なぜ日本の株価は下がらない?

コロナ禍で自粛が2ヶ月ぐらい続いている中で、日本経済はさぞ壊滅的な影響を受けていると思いきや、日経平均株価は本日も上昇している。

このことをなぜだろうと思った方は私だけではないだろう。今回はこのことを私なりの意見をベースにまとめてみる。


日経平均株価は3月に17,000円ほどまで下落して、このまま下がると思いきや、徐々に上昇を始め、昨日まで3日連続上昇してついに22,000円を超えてきているなど、徐々に落ち着きを取り戻している。

その一方で経済活動は4月の上旬から約2カ月間、ほとんどの業種で停滞していることから明らかなように、誰が見ても好調だとはとても言えない状況である。

巷の店では2カ月間ほとんど休業もしくはお客さんが来ない状態が続き、飲食店では売上は8割減は当たり前だと言われている。また自動車や贅沢品などはデパートの休業や自粛による人の出入りの少なさからも明らかに販売量が激減している。

今年の3月末までの上場企業の決算発表は5月の上旬に続いて行われた。しかしながらこれはコロナ禍が明らかになってきた自粛前の機関の売上や利益である。本当に恐ろしいのは今年の4月から6月までの第一四半期である。これらの発表は大体8月の上旬から中旬にかけて各社行われる。この数字がどのようなものになるか、誰もが予測がつかない。しかしながら私たちを取り巻く状況から、この数字がとてもシビアで深刻なものになると言うのは容易に思いつくのではないだろうか。


デパートはほぼ1ヵ月間休業が続き、東京ディズニーランドなどは4月から現在に至るまでずっと休園が続いている。自動車販売量はトヨタ系の企業などが工場に週1日の休業で5日稼働が4日稼働になるなど足元で生産調整が進んでいる。このようなことに普段触れない私たちでも、自分たちの生活を思い返してみよう。消費がどれだけ減っただろうか。この1カ月間私はほとんど外で外食をしていない。また生活必需品を除いて買い物にも行っていない。あらゆる設備が休業し、新幹線はガラガラ、夜10時を過ぎたらほとんど街の明かりが消えている。自分の体感だけでも、支出の金額は交際費はほぼゼロ、春物の服はとうとう買わずに終わってしまった。この1カ月間生ビールも飲んでいない。明らかに消費が減少しているのだ。経済にとって1番のブレーキは消費が減少することである。

こんな状態で株価が上がるわけがない。しかしながらこの1週間を見てみても、日経平均株価は順調と言える位上昇を続けている。これについて私なりに原因を分析してみた。


まず1つ目に上げられるのが、日銀によるETFの買い入れである。4月に日銀の黒田総裁は、日銀による株式市場の投入額を6兆円から12兆円まで引き上げた。簡単に言えば買い手がいない株式についても日銀がどんどん買っていくと言うものだ。これを仮に2カ月間で6兆円増やすとするならば、株式市場が営業しているのが40日とするならば1日あたり1500億円を日銀は買い入れることができる。もちろんこれは私の勝手な予測だが、その場合、例えば東証1部においては6月1日の1日間で、2兆9700億円の取引が成立している。そのうちの1500億円が日銀が、その企業が良いとか悪いとか、業績が上がっているとかそういった要素なしに機械的に買い入れをしているとするならばその規模は、全体の約5%に匹敵する。

つまり業績や投資家の動向と関係なしに株価に5%下駄を履かせていることになる。

それを最終的には現在の日本の株式市場の大きさ614兆円と考えるとわずか2%ほどのものであるが、これを短期で行うことの効果は大きい。現在の日本の株式市場は、海外投資家が一斉に日本から手を引いた影響で、現在株式をどんどん購入しているのは日銀や金融機関、日本国内の個人法人である。


ここで株価が上がったり下がったりする要因について基本に立ち返って考えてみよう。当たり前のことであるが、極論すると株価が下がるのは投資家の不安心理だけである。経済状況が悪化したり、大きな企業が倒産したりすると、このまま株価が下がり続けて自分の資産がなくなるのではないかと言うことで株式から安全な現金に変えようと株式を売る。それは自分の株式が紙屑になってしまうと言う不安からである。


私は今回のコロナ禍の株式市場の動きについて自分なりにいろいろな資料を読み込んで分析してみた。その結果私がたどり着いた結論は、日本人はコロナで株価が下がることをまだ怖がっていないのではないかと言うことだ。もしくは思考停止になっているということだ。

もちろん、企業の業績は今までも見たことのないほどの数字が出るだろうと言うのは誰もが予測はしている。そして漠然と「そうなるだろう」と言う事は全員わかっているだろう。しかしながら株価が下がらないために、まだまだ大丈夫だろうと思っているに過ぎないと言うことである。人は本当の危機の前にはむしろ何もしないものだ。これでコロナが運よく収束されたらラッキーで、旺盛な消費意欲が再燃し、待っていたかのように株式はうなぎのぼりにこのまま元に戻ると信じている。

しかし私はそうなるとは思わない。

 4月から6月までの企業の業績が明らかになってくる今年の7月の下旬から8月にかけて、われわれは深刻な企業業績の状況を目の当たりにするだろう。

その段階になってわれわれは今後どうしたらいいのか、こんなに企業の業績が悪くなって大丈夫なのか、自分の勤めている会社は倒産しないのかなど急に不安になるはずである。また、我々の誰もが知っているような大きな会社がある日突然倒産した場合、同じようなことをわれわれは考える。そうした人々はその瞬間に株式を売却することを決断する。そうした心理が重なり、その段階になって売りが売りを呼び2番底が来る。8月の上旬あたりに私は日経平均は16,000あたりまで急激に降下するということを予測する。

先ほども述べた通り、現在日本の株式保有しているのは従来のアメリカやヨーロッパの投資家ではなく主に日本の金融機関や日本人、日本の法人である。そうした場合、当然その株を保有している日本の金融機関や法人にも大きな影響与える。これがスパイラルとなり、株価は一時的には下げ止まらなくなるだろう。


今まで述べてきた事は、あくまで最悪のシナリオの1つに過ぎないが、これだけ経済が停滞してるのに、いやしくも株価が上昇続けると言うことが全く理解できないのは私だけではないだろう。


逆に言えば現在が1番の買い時だとも言えるだろう。ウォーレンバフェットが言っている通り、現在の日本は買い時なのかもしれない。いずれにせよ、現在の我々が置かれている状況と言うのを、我々は客観的に分析しないといけない。

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