今更『コウノドリ』を見た人間は大号泣をしている。

生物学上、女性として生まれてきたので、いつか見なければと思っていたのです。

多分、生物学上の男性として生まれていても「他人の腹を借りるのだからいつかみなければ」と私は思っていたことでしょう。

なぜなら私の母は看護師だからです。

性教育は母から直々に受け、どのように自分が取り上げられたか、助産師さんは誰か、昔から細かく細かく話してくれました。
産後大変だったこと、小さかった頃は何も分からなかったけど、定期的に妙に落ち着きのあるおじさん先生と母がお話していたことを最近思い出していたのでした。
レコーダーに録音した、胎内にいるときの私の心音とか流してくれてたりしたなあそういえば。

私は、いとこの中でも1番上の子です。
1年間、たくさんの愛を独り占めしたんだと思います。
覚えとらんからしらんけど。
だから擬似タイムスリップみたいな形で見てみよう!と思って。
あとMIU404が好きなので、星野源さんと綾野剛さんのタッグが見たかった。

そしたらもうね、大泣き。
ひきつけ起こす。
昔から医療ドラマは見てたんですよ。母の横で。
だから割とすきなジャンルなんです。

でもね、過去一。
もうね、ハンカチ何枚あったって足りない。

べそべそ。

こんなに優しくて痛い話があってたまるか。
あと自然分娩なんぞ絶対にしたくないと強く思った。

お芝居がいい、とか、音楽がいいとか、そういうんじゃなく。
全ての話が、全て私のifな気がしてな…………

私はメンタル弱いし、誰にも相談できず、未受診妊婦になってしまうかもしれないし。産後うつにかかるかもしれない。
赤ちゃんおいて飛び降りたらどうしよう。
母の家系は乳がんの家系だから、妊娠中にガンになったらどうしよう。
ハイになって旅行とか言ってそこの地元の産婦人科に迷惑かけたらどうしよう。
そういえばこの前、婦人科の先生に「筋腫が小さいけどあるね」って言われた。大きくなったらどうしよう。子宮取らなきゃなのかな。
役者を1度やめて、いざ妊活!となったとき、高齢出産期に入っていて、赤ちゃんにも自分にもハイリスクなお産になる可能性がないわけじゃないんだ!

そんななかで優しく鴻鳥先生、四宮先生、下屋先生、小松さんが語りかけてくれてほんとにほんとに救われて、出産を経験した方がコレ見たらどう思うんだろうとすこし憧れたりして。

なんか、画面の中ですけど、皆さんと人として会話出来てるようで、嬉しくて。

幸せな時間でしたが、やはり、フィクションというのは、ノンフィクションをもとにしているわけで。
福祉とかそういうものに自分が出来ることってなんだろうなあと最近は考えています。
例えば、望まない妊娠をしてしまった妊婦さんはどうしたらいいのかなとか。
産後うつになってしまった友達がいたらどう声をかけよう?とか。
うーん。未来へ繋がる物語というのはとてもいいなあ。

言葉にならないけど、なんだかすごく見てよかったなあと思った作品なのでした。

全て見終わったあとに母にLINEしました。

「ママは助産師の資格取らないの?」
「もしかして、子育てする中で諦めたとかだったらごめんね」

母からは別にそんなことないよって言われましたが

「もしママが赤ちゃんを取り上げてたら私は嬉しい」
とだけ伝えました。

まあ私が今から死ぬほど勉強して看護学校にはいることは出来なくはないんだろうけど。
かわりに取ることは、出来なくないんだろうけど、お芝居という違うフィールドで命について考えていきたいな、と思った次第です。

ありがとう、不器用な両親。
ありがとう私の鴻鳥先生。
大きくなれたよ。立派では無いけどね。



以下蛇足。

女性にとって出産というのは、思っていたよりもすごく大きなものだなと25を超えて感じています。まだ超えてる途中だけど。

今やりたいことがあるから、『出産はしない』選択。
パートナーがいて『出産をする/しない』『子どもが欲しいかどうか』
パートナーが同性だった場合、はなから『諦める』
妊娠して、もし重い障害があった場合の『産む/諦める』

でかすぎます。
無理です。抱えられません。
だからこそ今ここにある命ってだけで奇跡なんだよなあ……。
もう少し人と自分に優しくなろうと思ったのでした。

私は多分、あの時の産声でみんなを幸せにできて、そのお釣りで今生きてるので。
気楽に気長に人に優しく。
がんばろーっと。

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