり座談会」にも参加。こんな言葉を残しています。
「書いている間は苦しくて 〜省略〜。書いているうちに、失敗を〝大切にしたい価値観に気づけた経験〟に転換できたのが良かった」。

書くことは、心のセラピーになるのですね。

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人間関係で悩んでいる、どうしても偽の自分を繕ってしまうーー現代社会に生を受けた多くの人が、同じような生きづらさを抱えている気がします。

苦しい作業を乗り越えて、原稿を仕上げてくださったゆりかさんに、尊敬の眼差しを向けてしまいます。

「しくじり見本帖 〜16人の失敗談〜」の中でも、異彩を放っている作品でしょう。モノローグスタイル(独白)で淡々と綴られるその言葉たちは、1文字1文字に重みがあって、わたしは太宰治の「人間失格」を連想したほどです。

多くの人に届けと、願わずにはいられません。

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