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はやぶさ2カプセルリエントリーを見て、ガンダムの再突入を思い出した話

この記事は、WARPSPACE アドベントカレンダー企画 12月7日の記事です。

1000点の成功

はやぶさ2のカプセルが12月6日未明にオーストラリアのウーメラ砂漠に着陸しました。 有無を言わさないフルサクセス達成です(エクストラサクセスか否かは、「たまてばこ」と「うちでのこづち」を開けてからのお楽しみ)。

初代はやぶさのプロジェクトマネージャ川口淳一郎教授は、はやぶさの成果を「100点満点の500点」と評価しましたが、
はやぶさ2のプロジェクトマネージャ津田さんは、2019年7月に、はやぶさ2が2度目のタッチダウンを終えたとき、「100点満点中1000点」とその喜びを語りました。
昨年7月時点で1000点なので、この度、サンプルリターンを成功させた、はやぶさ2は、一体何点になるのか気になる所です。

大気圏再突入と言えば

大気圏再突入と言えば、私の中では紛れもなく、機動戦士ガンダムの大気圏突入が浮かんできます。
そうです、機動戦士ガンダムの第5話「大気圏突入」です。

ブライト・ノア率いるホワイトベースが、南米に位置する地球連邦本部のジャブロー基地へ帰還を目指し、大気圏再突入を試みようとしている矢先、
かの有名なシャア・アズナブル(当時 少佐)が、大気圏突入間際のホワイトベースに奇襲をかけます。

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ホワイトベースが大気圏突入を開始し、空力加熱が起り始めると、通常の宇宙機であれば灼熱地獄にさらされます。その様な環境では、ホワイトベースに搭載されている機銃はおろか、モビルスーツであっても駆動することは不可能であるため、ホワイトベースは丸腰状態となってしまいます。
シャア・アズナブルは、ホワイトベースが灼熱地獄に入る2分前をめがけて奇襲を仕掛けます。
シャアらしい、相手の弱点を徹底的に突く作戦です。
しかし、裏を返せば、シャアの部隊も2分以内に本作戦を完遂しなければ灼熱地獄にさらされることになります。つまり、この奇襲作成はシャアの部隊にとっても一か八か・決死の作戦なのです。
そうです。シャアにとってもこの作戦は、『Chase One Chance』 だったのです。

作戦の中で見える『Respect your crew』

この作戦の中で、攻め入るシャア部隊と、守るホワイトベース部隊の動きを「チームの動き」として見てみると、雲泥の差があることが分かります。

ホワイトベースの動きとして特徴的であったのは主に以下の点:
・「シャアが奇襲をかけてくるかも」というメンバの意見に対して、指揮官クラスが「まさかそんなことは無い」と頭から否定的に対応し、貴重な意見をつぶす
・シャアの奇襲に対して、「何とかしろ!」「もっと弾幕厚くしろ!」と怒りながら指示。乗組員は、ほぼ難民で構成されており素人ばかり、乗組員の士気は低下
何とか窮地を切り抜けるも、指揮官クラスが責任を部下に擦り付ける
などなど…
チームの動きとしては最悪の状況。まあ、乗組員のほとんどが一般市民で、戦争の経験がない中で、全員が生き残る為に精一杯行動した結果と考えれば、仕方ないと思います。

対してシャア部隊の特徴的な点は以下の点:
・シャアによる作戦説明において「これは、またとないチャンス」「諸君らであればこの作戦を成し遂げられる」と部下を鼓舞し士気を向上させる
・逼迫した状況においても、メンバの良い部分を誉め、的確な指示を与える、結果として士気が向上する
・作戦を完遂できなかったという事実を素直に受け入れ、即座に次の一手を打つ
さすが、赤い彗星です。指揮官として素晴らしい動きを見せたと思います。

この数分という短い作戦の中でも、シャア・アズナブルの『Respect your crew』が見て取れました。一方のホワイトベース部隊は、メンバの意見をつぶす、責任を擦り付けるなど、散々な結果。『Respect your crew』によってどの様にチームが変わるのかが見て取れる、良い例だと思います。


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ホワイトベース部隊のリード中尉がブライトに責任を擦り付けるシーン

そして、空力加熱が始まるまでの2分間が経過し、ホワイトベースも、シャア部隊も灼熱地獄にのまれ始めました。
ガンダムで出動していたアムロ・レイは、ホワイトベースに帰還するタイミングを逃し、自力で大気圏突入をする必要が出てきました。

アムロが見せた『Chase One Chance』&『Resilient spirit』

それまでのモビルスーツ史において、モビルスーツ単独で大気圏突入を果たした例はありませんでした。
ホワイトベースへの帰還タイミングを逃したアムロ。
誰もがアムロの死を悟りました。

しかし、アムロ・レイ自身は、生き残ることを決して諦めていませんでした。

空力加熱が始まり、ガンダムが灼熱に包まれていく中で、彼がまず行った事。それは、マニュアルを読み返すこと。
彼は、必ず大気圏を突入する手段があるはずだと考えていました。
そして、大気圏突入の方法を見つけます。それが、耐熱フィルムです。

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ガンダムの設計者であるアムロの父親が考えることなので、アムロ自身も予想がついたのか、はたまた、単なる勘だったのかは分かりません。
しかし、窮地に立たされながらも諦めずに方法を探した彼の精神はまさに、『Chase One Chance』『Resilient spirit』だったと思います。

(本当は、この耐熱フィルムに関して、工学的な側面から色々と論じたかったのですが、それはまたの機会にします。)

そして、無事に大気圏突入を果たしたガンダムとホワイトベースに待ち受けていたモノとは…

シャア・アズナブルが見せた究極の『Goal oriented』

ガンダムが無事に大気圏突入を果たし、ホワイトベースが喜びに包まれたかと思いきや、すぐさま場は凍り付きます...
なんと、ホワイトベース一行は、敵のジオン軍の制空権のど真ん中に位置していたのです!!

ホワイトベース部隊の元々の作戦は、地球連邦軍が制圧している南米のジャブロー基地に直接進行することでした。
しかし、シャア部隊の奇襲によって、回避行動をとらざるを得ず、大気圏突入を角度を変更する必要が出ました。
大気圏突入角度を変更したことで、進路が変更してしまい、ジオン公国が制圧する北米エリアに着陸することになってしまったのです。

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実は、この進路変更は、偶然の産物ではなく、すべてシャア・アズナブルが目論んでいたことでした。

シャアの奇襲作戦は、一見、大気圏突入時の敵の隙を突いて、ホワイトベースおよびガンダムを撃破することが目的の様に見えますが、
シャアの中では、この進路変更こそが第一の目的だったのです。

一見奇抜に見える本作戦も、ホワイトベースの進路を変えさせることが真の目的と捉えれば、非常に合理的な作戦であると思います。

現に、ホワイトベース部隊は、この進路変更によって大きく計画を狂わされ、再び窮地に立たされることになるのです。

本作戦を通して。シャア・アズナブルの合理的思考と『Goal oriented』な思考が垣間見えました。

まとめ、

はやぶさ2のカプセルリエントリーを見て、大気圏突入に関して色々と技術的に考察しようとも思ったのですが、
気が付いたら私が大好きな機動戦士ガンダムについて語ってました。
ここまでお付き合い頂きありがとうございます。
機動戦士ガンダムに限らず、たとえアニメやフィクションであっても、沢山の学びがあるなぁ と書いていて思いました。

我々ワープスペースも、はやぶさ2の様に1000点をたたき出せるように、9つのCompass of behavirを確と胸に刻んで開発を頑張りたいと思います!

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