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静岡マラソン2024の結果と直前3ヶ月にやったことの振り返り(初サブ3)

<はじめに>

絶好の天候コンディション
これまでになくうまくいったピーキング
友人のサブ3ペーサーの申し出
色々と良い条件が重なり達成できたサブ3
そんな静岡マラソン2024とレース前にやってことを振り返ってみました。

<計画と実際のタイム>

直前にペーサーを務めてくれることを申し出てくれたSさんと打ち合わせた大まかなペースと通過時間の計画は以下の通り 

ペーサーへのオーダー

ざっくりと、
 1.入りの5kmは無理せず
 2.ハーフ過ぎまでキロ4'10"
 3.ハーフ通過は1時間29分前後
 4.ハーフ以降は少しずつペースが落ちて
 5.最後は4'20"で粘る
と言うのが事前のプランでした。

計画表

実際には
1.入りの5kmは思いのほか順調
2.5~10kmでややペースを落として計画から遅れたものの
3.無理に挽回しようとせずに4'10"のペースを維持し
4.ハーフを11秒遅れの1時間29分13秒で通過
5.25km以降は僅かにペースを落としながらも35kmまで4'15"以内をキープ
6.35km過ぎでやや苦しくなりはじめたものの
7.貯金を食いつぶしながらサブ3でフィニッシュ
という結果でした。

実際のタイム

誤算だったのは40km以降の脱水。
35km以降は呼吸が苦しく給水時にむせ返ってしまい、十分に水分を飲むことができず、結果的にラスト1kmでの脱水を招いたような気がします。
ペースを落としてでも落ち着いて給水しておけばラストも気持ちよくフィニッシュできたかもしれません。

計画と実際の差(タイムとラップ)

レースで出せるタイムはレース前に決まっており、実際のレースではマイナスの要因をどこまで減らせるかがタイムを左右するのですが、今回はラストの脱水以外はマイナス要因がほとんど無かったことがサブ3を達成できた要因と考えています。

<ダニエルズのVDOTに見る距離耐性>

以前からの課題として、「5000mはそこそこ早いがフルは遅い」と言うのがありました。
短い距離は筋力で押せてしまうのでそこそこタイムが出るのですが、ハーフ~フル以降になるといわゆる「脚が終わる」状態になり30km以降で失速するのが常でした。

直近の5000m~フルマラソンのVDOTと2020年12月のフルマラソンチャレンジ時のVDOTを示します。

2020年12月時のVDOT

2020年12月当時は5000mのVDOT53.3に対してフルマラソンのVDOTは48.8と大きく差が生じています。いわゆる「フルが遅い」状態です。
ペースで換算すると、5000mのペースが3'56"に対し、フルマラソンのペースは4'37"と41秒もの差があります。

ところが直近の5000mと静岡マラソンのVDOTはそれぞれ53.8、53.9とほぼ差がなくなり、5000mとフルマラソンのペースの差も30秒差まで縮まり一般的な長距離ランナーの差と変わらなくなってきています。
これはスピードの伸びは小さかったものの、以前からの課題を克服し、「マラソンの脚ができた」状態になったものと考えられます。

<距離耐性>

フルマラソンのタイムを伸ばすためには以下の2通りのアプローチが考えられます。
1.今の距離耐性でスピードの絶対値を上げてフルマラソンの距離まで押す。
2.スピードの強化はそこそこにVDOTの差を減らす(距離耐性を作る)。

スピードの絶対値を上げる方法でアプローチする場合、距離耐性が2020年12月当時のままであれば、5000mのタイムを17分台から18分前半くらいまで上げる必要があります。
これは私には現実的ではありません。
そこで、スピードの若干の底上げはしつつ(目標VDOT:54=5000m-18'40")、距離耐性を作ることでVDOTを均す方法を私は採りました。

11月末のつくばマラソン以降、スピード練習はそこそこに距離耐性を付ける目的の練習を主体に取り組みました。
具体的には12月から2月の3か月間で30キロ走を6回実施しています。
設定ペースは「脚を作る」12月はキロ5程度、1月から2月にかけて徐々にペースを上げて最終的にはMペースで30キロ走を行いました。

