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ChatGPTシャットアウト: EU準拠の言語モデルが進化中

ヨーロッパでは、データ保護とプライバシーに関する規制が厳格になっています。特にEU(European Union、ヨーロッパ連合)ではGDPR(General Data Protection Regulation、一般データ保護規則)が施行されており、個人データの保護とプライバシーの確保が重要視されています。このような背景のもと、OpenAIのChatGPTのような高性能な言語モデルは、データ保護に関するさまざまな課題を抱えています。


ChatGPT締め出しに動くEU

特に、ChatGPTは個人のテキストデータを利用して学習するため、EUのデータ保護規則に違反する可能性があります。さらに、ChatGPTの提供する情報の正確さや信頼性、そして利用者のプライバシーに対する懸念が、EU諸国の一部で法律や規制の対象となっています。

イタリアでは一時的にChatGPTの利用が禁止されていましたが、その後解禁されています。一方で、ドイツでは2023年4月1日現在、ChatGPTの利用に関して検討が進められており、データ保護に関する懸念が引き続き存在しています。ポーランドでもプライバシーに関連する問題が指摘され、規制の可能性が検討されています。また、スウェーデンはChatGPTの利用に関する規制を否定しています。

これらの規制と懸念は、アメリカ企業であるOpenAIが欧州市場で直面する大きな障壁となっています。このような状況の中で、EU内の企業であるAleph AlphaやMistral AIは、欧州のデータ保護法やプライバシー規制に準拠しながら、言語モデルの開発と提供を進めています。これにより、これらの企業は欧州市場での競争力を保ちつつ、言語モデル技術の発展に貢献しています。

EUの規制を突破する地元企業が展開する新世代言語モデル

Aleph AlphaとMistral AIに焦点を当て、これらの企業がヨーロッパのAI産業にどのような影響をもたらす可能性があるのか、そしてヨーロッパのデータ保護とプライバシーの規制が、これらの企業のAI技術開発にどのように影響を与えているのかを探求していきたいと思います。

Aleph Alpha(ドイツ)

  • Aleph Alphaは、ドイツのAIスタートアップで、人工知能技術の研究と開発に従事しています。この企業は、ヨーロッパのAI産業におけるリーダーの一角と目されており、ヨーロッパ全体でのAI技術の発展と産業の成長に貢献することを目指しています​​。

  • 企業は、様々な産業に向けて、AI技術を利用したソリューションとサービスを提供しています。特に、人間とAIとの協働を重視し、人間の意思決定をサポートするAI技術の開発に焦点を当てています​​。

  • Aleph Alphaの目標は、ヨーロッパの企業や組織が、自身のAI技術とデータを保有・利用できるようにし、ヨーロッパ内でのデータの流通と利用を促進することです​​。

Mistral AI(フランス)

  • Mistral AIは、フランスのAIスタートアップで、最近ではヨーロッパで最大のシードラウンドとなる€105ミリオンの資金調達を成功させました​​。

  • この企業は、最初のジェネラティブAIモデル「Mistral 7B」を公開しており、このモデルは7 billion parametersを持つ“small-sized”モデルとされています​5​。

  • Mistral AIの初のモデルは、無料でダウンロードと利用が可能で、このアプローチは、アメリカのAI企業、特にMetaやOpenAIといった大手企業と競合するための戦略の一部とされています​​。

これらの企業は、ヨーロッパにおけるAI技術の発展と産業の成長を促進するために重要な役割を果たしています。特に、ヨーロッパのデータ保護とプライバシーの規制に対応し、ヨーロッパ内でのデータの利用と流通を促進することが、これらの企業の重要な目標となっているようです。そして、ヨーロッパ全体でのAI技術の発展と競争力の強化に向けて、積極的な投資と研究開発が進められている状況が伺えます。

日本で鳴り物入りで始まった国産AIの開発状況は?

サム・アルトマンの初来日時には、日本中から熱狂的な歓迎がありました。しかし、アメリカやヨーロッパでのChatGPT規制の波が押し寄せると、日本も慌てて規制の動きを見せました。これに伴い、「国産AI開発」の気運が高まっているものの、まだ目立った成果を上げることができるスタートアップ企業は見当たりません。

サイバーエージェントなど一部のユニコーン企業が開発に乗り出していますが、国内の技術力不足が大きな壁となっているようです。それでも、日本のAI産業がこれからどのように進展するのか、そして新たな規制がもたらす影響は何か、続く動きに目を離せない状況にあることは間違いありません。

今後の日本のAI産業の動向は、国内外の規制、技術開発、そして国際的な協力の三つの要素に大きく影響されるでしょう。この三つの要素がどのように連携し、そして日本のAI産業がこれからどのように進化するのかを見守ることが、今後の我々の課題となります。

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