四間飛車 対 46銀急戦。右銀急戦なのか左銀急戦なのかで変わる仕掛け

今回は、対四間飛車の急戦。46銀右急戦と、46銀左急戦(通称・斜め棒銀)について。
すべて先手・居飛車急戦、後手・四間飛車 で解説。

53銀右~46銀と出るのが46銀右急戦。

46銀右急戦

左銀が79ではなく、68の「舟囲いDX」移行バージョンをみていきたい。
左銀が79の場合は、1手早く攻めることができるが、守りがかなり薄いのが難点。

一方、53銀左~46銀と出るのが46銀左急戦。

46銀左急戦

守りの左銀を攻めに使っているので、
端攻めと、玉頭攻め、角交換後の▽44角打ちに弱い(▲77角で受けるしかないのだが、角交換、同桂に桂頭攻めをされてしまう)のが弱点で特徴。

まずは46銀右急戦。
居飛車は2筋を突き捨て(突き捨てない場合もあるが、突き捨てた方が攻めの幅が広い)、3筋に回ったところ。
対して四間飛車は、▽22角と角を引いて受けた場面。これが基本図とする。

46銀右急戦基本図

これには、 まず ▲33歩の焦点の歩。
▽同飛、▲44角、▽43銀、 まで一直線。

▲33角成り、▽同角、▲77銀(この守りは左銀急戦ではできない!)

▽45歩、▲57銀、▽64角(香車を狙いつつ、▲31飛打ちを防いでる)、▲23飛。

▽32銀、▲33上飛車成り!(図)、
▽同銀、▲21飛車成り、▽39飛、▲17桂

46銀右急戦の場合は、焦点の歩から攻めができる。居飛車としてはわかりやすい感じだ。

次は、46銀左急戦。
居飛車は2筋を突き捨て、四間飛車は、▽22角と角を引いて受けた場面。先ほどと同じく、これが基本図とする。

46銀左急戦基本図

さて、この46銀左急戦の場合は、▲33歩の焦点の歩を打ちたいところなのだが、
この場合は飛車を取れても、相手の角が残ってしまうのが難点。
46銀左急戦が角のラインに弱いことは、前述の通りだ。

▽33角に、▲同飛成、▽同桂、▲34歩(この歩打ちは、この形の手筋)、▽同銀、▲32飛車、▽43銀、  という進行も考えられるが、
▲33龍だと、 やはり ▽44角 という 角のラインが厳しい。

居飛車としては形勢不明かやや不利だと思う。最善の変化ではないようだ。
そこで基本図に戻る。
ここでは、▲45銀と歩頭に出るのが、驚きの定跡の一手だそうだ。

後手は、角を取られて飛車筋がずれてしまうので、同歩とは(もちろん同銀とも)できない。
▽43銀に、▲32飛車成り、▽同銀、▲44銀。

ここで▽43歩なら、
▲33歩、▽23銀(▽同銀は、▲23歩が叩けるので先手良し。2筋を突き捨てた効果だ)、
▲43銀成り、▽同金、▲41飛車。
ただし、▽43歩ではなく、ソフトによると ▽31歩! というしぶとい受けが最善手。これは知らなきゃ指せない!
これは多分、従来の定跡ではなかった手だろう。

以下 ▲33歩、▽23銀、▲46飛車、▽34銀。

ここからはソフトによると▲26飛、▽25銀、▲46飛車の千日手模様。
それだと居飛車不満なので、
▲32歩成り、▽同歩、▲35歩 でどうか?

うーん、▽45歩と打たれると、「居飛車よし」とは言えないか…。
やはり ▽31歩 には、千日手が最善のようだ。

そこで基本図から ▲45銀 以外の攻め筋を紹介したい。
実はソフト最善だったのは、 ▲55歩 だった。
急戦で5筋を攻めるのは、若干奇妙な感じもするが。

以下 ▽45歩、▲同銀、▽23銀、▲32飛車成り、▽同銀。

▲54銀、▽28飛、▲37桂、▽36歩、▲45桂、
▽57歩、▲同銀、▽37歩成。
振り飛車は と金ができるが、

▲68金、▽33桂、▲同桂成、▽同角、▲95歩
と 居飛車は端攻めをして 互角の展開のようだ。

これが46銀右急戦と、46銀左急戦の、四間飛車が ▽22角と角を引いて受けた場面の指し方である。

さて、四間飛車には、▽22角と角を引く以外のカウンターがある。
いわずもがな、 ▽45歩 と突く 開戦である。
46銀左急戦の場合をみてみたい。

46銀左急戦の場合

むしろ ▽22角引き よりもメジャーで、ほとんどの振り飛車党がこちらを選ぶのではないだろうか。(実際、この局面では最善である。)
▲33角成、▽同飛車 に、  ▲88角 の場合は、

▽46歩と銀の方を取り、▲33角成り に、同桂とせずに
歩を2連打(▽37歩~▽36歩!)し飛車を36まで吊り上げ、
飛車に当てる▽45銀! 、 かわして銀に当てる▲35飛、
ここで馬を取る▽33桂!(なんとおまけに銀に紐がつく!)。

▲33飛車成りに、▽56銀と出た局面は、次の▽47歩成りが厳しく、
振り飛車が優勢。
この定跡は、四間飛車 対 斜め棒銀 で有名な定跡で、
藤倉勇樹チャンネル・初段を目指す将棋講座
の動画でも
詳しく取り上げられているので、そちらを見ていただきたい。

ということで、居飛車の正着は、▽36歩の飛車取りにかまわず、
▲34馬! と銀を取る手。

▽37歩成り、▲同桂、▽47歩成り、▲同銀、▽46歩、▲同銀、▽49飛車 とすすむようだ。

では、46銀右急戦に対する ▽45歩 の 開戦はどうだろうか?
これには、 ▲57銀 と引くのが正着だ。

46銀右急戦の場合

以下、▽43銀、▲34歩、▽23飛(人間的には▽32飛車な気がするのだが…)、
▲66角、▽64角、▲18香、▽32銀、▲35飛 とソフトでは進む。

振り飛車にとっては、▽22角引きよりも、▽45歩 の開戦の方がわかりやすい感じはするかもしれない。

いかがだっただろうか。
46銀右急戦と46銀左急戦、右銀と左銀の違いで、仕掛けに結構な違いがあったことが分かった。
特に46銀左急戦(斜め棒銀)には、最善を尽くせば振り飛車良しになるような定跡が整備されていることがおわかりいただけたであろうか。
居飛車急戦側は少しの違いを意識して、急戦をものにしてほしい。










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