損失と利益の非対称性とマネーマネジメント
FXや株などの投資で資産を増やしていくには、損失と利益の非対称性を理解しておく必要がある。
資金の10%の損失を被った場合、残りの資金の10%の利益を得たとしても、元の水準まで戻らない。
10%の損失を取り戻すには、残りの資金の11.11%の利益を得なくてはいけない。
損失が増えるにつれ、元の水準まで戻すための利益率は増大していく。
↑の表を見れば、いかに失った損失から利益を取り戻すのが困難なのかがわかる。
例えば、資金の50%の損失を被った場合、最初の損益分岐点にまで回復させるには、残りの資金から100.00%の利益を得なくてはいけない。
勝率5割で利益率と損益率が同じなら、トレードをする度に資金は減ってしまうのだ。
100万円の元本で50%の利益が出れば150万円になる。
しかし、その後に50%負ければ、75万になってしまう。
たとえば複利効果によって、100万円が短期間で10倍の1000万円になったとしても、1回のドローダウンで口座残高は大きく減ってしまう危険性があることを忘れてはならない。
ビクター・二―ダ―・ホッファーやジェーシー・リバモアなど歴史上の著名な投資家でも、資金管理を怠ったために破産してしまった。
このようなケースを回避するためには、口座の資金のすべてを複利で運用するのではなく、単利で運用し、勝った差額分は定期的に別口座へ移動させておくのが得策だ。
マネーマネジメントのひとつの考え方として、「イーストコーストプログレッション」という手法が知られている。
勝った時、利益の半分を手元に残し、残り半分を賭け金に上乗せしていくのである。
① 1回目は、1を掛ける。勝てば、1(元手)+1(利益)=トータル2となる。
② 同じ様に2回目も、1を掛けて2連勝すると、最初の1(元手)+2(利益)=3に増える。
③ 3回目に3をすべて賭ける。
勝てば勝ち金の半分1.5をプールし、残りの1.5は、賭け金3に加えて4.5になる。
④ 以後、同様に勝ったときには約半分を手元に戻し、残りを掛け金に積み上げていき、負けるまで同じように賭けていく。
⑤ 負けたら、また最初の1から賭けていく。
連勝時に利益が引かれるので複利で運用していくのに比べると当然増え方は少なくなるが、つねにリカバーできる金額をプールしておくことで、精神的にも余裕が生まれる。
カジノゲームの攻略法として知られる「イーストコーストプログレッション」だが、FXや株などのトレーディングでもアレンジして使えばリスクヘッジの手法として有効だと思う。
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