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自己回帰モデルσ-GPTって何?ChatGPTの次世代モデルの可能性

最近、GPTモデルに新しい進化が現れました。σ-GPTは、これまでのモデルと違い、文章を作る順番を自由に変えることができます。これにより、より速く、より柔軟に文章を作れるようになりました。例えば、文章の途中から書き始めたり、穴を埋めるように単語を補完することが簡単になります。この新技術は、将来のAIがもっと賢く、使いやすくなることを意味しています。下記にその論文、「σ-GPT: 自己回帰モデルへの新しいアプローチ」を掲載します。

従来のGPTモデルの制約

従来のGPTモデル(例えばChatGPT)の制約と、σ-GPTがそれをどのように克服するかを説明します。

例1: 文章の途中からの生成

従来のGPTモデルでは、テキスト生成は常に左から右へ逐次的に行われます。例えば、「The quick brown fox jumps over the lazy dog」という文章があったとします。この文章の途中、「brown fox jumps」から生成を開始したい場合、従来のモデルでは難しいです。モデルは常に先頭から生成を始めるため、途中から生成するためには、最初の部分を事前に提供しなければなりません。

例2: 文章の一部を埋める(インフィリング)

例えば、「The quick ___ fox jumps over the lazy dog」のように、途中の単語を埋める(インフィリング)タスクを考えます。従来のGPTモデルでは、このタスクを行うために、まず「The quick」まで生成し、次に「fox jumps over the lazy dog」を続けて生成する必要があります。これにより、文脈全体を理解して適切な単語を補完することが難しくなります。

「σ-GPT」という新しいアーキテクチャ

この論文で取り上げられている「GPTファミリー」や「σ-GPT」は、ChatGPTを含む一連のGPT(Generative Pre-trained Transformer)モデルに関連しています。これらのモデルは、オートレグレッシブな方法でテキストを生成するトランスフォーマーベースの言語モデルです。

この論文では従来のGPTモデル(例えばChatGPT)とは異なり、トークンの生成順序を動的に変更できる「σ-GPT」という新しいアーキテクチャを提案しています。このアーキテクチャは、特定の固定順序(例えば左から右)に頼らず、トークンを任意の順序で生成できるようにすることで、柔軟な生成が可能になることを示しています。

つまり、この研究はChatGPTのような従来のモデルの制約を克服し、より効率的で柔軟なテキスト生成方法を提案していると言えます。

例1: 文章の途中からの生成

σ-GPTでは、生成順序を動的に変更できるため、「brown fox jumps」から生成を開始することが可能です。モデルはどの位置からでもシーケンス生成を始めることができるため、途中からの生成が容易になります。

具体的には、以下のようなシナリオが考えられます:

  • 元の文章: "The quick brown fox jumps over the lazy dog"

  • 途中からの生成: "brown fox jumps" から始めて、次のトークンを生成する。

例2: 文章の一部を埋める(インフィリング)

σ-GPTは、文中の任意の位置で条件付き生成を行うことができます。これにより、例えば「The quick ___ fox jumps over the lazy dog」の「___」部分を埋めるタスクでも、前後の文脈を考慮して適切な単語を生成することが可能です。

具体的には、以下のようなシナリオが考えられます:

  • 元の文章: "The quick ___ fox jumps over the lazy dog"

  • インフィリング: 「The quick」と「fox jumps over the lazy dog」の両方の文脈をモデルに提供し、適切な単語(例えば "brown")を生成する。

具体的な比較

  • 従来のGPTモデル: "The quick brown fox jumps over the lazy dog" を生成するために、必ず「The quick brown」から始めて、「fox jumps over the lazy dog」と続ける必要がある。

  • σ-GPTモデル: "brown fox jumps" の途中から生成を始めることができ、「The quick」や「over the lazy dog」の部分を必要に応じて後から補完できる。

これにより、σ-GPTは従来のGPTモデルに比べて、より柔軟で効率的な生成が可能となります。

σ-GPT と GPT を使用してシーケンスを生成する様子を紹介

論文を提出した、アルノー・パナティエエヴァン・クルディエフランソワ・フルーレは、下記のwebページでσ-GPT と GPT を使用してシーケンスを生成する様子を紹介しています。


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