vlogと書いてフィクションと読むんですよね？

　転職をしてから期間限定ではあるが、土日祝日休みになった。長らくシフト制で働いてきたので、５日間連続で働くことに慣れず、日々金曜日が待ち遠しい。
　
　毎週金曜日。退勤後の開放感が心地が良い。何か買って帰ろうか。デパ地下に行ってみようか。そんなことを考えながらふらふらしていた転職後初めての華金。気がついたらドンキにいた。ぼんやり歩いていたら外国人観光客の波に流されてしまったのだ。何となく韓国ラーメンを買って帰る。全然華やかじゃなかった。
　
　しばらくすると、１週間お疲れ様のご褒美として何かを買って家で食べることが金曜日のルーティンになった。マック、焼鳥、半額の寿司・・・。独身だし、ひとり暮らしだし、みんなこんなもんよねと思っていた。
　
　しかし、ポイント稼ぎにTiKTokLiteで「金曜日夜のルーティン」「休みの前日のルーティン」と検索してみると、動きにくそうなロングスカートにゆるくまいた髪をなびかせながら帰宅し、軽めの食事を作る若い子のショート動画が沢山出てきて驚いた。偏見だと自覚しているが、だいたいそういう女性はパスタやチーズとオリーブオイルとブラックペッパーを効かしたイタリアンっぽい料理を作って間接照明がある少し暗めの部屋にいる。それから、あくまでイメージだが、お腹いっぱいにならないであろうベビーリーフも多用しがち。これまた私のイメージだが、食後のお風呂はココネシャンプーを使用し視聴者に勧め、洗面台にわんさか並んだスキンケアから今日の気分で化粧水やら美容液やらをセレクトしている。気がする。

え、本当なん？
毎回カメラ構えるわけやしフィクションよね？
フィクションだと信じたい。
フィクションだと言ってくれ。
こちとらジャンキーなものを食べながら昨日のアメトーークから、さらば青春の光のYouTube、金属バットのYouTubeとお笑いはしごからの寝落ちがルーティンなんじゃ。

　そんな風に開き直りつつも、やはりどこかで憧れがあったのかもしれない。ココネシャンプーをネットで購入してみた。事前に1回分のお試しサイズを使用したところ、ショート動画の女たちが勧めるはずだわと感動したチョロい私。届いてすぐに使用したが、初めて使用したときの感動はなかった。「もっととぅるんとぅるんだったような…」と思いつつふとパッケージを眺めるとココネシャンプーではなく聞いたことないメーカーの類似製品だった。

憧れるのはやめましょう。大谷くんの言葉が聞こえた気がした。