"In the House in the dark of the Woods" Laird Hunt(Little, Brown)

 レアード・ハント 『森の闇の家』
(リトル・ブラウン・アンド・カンパニー)

 このおとぎ話をごちゃ混ぜにした作品は読者を夢中にさせる。
 一人の女性がベリーを摘みに森に入ったところ、絡み合う闇の原型の中に迷い込んでしまう。帰り道を探していると、魔女のような姿をした列に出くわし、身の毛もよだつ冒険に引き入れられる――巨大な虫の群れを避けたり、骨でできた船に乗って空を飛んだりする。
 ハントの小説は、グリム兄弟や開拓時代のアメリカのイメージといった要素を参照し、ただ広く深くなっていくだけの兎の巣穴の感覚や、謎に満ちているものの解くには足りないゲームを生み出している。
 本書の特筆すべき強みは、その魅力的で官能的な散文にある。空気は「黒いバターでできているよう」で、心は「燃えさかる部屋で叫んで」いる。

The NewYorker [November 19, 2018]

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