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営業は減点方式なのか?加点方式なのか?

チェックシートとは?

営業コンサルタントとして、色々な企業の営業現場を見てきたが、多くの企業でスキルチェックシートを作成されています。色々な項目が設定されている事が多いのですが、大項目でまとめると下記のようになることが多いと思います。
 1,身だしなみ
 2,話し方
 3,アイスブレイク
 4,ヒアリング
 5,プレゼンテーション
 6,クロージング

チェックシートとは、上記の大項目の中に、中項目、小項目とチェック項目が記載されているようなチェック項目ですね。
今回の投稿は、チェックシートの採点の仕方と、合計点の算出方法に関してです。

よくあるチェック方法

まず1つ目が「各項目の採点の仕方」です。
色々な文言はあるんですが、下記のような5段階か、
 ・要改善(-2点)
 ・改善(-1点)
 ・どちらでもない(0点)
 ・良い(+1点)
 ・とても良い(+2点)
要改善と改善の違い、とても良いと良いの違いの線引が難しいということで
 ・改善(-1点)
 ・どちらでもない
 ・良い(+1点)
の3段階のどちからが多いのかな、と思います。

ノックアウトファクターの項目があるのでは?

ここで問題にしているのが、本当に全項目、プラスもあれば、マイナスもあっていいのか?という事です。
例えば、大項目「1,身だしなみ」で考えてみたいと思います。
髪型でも、服装でも、男性だと髭なんかもありますよね。なんでもいいです。身だしなみが良かったから、発注しようと思った事はありますか?僕は残念ながらないです。
ただし、逆はあります。「ちょっと苦手だな」ということで担当を変えてもらった、もしくは、コモディティ化をしている商品・サービスであれば別の企業に発注したという事が。

実体験でも、話し方の中の、言葉遣いで僕も出禁になったことがあります。それも文章というレベルでもなく、たった1つの「ワード」を使ったがために、出禁になったという事が。

受注には残念ながら影響はないが、失注・見送りには影響がある、いわゆる「それを実施したら即退場」というノックアウトの項目があるのではないか?

上手い下手で結果が変わる項目があるのでは?

一方のヒアリングやプレゼンの項目は、上手い・下手で案件化率や受注率は変わりますよね。例えば、有名なSPINで考えてみましょう。
SPINとは
 ・Situation(状況質問)
 ・Problem(問題質問)
 ・Implication(示唆質問)
 ・Need payoff(解決質問)
の頭文字をとったものです。(※SPINについてより詳細に知りたいという方は、是非、こちらの書籍を読んでみてください。)

書籍を読んだり、研修を受けたりすると「分かった」と思うんですが、いざ実践しようと思うと出来ないですよね。
ハイパフォーマーになると、質問の深さはもちろん、流れが淀みなく、本当にスムーズに、回答するのが当たり前のような感じで進んでいくことがあります。

一方のローパフォーマーは、取り調べですか?というぐらいにストーリーがないヒアリングを実施したり、「それホームページを見たら書いてますよね?」という事をヒアリングしたり。

同じヒアリングという活動・行為をしながら、そこには雲泥の差があり、ヒアリングが上手くいく=顧客のニーズの理解が出来たなので、受注に繋がり、上手くいかなかった=受注につながらない。これは、「改善」と「良い」での3段階、もしくは、5段階でチェックするのは良いと思います。

合計点には意味がない?

上記のように考えると2つに整理が出来ると思います。
 1,いかにマイナスの影響を抑えて、ゼロに近づけるか
 2,成果創出するために、いかに(とても)良いに近づけるか
の2つに。5段階評価の場合、0点を目指すものと、2点を目指す項目があるということですね。
それを無視して、全項目で2点を目指し、かつ、全項目の合計点をエイヤっと算出し、フィードバックをしていくのは乱暴なのでは?というのが僕がいつもクライアントにフィードバックをしている内容です。

イメージして頂ければと思いますが、
 ・めちゃめちゃ身だしなみがしっかりしていて、敬語などの言葉遣いも
  完璧。ただ、営業スキルはガタガタなAさん
 ・身だしなみは可もなく不可もなく、敬語も多少怪しい部分はあるが、
  ニーズを汲み取り、適切な提案をしてくれるBさん
どちらの方が営業成績が良さそうですか?Bさんという事に異論がある方はいらっしゃらないと思います。(※一部、ルックスが重要視される業種はありそうですが)。

という事で、今回のまとめです。

スキルチェックシートを否定している訳ではありません。ただ、正しく作成し、運用してほしい、と思っています。その為には自社の営業活動の中で
 1,いかにマイナスの影響を抑えて、ゼロに近づけるか
 2,成果創出するために、いかに(とても)良いに近づけるか
を、しっかりと見極めて、項目、採点設定をしていくことが大事です。

採点や評価というものに人はものすごく反応します。正しい、正しくないに関わらず、それで採点される、評価されるとなると、より高得点を目指すのが人という生き物です。
その時に、本当はあまり意味がないことに努力を向けさせるのは、時間がもったいないことをさせている事になります。限られた時間を、適切な内容に時間が割けるような取り組みをして頂ければと思います。

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