30キロ走

またハーフマラソンの大会をM~Tペースでのポイント練習と練習の成果の妥当性の確認と位置づけ、年明け以降に3回のハーフマラソンにエントリーしました。
その期間のハーフマラソンのタイムは、
1:28:58(荒川北千住) → 1:25:30(森町) → 1:25:20(犬山読売) と伸び、
距離耐性の向上の手ごたえを感じていました。

ハーフマラソン

<体重管理>

1kg痩せると3分早くなると言われますが、VDOT(VO2max)から説明することが可能です。

VDOTに近似されるVO2maxは「最大酸素摂取量」と言い、1分間に体重1kgあたりどれだけ酸素を摂取できるかを表し、単位はml/kg/分(min)です。
kgが分母に来ていますので、「酸素を摂取する能力」が同じならば、体重(kg)が小さい方がVO2maxは大きくなります。

例えば、
VO2max=VDOT=50で体重が58kgだったランナーが(2020年12月当時の私)、体重を55kgまで落とした時のVDOTは、
 50×58kg÷55kg= 52.7 まで上昇します。
これはフルマラソンのタイムに換算すると
 VDOT:50.0 = 3:10:45
 VDOT:52.7 = 3:02:30
となり、その差は8分15秒、1kgあたり2分45秒短縮できる計算になり、直接的な走力の向上が無くてもサブ3が見えてきます。

そこで、体重管理、正確にはカロリー管理を徹底しました。
年明けから食事によるカロリー摂取量と基礎代謝や運動によるカロリー消費量の記録を取り、1週間で概ね2000kcalのアンダーカロリーになるように管理しました。
筋肉量を落とさず脂肪のみ減量できた場合、2000kcalは220gですから、10週あれば2.2kgの減量ができる計算になります。

2024年1月のカロリー収支の記録

結果として、正月明けに58kgを超えていた体重は、概ね10週間で55kgを切るところまで減量することができました。
ただ、この3ヶ月間はいつもお腹が空いていたような気がします。

体重の推移

<ピーキングとリスク管理>

昨年11月のOMM以降、山に行くのを止めました。
理由は2つ。
一つは山に行く時間をロードの練習に当てたかったこと。
ロードレースはほぼ平坦なコースを体重分の重さをなるべく早く前に進めるスポーツです。
トレーニングの特異性の観点から見れば、体重+αを上に持ち上げる動きはマラソンには不要と判断しました。

もう一つはケガのリスクを取りたくなかったこと。
上り下りのあるトレイルはロードに比べると確実に転倒や捻挫のリスクは増大します。
また土日に山で負荷の高い運動を行うとどうしても月~火曜日の練習強度を落とさざるをえません。
他にもケガにつながるリスク行動は極力避けることを徹底しました。

2月に入るとピーキング(テーパリングとも)を意識し始めます。
ダニエルズ式では週間走行距離を徐々に落とすことを推奨しています。
具体的には練習の強度は維持したまま、1ヶ月前に直近の週間走行距離の90%、以降3週間前80%→2週間前60%→1週間前40%へ落とすというものです。
これに倣い、草薙激走会やアベトラの練習での設定タイムは維持したまま、本数を減らしたり、距離を短くしたり、休足日を週2日設定するなどして疲労を徐々に抜いていきました。

レース前1週間はいわゆるカーボローディングを行っています。
今回は古典的カーボローディングと言われる、週の前半は糖質を制限しレース3日前から糖質を増やす方法を採りました。
3か月間にわたるカロリー管理でレース5日前の火曜日には55kgを切るところまで落とした体重は、カーボローディングによりレース当日朝には56.5kgまで増大しました。

静岡で流行のどら焼きローディング

<まとめ>

私はマラソンの才能があるわけではありません。
では努力の人かと言うとそれはさすがにおこがましい。私より努力している人は山ほどいます。
ただ私には適性はあると思っています。
適正と言うのは「距離適性」とかのことではなく、自分自身の力量を適切に把握し、目標とのギャップを理解し、ギャップを埋めるための手段を考え、計画し、実行し、レビューし、次の計画にフィードバックする力量。
これは私の強みでしょう。
相応の覚悟と正しい努力、適切な環境が揃えば、学生時代に運動経験のない54歳のオッサンでもサブ3できますよ、という事をお伝えしたいと思います。

<了>

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