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室温で動く超伝導体: 韓国科学者の画期的な発見にサム・アルトマンも注目

8月1日の午後11:41のサム・アルトマンのx's(エクスズ=旧ツイート)によると、室温で動く超伝導体の発明にAI界隈が湧き立っている事がわかります。

この件は、7月28日にサム・アルトマンのx'sですでに彼が注目していました。その事は下記のNoteにまとめましたので合わせてご覧ください。

ちなみにサム・アルトマンの発言「a month ago the most exciting drama on tech twitter was elon and zuck fighting」についても軽く触れておくと、イーロン・マスクとマーク・ザッカーバーグの人工知能(AI)の将来についての見解で公に対立している事を言っています。

つまりマスクはAIの未来について慎重な立場を取っており、AIが人間の制御を超えてしまう可能性を懸念しています。彼はAIを「人類にとって最も深刻なリスク」と表現し、AIの開発と規制には厳格な監視が必要だと主張しています。一方、ザッカーバーグはAIに対してより楽観的な見解を持っています。彼はAIが人間の生活を大幅に改善すると信じており、マスクの懸念を「不必要にドラマチック」と表現しました。

この二人の見解の違いは、テクノロジー業界で広く議論されており、それぞれの立場が彼らのビジネス戦略にも影響を与えています。
では本題に戻りましょう。


室温超伝導体の可能性

超伝導体とは、電流を抵抗なしに伝導できる特殊な物質のことを指します。これまでのところ、超伝導性は非常に低い温度でしか発現しないとされてきました。しかし、最近の科学的な突破により、室温でも超伝導性を発現する物質が開発される可能性が出てきました。これが現実となれば、電子機器の性能向上やエネルギー消費の大幅な削減など、科学とテクノロジーの世界に大きな影響を与えることでしょう。

室温超伝導体の突破

室温超伝導体の開発に成功したと主張しているのは、韓国の物理学者であるSukbae Lee、Ji-Hoon Kim、そしてYoung-Wan Kwonの3人です。彼らはこの新素材「LK-99」を開発し、それが室温で超伝導性を示すと主張しています。
これは、電子機器の性能を大幅に向上させ、エネルギー消費を大幅に削減する可能性を秘めています。例えば、電力伝送におけるエネルギーロスをほぼゼロにすることが可能になり、これによりエネルギー効率が大幅に向上します。
参考記事↓

テクノロジー産業への影響

新たに開発された室温超伝導体は、テクノロジー産業に大きな影響を与える可能性があります。この新素材は、コンピュータ、電子機器、電力網など、さまざまなアプリケーションで使用できると考えられています。特に、量子コンピュータの開発においては、超伝導体と極低温環境が必要となっているため、室温で動作する超伝導体の開発は大きな進歩をもたらす可能性があります。

室温超伝導体の応用分野

室温超伝導体は、電力伝送、医療機器、コンピュータなど、さまざまな分野で応用される可能性があります。例えば、電力伝送においては、エネルギーロスを大幅に削減することが可能になります。また、医療機器においては、MRIのような装置の性能を向上させることが期待されています。さらに、コンピュータにおいては、より高速で効率的なデータ処理が可能になるでしょう。

サム・アルトマンがこの分野に特別な関心を持つ理由は

彼は、米国の大手スタートアップ・インキュベーター、Yコンビネーターの元社長で、OpenAIでのAI開発に専念するため退きましたが現在でもYコンビネーターに対して多大な影響力を持っています。Yコンビネーターは、超伝導方式の量子コンピュータを開発するRigetti Computingに投資を行いました。

もし室温で動作する超伝導体が実現したら、それは量子コンピュータの設計や運用において大きな進歩をもたらす可能性があります。なぜなら、現状の量子コンピュータ技術では超伝導体と極低温環境が必要となっているからです。AI開発用の量子コンピュータ技術の開発が進められています。

OpenAIは量子コンピューターでのAI開発を目指す

量子コンピューターがAI開発に用いられると、そのパフォーマンス向上は非常に大きいと予想されています。量子コンピューターは、古典的なコンピューターでは解くのが困難な問題を、効率的に解く能力を持っています。これは、量子ビット(qubits)が複数の状態を同時に保持できる「重ね合わせ」状態と、量子ビット間の相互作用を表す「量子もつれ」状態を利用するためです。

