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PM×データのすすめ

PMConference2020の募集が始まりましたね!

そこで今更ですが、昨年のPMConference2019で特に注目した学びと、それに対して取り組んできたことについて振り返りを書いてみようと思います。

印象に残っている講演

曽根原 春樹さんが講演してくださった「A day in the life of Silicon Valley PM」は、私がPMとして働く上で最も重要にしたいことを形作ってくれました。

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当時、チーム目標として「Googleに勝つプロダクトチームになろう!」をテーマにしていたのですが、海外のPMが何を大切にしてどういう働きをしているのか全くわかっていませんでした。

この講演では多くの刺激をうけたのですが、特に注目したのは以下の3つのメッセージでした。

1.誰が言ったかではなく、その人が伝えた事実は何か?

働いてる中で「Sales(またはCS)が言っているからお客さまの声として正しい」とか「上司(またはカリスマ的存在)が言っているから、この施策は成功の確度が高いはず」と思ってしまうことはありがちだと思います。

最速でユーザに価値を届けたい、他にも仕事が山積みなので早く片付けたいと言う気持ちが強くなりすぎるとこの状況に陥りがちです。

〜が言ったからと過信せず、常にWHYと向き合い続け事実からプロダクトの未来を考えることが、PMがプロダクトチームで発揮しなければいけない価値じゃないかなと思います。

2.✕ Hits per bat
   ◯ Bats per home run

裏の講演で「高い打率をアウトプットし続けられるプロダクトチームをつくろう」をテーマにした講演があったのですが、その更に先の話をしているなと思いました。

重要なのは、打席数に対していくつヒットを出せたかではなく、ホームランを打つのに必要な打席数にこだわろうということで、そのためにいかに賢く、上手に失敗するかをシリコンバレーのPM達は得意としているという話があって、なるほどと思ったのを覚えています。

3.Think Big

日本に閉じたマーケットではなく、世界のマーケットに広げる前提でプロダクトの未来を描こうという根本的な話。ホームランも草野球で打つのとメジャーリーグで打つのでは全然価値が違いますよね。

同じホームランを打つならより大きなステージで打とう。メルカリのバリューである「Go Bold」に通じるものを感じました。

まとめると「Think Bigを前提として、事実に注目しながらホームランを打つために必要な打席数を計画する」ということがシリコンバレーのPMが得意としていることだと思いました。

そしてこれらを実現するのに必要不可欠なスキルが、データに対するスキルという事でした。

データへの挑戦

この講演を聞いてデータに対するスキルをPMとして伸ばしていこうという覚悟を決めました。

幸いにも社内でBIツールのTableauを扱う権限を持っていた(これは本当に幸運でした)ため、そこをベースにスキルを伸ばしていく手段としてTableauのDatasaber認定制度に挑戦しました。

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これは過去にTableau Jedi認定制度と呼ばれていたものの名前が変わったものです。Tableauを扱うスキルだけでなく、データからインサイトを引き出すためにどう見れるのが最適かというVisualizationの観点を学ぶことができ、汎用的に役立つスキルを身につけることができました。

さらに副次的な効果として、他業界でデータを扱う人たちとの多くの出会いがあり、ディスカッションを重ねることでデータドリブンを組織に浸透させるための組織づくりの点でも学びを深めることができました。

PMが力を発揮するのにデータを扱える必要があったとしても、そのデータ基盤が整っていない場合はどうしようもありません。そのデータ基盤をどう作っていって組織にどう浸透させていくべきかに対して自分なりの考えを持ち、取り組みを企画遂行できるようになりました。

PMがデータを学ぶことで気づいたこと

最も大きかった学びはビジュアル分析のサイクルを理解することで、そのビジュアル分析のサイクルが適切に分担されないために発生している問題に気づけたことでした。

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ビジュアル分析する際、簡単に言うと下記のサイクルが発生しています。

Act:問いや課題・仮説を考える

Task:分析に必要なタスクを考える

Get data:必要十分なデータを取得する

Choose visual mapping:インサイトを得るための最適なビジュアライズを
考える

View data:データをさまざまな確度で見る

Develop insight:インサイトを発見する

Act:発見したインサイトから再び、問いや課題・仮説を考える

(以降繰り返し)

ではこのサイクルのGet data〜View dataが分断されているとどうなるでしょうか?よくある分断のケースとして、組織内にData Analyticsの専門チームが存在し、PMが企画に必要な分析や、リリース結果の分析を専門チームに依頼するケースがあります。

【Get data〜View dataが分断されている例】

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このようなケースで最も何が問題になっているかと言うと、依頼と待ちのやり取りの中で事業判断のスピードが遅くなっているということです。またリリース結果からの学びを反映するのもどんどん遅れていきます

逆にPMがデータを扱えるだけで、事業判断のスピードは上がり、学びの反映もどんどん早くなっていきます
これはPM以外の職種でも同じことが言えますが、プロダクト企業におけるPMはプロダクトの未来に最も影響を与えてホームランを狙える4番バッターなので、PMがデータを扱えることが事業に与えるインパクトは他の業種より遥かに大きいです。

また、Data Analyticsの専門チームも様々な部署からの分析依頼を受けるのではなく、組織内の全員がデータの価値を享受できる環境作り(データの民主化)に集中したほうがより事業に対するインパクトが出ます。(ちなみに分析依頼を受けて結果を返すだけの存在はレポートファクトリーと呼ばれていて、Data Analytics組織のアンチパターンとして考えられています。)

理想はビジュアル分析のサイクルはAct(問いや、課題・仮説)を持っている人が中心に回してトライ&エラーできる状態にし、Data Analyticsの専門チームはそのトライ&エラーできる環境を準備するのみを行う事と考えています。

【理想例】

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とは言っても現実問題、沢山の企画を進行していて分析に手が回らないって思われるPMの方も多く、それも仕方ないケースとしてあると思います。
ただ、その状態のときに自分自身でデータを見た時に得られるインサイトの機会損失になってないかや、事業判断のスピードとトレードオフになっていないかってことは意識しておくと良いと思います。

 おわりに

今回のお話は、立ち上げ初期のプロダクトだとそもそもデータが少なく、それよりいかに早くPMFを達成するかに集中する必要があると思うので、0→1のフェーズは該当しないかと思います。
それ以上の特に1→100フェーズにおいて重要で、ここを得意とするグロースタイプのPMにとっては最重要スキルじゃないかなと思いました。(私もこの分類だとグロースタイプのPMだと思います。)

もし、この記事を切っ掛けにデータのスキルを身に着けたいと思った方がいらっしゃったら、twitterfacebookで気軽にご連絡ください。
この挑戦が転じて、現在Japan Tableau User Group(JTUG)の運営メンバーとして活動しています。データドリブンを社会に浸透させることが一つの趣味になっているので、ご連絡いただけると嬉しいです。

PMConference2019の参加は、私の人生の中で1つの転換期となりました。
PMのみなさん、ぜひPMConference2020に参加しましょう!

ここまでお読みいただき、大変ありがとうございました。

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