トレーシングレポート(服薬情報提供書)の書き方の考察
今更ながらですが、トレーシングレポートの書き方について考察してみました。
トレーシングレポート(服薬情報提供書)とは?
トレーシングレポート(服薬情報提供書)とは「即時性は低いが薬物療法の有効性・安全性に必須な情報を医師に確実に伝えるためのツール」です。患者さんからの聞き取り情報(アドヒアランス、残薬調整、複数病院受診、OTCや健康食品の服用)などを医師へ情報伝達して情報の共有化を図ります。
トレーシングレポートを書く目的は?
薬局薬剤師が患者さまから得た服用状況や服用期間中の副作用を含む体調変化などの情報を、処方医にフィードバックするために作成し、残薬調整や処方提案などに繋げていくものです。薬物療法の最適化だけでなく、真の治療目標(QOLの保持や寿命延伸)を念頭に解決策を検討し、情報提供します。
トレーシングレポートを作成するときの問題点
私自身がトレーシングレポートを作成するときに陥った主な問題点は以下の2つです。
文書作成が苦手
時間がとれない
問題点1|文書作成が苦手
「文書がまとまらない」、「相手に伝わっているのかと不安」、「そもそもどう書いたらよいのか分からない」いった不安があり、なかなか作成することができませんでした。
問題点2|時間がとれない
日々の薬歴や雑務に追われて、トレーシングレポートに向き合う時間がなかなかとれませんでした。
質を高めつつ効率的なトレーシングレポートの書き方の考察
先述した問題点を解決するために以下のことを試してみました。
レポートの目的別に「型」を使い分ける
文書作成のコツをつかむ
環境を変える
考察1|目的別に「型」を使い分ける
薬の減量や処方提案のような医師になんらかの対応を求めるときは「提案・依頼型を使います。相手に行動を起こしてもらうために薬学的知見に基づく依頼や提案が必要になります。
アドヒアランスが低い原因や残薬など、情報共有が目的で医師に対応を求めないときは「報告・情報共有型」を使います。薬剤師としての意見は控え、患者の訴えや事実、懸念を簡潔に書きます。
考察2|文書作成のコツをつかむ
できるだけ分かりやすい文書を書くために、できるだけ伝えたい情報を絞り込みフレームワークを意識して読み手の負荷を下げるような構成を心がけました。さらに説得力を増すためにガイドラインなどの根拠も添えてトレーシングレポートを作成しました。
考察3|環境を変える
環境を変えると思ったときに手に取った書籍が安宅和人さん著の「イシューからはじめよ」でした。この書籍で学んだことは「目先の必要度が低い仕事」にとらわれず、「本当にやるべきこと」に注力すること。「必要度の低い仕事」の質を高めるために時間を消費して、ドツボにはまっていくのが”犬の道”。努力と根性で”犬の道”を走り切るのではなく、最短距離で「必要度の高い仕事」にたどり着きたいと考えました。
薬局の仕事でたとえると在庫管理などは重要な仕事ですが、付加価値の高い業務ではなく、薬剤師が行う必要はありません。したがってシステムを使ったり非薬剤師に業務をお願いしました。現在は1日2回発注で合計5分以内に終わらせることが可能になりました。
薬歴の記載も重要な仕事ですが、薬歴の記載自体に付加価値は高くないと考えています(活用することは付加価値高し)。できるだけ効率的に記載する必要があるので、現在使っている電子薬歴のマニュアルを熟読して便利な機能を使いこなすようにしました。
調剤業務も機械をうまく活用知ることで時間の短縮と質の向上を実現することが可能ですが、調剤機器は高価なので経営判断次第では導入が難しいかもしれません。
もし私のnoteがあなたのお役に立てたのであれば、これほど嬉しいことはありません。