きみはプリンセスじゃない
『リトル・マーメイド』を見た。
誰もがおなじみの、ディズニー映画だ。「人魚姫」をモチーフにしながら、ハッピーエンドにしてるやつ。 1989年に制作されたやつなので、価値観はアップデートされておらず、
「男の人は、おとなしい女の人が好きなのよ。自分の意見を言ったり、ぺちゃくちゃおしゃべりしないで、にっこりただほほえんでいる方が好きなの」
みたいな、今の時代では考えられないようなセリフが出てくる。
平和な海の王国の人魚姫アリエルは、王様の娘の四人姉妹の末っ子。美しいお顔に美しい声、美しい歌声で、好奇心いっぱいのおてんば。父王のトリトンは「人間界とは絶対に関わりを持つな」というけれど、アリエルは人間界のものが大好き。すごく憧れてて、人間の様子を海から観察しているうちに、ある嵐の夜、人間の王子エリックに会い恋に落ちます。でもアリエルは人魚姫なんでなんもできないんだけど、そこに目をつけたのがトリトンに恨みを持つ海の魔女アースラ。アースラはアリエルに「お前の声と引き換えるのを条件に、3日だけ人間の姿にしてあげる。その代わり、3日目までに真実の愛のキスをしないと呪いの姿にするよ」という取引をする。王子に会いたい一心で人間の姿になり、王子に会いに行く。漂流した姫かなんかと思われたアリエルは、王子の召使いにこう言われる。
「なんて美しいお嬢さんなんでしょう。お顔も、お姿も美しい」
こういうプリンセスもので、何千回と聞いたセリフでしょ?でも、この時は違った。私は、雷に打たれたような気分だった。
そうか、私はプリンセスじゃない。藻だ。アリエルの、後にある藻。産まれて、それなりに生きて、そのまま、死ぬ。
わたしは、これまで、何の根拠もなく、
人間の人生ってディズニーのプリンセスみたいなものだと思ってたのだ。
人間って、産まれて、大人になって、ドッカーンってなにかが起こって、そのあと幸せにくらしました。めでたしめでたし。
ってやつ。
が、全人類に起こるんだと思ってた。
ほんとに、
何の
根拠も
なく。
でもちょっとまって?!気がついて?!あなたは?!海底の王女でもなければ?!美人でもなく?!美しい声もなく?!
アリエルじゃないから!
藻だから!
藻!!!!!
むしろ、なんでアリエル側だと思ってた?!根拠なさすぎだろ?!こっちがびっくりするわ!
うん。これが俺。うん。しっくり来るわ。なんか産まれて、それなりに酸素とか作って、そんで、死んでくんだわ。なるほど。たしかに。たしかにそのとおり。
いや〜〜〜〜
びっくりしたわ。
いろいろと。
人類がディズニープリンセスだと思ってたことにもびっくりしたし、藻だっていうのは納得したし、そう言われるとこの地味〜〜な人生にも納得するわ。
生きるって、こういうことなんだ。
わたしは
プリンセスじゃ
ないんだ
うお〜〜!!
気づくの
遅
びっくりするわ
どういうこと
■本当の人生は藻から始まる
ってね。だから、今はすごい真実に目覚めた気分なんですよ。「あれ〜!?おっかしいな〜?!人生ってこんな感じなの〜?!」ってものすごく怒ってたのが、「これが!人生ってやつか!」って、めちゃくちゃ納得した。なるほどですね。こういうことか。早く言ってくれよ〜
藻だと、やっとわかった私。
私の人生は、これから、やっと、始まるんだと思う。
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