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福島原発汚染処理水素朴な疑問

2021年4月より国際原子力機関(IAEA)の指導の元進められてきた福島原発汚染処理水の海への放出は、トリチウムの自然に減衰を待ち2023年8月26日より開始されました。環境省も「ALPS処理水」の処分時に放出するトリチウムの年間総量22兆Bq未満という量は、海外の多くの原子力発電所等からの放出量と比べても低い水準とレポートしており安全である事を強調しています。

放流の方法は下記の国際原子力機関(IAEA)のページで確認できます。


IAEAはなぜ福島原発の処理水放出にOKを出したか

また、BBCのニュースでIAEAが福島原発の処理水放出にOKを出した経過が語られ、

それに先立ち、福島第一原発の処理水が海洋放出された時の影響は「無視できる程度」とのIAEAがの報告書について記事になっています。

忘れ去られたヨウ素129のレポート

長寿命放射性同位体の存在は特に問題とされていますが、ヨウ素129(I-129)はその一つです。半減期が約1,570万年と非常に長いため除去が困難です。

ヨウ素129とは

ヨウ素129は放射性同位体であり、その摂取による内部被曝のリスクがあります。ヨウ素は体内で主に甲状腺に蓄積される性質があり、甲状腺が放射性ヨウ素を取り込むと、甲状腺組織が放射線にさらされる可能性が高まります。これが長期にわたると、甲状腺がんなどのリスクが高まる可能性があります。

ただし、ヨウ素129の半減期は約1,570万年と非常に長いため、放射能の強度自体は比較的低いとされています。したがって、短期的な被曝リスクは比較的低いと考えられますが、長期的な摂取や蓄積が問題となる可能性があります。

また、ヨウ素129の存在する環境には、他の放射性物質(例えばセシウム137、ストロンチウム90など)も存在する可能性が高いです。これらの放射性物質と併せて摂取すると、被曝リスクはさらに高まる可能性があります。

安全なレベルでの摂取量や被曝リスクについては、専門家や関連機関の指針や評価に基づく必要があります。特に、食品や水の安全基準は、多くの国で厳しく設定されており、これらの基準を超える場合には摂取を避けるべきです。

東京電力による海洋中のヨウ素129保有量計測

海域でのヨウ素129の数値は常東京電力によって測られており、福島第一原子力発電所 多核種除去設備等処理水の取扱いに関する海域の環境放射能測定結果 (令和 4 年度(2022 年度)第 4 四半期)というPDFにも纏めらせています。

東電自身が海洋中の濃度を常に計測しているにも関わらず、福島原発汚染処理水についてIAEAがヨウ素-129について触れていないというのは注目すべき点です。

この点が公式な報告や評価で触れられていない場合、それは科学的な評価が不足している可能性を示しているかもしれません。特に、放出される処理水の安全性について国際的な信頼を得るためには、ヨウ素-129を含むすべての放射性同位体についての詳細な評価とその公開が必要です。

ヨウ素129の除去方法

John S. McCloy による「ソーダライトベースの廃棄物形態における苛性スクラバーとヨウ素 129 の固定化のプロセス最適化」というタイトルの記事では、東京電力 (東京電力) がヨウ素 129 を除去する技術を欠いていることには特に言及していません。この記事は、核燃料再処理工場から蒸発したヨウ素を除去するための苛性スクラバーの最適化と、ソーダライトベースの廃棄物形態でヨウ素 129 をどのように固定化できるかに焦点を当てています。

ピーター・サンチ教授が執筆した Open Access Government の記事では、高リスクの放射性同位体ヨウ素 129 とその安全な処分に関する問題について論じています。ヨウ素 129 の特性、放射性毒性、環境への影響について説明します。この記事では、銀ベースの固定化技術の使用など、ヨウ素をより効果的に固定化するためのさまざまな工学的アプローチについても説明しています。

IAEAはなぜヨウ素-129残有量のチェックを義務付けなかったのか

GPT-4にこの様な疑問をぶつけてみました。
筆者問:ヨウ素-129の除去方法は既にあるのになぜIAEAは福島原発汚染処理水に対してヨウ素-129の残有量をチェックしもし安全な数値を超えていたら除去処理を指南しないのでしょうか?

GPT-4返答:
IAEA(国際原子力機関)の役割は、主に原子力の平和的利用を促進し、その安全性とセキュリティを確保することです。しかし、IAEAが具体的な除去方法や処理技術について指南を出すかどうかは、多くの要因に依存します。これには政治的な要素も含まれる可能性があります。

  1. 科学的根拠: IAEAは科学的な根拠に基づいて判断を下す機関です。ヨウ素-129に関する具体的なデータが不足している場合、それが指南を出さない一因となる可能性があります。

  2. 国際的な合意: IAEAの指南や決定は、多くの場合、加盟国間の合意に基づいています。そのため、特定の問題に対する指南を出すかどうかは、加盟国の意見や立場に大きく影響されることがあります。

  3. 技術的な制約: 既存のヨウ素-129の除去技術があるとはいえ、それがすぐに商業規模で適用可能かどうかは別の問題です。また、除去技術自体が高コストである場合、それが採用される可能性は低くなります。

  4. リスク評価: ヨウ素-129の環境や健康へのリスクが他の放射性物質に比べて低いと評価されている場合、IAEAが特に指南を出さない可能性も考えられます。

  5. 透明性と信頼性: IAEAが何らかの指南を出さない場合、その理由は公にされるべきです。透明性が確保されていないと、公衆の信頼を失う可能性があります。

このような複数の要因が絡み合って、IAEAがヨウ素-129に対する具体的な指南を出していない可能性があります。この問題には、科学的な側面だけでなく、政治的、経済的、社会的な側面も大きく影響していると考えられます。

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