65歩早仕掛けとは似て非なる戦法・へなちょこ急戦(Sugar流超早仕掛け)[先手・四間飛車編]
今回は、YouTuber の Sugar さんが流行らせた、へなちょこ急戦について。
対・先手四間飛車で四間飛車の目線でやりたいと思います。
なお、私は「へなちょこ急戦」という名称が嫌いなので、「Sugar流超早仕掛け」(あるいは単に「超早仕掛け」)と呼びます。
理由は、
1)銀進出系の急戦ではなく、角交換を狙う早仕掛け系の急戦なので、わかりづらい
2)全然「へなちょこ」ではなく、普通に有力だと思う(まあ、三間飛車でなく四間飛車相手なら、四間飛車側がカウンターを決められそうだけど…)
からです。
では、さっそくみてみましょう。
![](https://assets.st-note.com/img/1704198965265-k6KBKORgq3.png)
これが 先手四間飛車 対 超早仕掛け の 基本図です。
先手は、78銀型の藤井システム調で駒組をしたので、後手は94歩の端歩が入っています。先手の左銀を、78から67銀に上がらせるために1手待つ必要があるからです。
一般的に、▲78銀型四間飛車には、早仕掛け系の急戦は仕掛けることができません。
▽77角成りに▲同銀とできて(下図)、居飛車の飛車先突破ができないからですね。 基本のキです。
![](https://assets.st-note.com/img/1704199523821-h82yjeT7DW.png)
さて、この超早仕掛けですが、
▽65歩早仕掛け(下図) と比べてみると
![](https://assets.st-note.com/img/1704199685016-sBNX9j2Pgu.png)
1)居飛車は5筋の歩をついていないので、銀が53ではなく31銀。
2)振り飛車は、47金の高美濃囲いではなく、美濃囲いになる。
ということです。
早仕掛けは、先手・後手の違いが大きく、47金の高美濃囲いになっているかいないかで(先手四間飛車なら、47金の一手が入り、高美濃になる)優劣が大きく変わるそうです。(高美濃に出来た方が有利だそうです)
低い美濃囲いが相手となる超早仕掛けはどうなるでしょうか。みてみましょう。
まずは居飛車が、飛車先の8筋の歩を突き捨て、▲同歩、6筋の歩を取りこみ▽65歩、振り飛車は▲46歩で1手待った後に▽66歩、▲同銀。
![](https://assets.st-note.com/img/1704200996116-IOqE7BH5Rn.png)
超早仕掛けはここで、▽65歩と角道をこじ開けて角交換を狙ってくることが多いです。
ただし、一応ここでの最善手は▽64歩 と、▽65桂馬跳ねに溜める手になります。▽65歩は次善手です。
ここでは▽65歩以下をみてみます。(▽64歩以下はあとでやります)
![](https://assets.st-note.com/img/1704201497915-4su0zaohjI.png)
振り飛車は、▲65同銀と取る手、▲57銀とかわす手、▲55銀と出る手ありますが、最善手は
▲57銀とかわす手 です。
![](https://assets.st-note.com/img/1704202001887-qbiGf2uyXJ.png)
▲同銀とする手も疑問手ではありませんが、桂馬・銀交換なので「こちらよし」にはなりません。
なお、▲65同銀、▽同歩、▲同桂 に
▲22角成(疑問手)、▽同銀、▲65飛車 とこちらから角交換をすると悪くなります。(参考図)
![](https://assets.st-note.com/img/1704202425209-tJ28LB4zd1.png)
超早仕掛けでなく、通常の65歩早仕掛けの定跡では
▽65歩には、▲同銀と取るのが正着で、
以下 ▽65同桂(ここは、▽77角成りが最善で一番多いのだけど)には、
▲22角成り(図)、▽同玉、▲65飛 とするので、
▽65桂に対してこちらから先に角交換するのと、混同しないように気をつけてください。
![](https://assets.st-note.com/img/1704202826271-AIfqdR3swD.png)
65歩早仕掛けでは、22角成りには▽同玉の一手ですが、
超早仕掛けでは、31銀型なので、▽同銀とされ、
玉が角のラインに入らないために、振り飛車の攻め筋がなくなり、一方、居飛車は飛車先が軽くなって、居飛車優勢になってしまうのを確認してください。