AIの一部分野、特に機械学習では、大量のデータを効率的に処理し、パターンを見つけ出すことが必要です。古典的なコンピューターでもこれは可能ですが、データ量が増えると計算時間が指数関数的に増大します。一方、量子コンピューターは理論的には、これらの計算をより高速に、またはより効率的に行うことができます。

具体的なパフォーマンス向上の数値を示すのは難しいですが、量子コンピューターがフルに活用されれば、AIの学習時間を大幅に短縮し、より複雑な問題を解く能力を向上させることができると考えられています。

ただし、現在の量子コンピューター技術はまだ初期段階であり、実用的な規模の問題を解くためには、より多くの量子ビットと、エラーを制御する技術が必要です。また、量子アルゴリズムの開発や、量子コンピューターとAIの統合に関する研究も進行中です。

サムスン電子LK-99を用いた新たな量子ビットの可能性

2023年5月14日、韓国メディアは韓国Samsung Electronics(サムスン電子)が300億円超を投資し横浜市に先端工程の試作品製造ラインを新設すると報じました。2025年の稼働を目標にしており、日本政府の半導体補助金を申請し、100億円以上の補助を受ける予定です。
新設する試作品製造ラインでLK-99を用いた新たな量子ビット(qubit)の素材を開発する事ができれば、以下の様な効果が見込めます。

  • 低エネルギー消費:超伝導体は電流を無抵抗で流すことができるため、量子コンピューターの動作に必要なエネルギーを大幅に削減することができます。これは、量子コンピューターの効率性を向上させるだけでなく、エネルギー消費を抑えることで環境にも優しいという利点があります。

  • 高速計算:超伝導体は電流を高速で流すことができるため、量子ビット間の情報伝達速度を向上させることができます。これにより、量子コンピューターの計算速度が向上する可能性があります。

  • 安定性の向上:超伝導体は電流の流れを安定化させることができるため、量子ビットの状態をより安定に保つことができます。これは、量子コンピューターのエラー率を低減し、計算の信頼性を向上させる可能性があります。

国産量子コンピューターへの登用の可能性

一方、日本の国産量子コンピューターは理化学研究所で稼働を開始し、インターネット上のクラウドサービスで公開されています。開発には理研のほか、産業技術総合研究所、情報通信研究機構、大阪大学、富士通、NTTが参画し、政府も支援しています。
もしこの国産量子コンピューターの開発にサムスンが参入することになれば、LK-99を用いて、新たな量子ビット(qubit)の利用も可能になるのではないかと筆者は思いました。

世界中が注目するLK-99には間違いなく韓国が輸出規制をかけてきます

この輸出規制を突破し、理研の国産量子コンピューターがLK-99をゲットするためにはこの様な手順が必要になると思われます。理研の国産量子コンピューターが新たな量子ビット(qubit)開発に向けてLK-99を輸入するための障壁突破へのロードマップを書いてみようと思います。

  1. 技術評価とリスト規制の確認: まず、LK-99がリスト規制に該当するかどうかを確認します。もし該当する場合は、経済産業大臣の許可を得るための申請が必要になります。

  2. キャッチオール規制の確認: リスト規制に該当しない場合でも、キャッチオール規制に該当するかどうかを確認します。これは、LK-99が大量破壊兵器や通常兵器の開発などに使用されるおそれがあるかどうか、また、受け取る者が大量破壊兵器の開発などを行っているかどうかによります。

  3. 政治的な交渉: もしLK-99がリスト規制やキャッチオール規制に該当する場合、政府間の交渉が必要になるでしょう。これは、日本政府が韓国政府と協議し、特例的な輸出許可を得るためのプロセスです。

  4. 輸出許可の申請: 政府間の交渉が成功した場合、経済産業大臣の許可を得るための申請を行います。これには、LK-99の詳細な技術情報や用途、受け取る者の情報などが必要になります。

  5. 輸出と導入: 輸出許可が得られたら、LK-99の輸出と理化学研究所への導入を行います。これには、適切な輸送手段の選択や、導入後の安全な取り扱い方法などが考慮されるべきです。

横浜で稼働予定のサムスン半導体工場との連携も考えられる?

横浜市に2025年建設予定のサムスン先端工程の試作品製造ラインでのLK-99を用いた量子ビット(qubit)開発も考えられると思います。

経済産業省は4月28日輸出手続きを簡略化する優遇国「グループA(ホワイト国)」に韓国を復帰させると発表しましたが、いずれにしても、LK-99の輸出に規制がかかる恐れが出てくると思われますので、日本もそれなりの技術力を保持した上で韓国と良好な関係を保ち続ける事が大切です。

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