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芸能人YouTubeを半年間運用してみての感想

今年の春から半年間、とある芸能人YouTubeの制作運用をいくつか担当していました。対照的な結果となったので、学びとしてまとめます。

担当していたのは
・女性モデルA
・女性アーティストB

(※現在他社で運用されているので、具体的に誰かは伏せておきます)
TVでよく見る芸能人というよりは”インフルエンサー"の方が実態に近いと思います。

得意なジャンルを伸ばす

モデルAの場合、担当前はファッションやメイクに加え、「100の質問」「カバンの中身」「激辛メニュー」など、YouTuber定番の企画もやっていました。しかしクオリティや再生回数にバラつきがあり、何となく本人が「やらされている」不安感がありました。

そこで、ファン層の趣味嗜好を研究しつつベンチマークを定め、メイク、ファッションに特化しつつ、例えばユニクロや韓国といった、検索需要の高い企画に特化するようになりました。その結果、再生回数が安定するとともに、伸び悩んでた登録者数も増加傾向がみられ、広告案件の依頼も増えてきました。

モデルである彼女の得意分野を生かすことで、熱量が高いコンテンツが作れました。さらに、動画の内容がきっかけでモデルを務める雑誌でも特集ページが組まれるなど、波及効果もありました。

本人の"キャラ"と違うと熱量が上がらない

一方アーティストBの場合、こちらも担当前はモデルAと似たようなファッション系や定番企画をやっていました。もともとある番組がきっかけで登録者数を増やしていたので、どんな内容をやっても比較的再生回数は安定していました。

しかし、徐々に前のめりな姿勢になったモデルAと異なり、なかなか企画の軸が定まらず、本人の熱量があまり上がってきません。具体的には、自宅撮影はNG、忙しくて紹介できるネタがない、SNSで告知する回としない回があるなど…。

結局、本人に忖度するような”安パイな企画"をこなすに留まり、運営コストも増え、再生回数や登録者数も伸びませんました。

チャレンジできるか、しないか

今回の対照的な結果は、心理学における一種の"損失回避バイアス"も背景にあるのかなと感じました。

損失回避バイアス(損失回避の法則)
報酬よりも損失のほうを大きく評価する心理的傾向のこと。

アーティストBの場合、内容を選り好みしたり、チャレンジすることに消極的な姿勢を見せた点が、そのままYouTubeのあらゆる面に反映され、徐々に視聴者が離れる一因となった。

一方モデルAの場合は、自腹でファッションアイテムを購入して紹介したり、プライベートや過去のコンプレックスも"ダダ漏れ"に発信していったことで共感を集め、コメントや高評価を寄せてくれる太い視聴者を獲得できたと思います。

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テクニックも大事ですが、数字に一喜一憂せず、誰に何を届けたいか、ファンや市場が何を求めているか、常に向き合い続けることが、レッドオーシャンであるYouTubeの戦い方であることを実感しました。


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