振り飛車は▲77桂馬逃げ & ▲85飛車回りで、飛車をぶつけて飛車がさばけそうですが、
![](https://assets.st-note.com/img/1704203185360-INCv9xuh1Q.png)
▽同龍、▲同桂に、 飛車打ちのあと ▽66角と、角を急所に先着され、振り飛車敗勢気味です。(▲39角でまだ粘れますが、一手負けコースです)
![](https://assets.st-note.com/img/1704207915379-BSnQVMdXO8.png)
ということで、▲65同銀は敗勢になりやすいので、
最善手の▲57銀とかわす手をみてみます。
▽77角成、▲同桂、
▽86飛 と飛車が走るなら、 ▲65桂、▽同桂、▲同飛、▽89飛成り まで。
![](https://assets.st-note.com/img/1704204261566-twBNp9pXVm.png)
これには
▲55角 の両取り、▽33角に、▲64桂馬で金取りを見せて(▽42金と逃げれば、▲72桂成り)で振り飛車がいいそうです。
![](https://assets.st-note.com/img/1704204730572-mllOtN9zun.png)
戻って、▽77角成、▲同桂、に
▽33角(最善手) と桂馬を狙う手なら、
![](https://assets.st-note.com/img/1705645976393-jIcl31aupG.png)
▲65桂、▽同桂、▲同飛、▽99角成りに、▲85飛 と飛車交換を挑んで、これからの勝負です。
![](https://assets.st-note.com/img/1704204972665-8n5Crds1ya.png)
玉の固さの分、振り飛車勝ちやすいかと思います。
次に、居飛車の超早仕掛け急戦が、▽64歩(最善手) と
桂馬跳ねの力をためてきた場合をみてみます。
※(追記)以下の図は、先ほどと違って ▽94歩、▲46歩 の交換が入っていませんでした。失礼しました。
▽94歩、▲46歩 の交換が入ったヴァージョンは、後でみていきます。
これには、振り飛車は向かい飛車に回ります。
早仕掛け(または超早仕掛け) 対 三間飛車 でよくみる筋ですね。
![](https://assets.st-note.com/img/1704205289610-hFM1iTrk3e.png)
狙い通り▽65桂、▲同銀、▽同歩(図)、▽22角成、▲同銀
![](https://assets.st-note.com/img/1704205668991-1vms6yqszX.png)
▲46角と飛車を狙い、▽73角と打たせて、
振り飛車は▽57角と引いて角交換を拒否して、左桂の活用や、飛車先を突いていくようです。
![](https://assets.st-note.com/img/1704205796910-PUeve9kONI.png)
銀・桂交換の駒損ではあるが、居飛車は歩切れなので、振り飛車としては満足だと思います。
追記)▽94歩、▲46歩 の交換が入ったバージョンは、
向かい飛車に振り、角交換するところまでは同じです。
違うのは、▲46角が打てないので、▲68飛車と、四間飛車に再度振って伸びた歩を狙うのが最善手。
![](https://assets.st-note.com/img/1706675975996-9PvNhLUqGH.png)
以下、▽66角、▲64角、▽92飛、▲55角
![](https://assets.st-note.com/img/1706680018594-snganSVVkz.png)
▽同角、▲同歩、▽66角、▲98香、▽99角成り、▲65飛車、▽89馬、▲83角
![](https://assets.st-note.com/img/1706680216497-wr6AIxKyfm.png)
これで互角、以降は、やや振り飛車指しやすいようです。
いかがだったでしょうか。
少し長くなりましたが、先手四間飛車 対 超早仕掛け は以上です。
いずれの場合も、先手四間飛車がやれそうでした。
▽65歩早仕掛けの定跡といっしょに学んで、急戦マスターになってください。
追記)続編書きました。▽85歩の継ぎ歩バージョンです。
※65歩早仕掛けとは似て非なる戦法・へなちょこ急戦(Sugar流超早仕掛け)[先手・四間飛車編] その2
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