見出し画像

専攻長インタビュー!ビジュアルアーツ編

ビジュアルアーツの専攻長の萩原健一先生にインタビューを行いました!

──最初にビジュアルアーツ専攻について教えてください。

こんにちは。よく専攻の紹介文で「手法やメディアにとらわれない」みたいな言い方されるけど、逆にビジュアルアーツ専攻の学生はそれをどう受け止めて専攻選択したのか気になる。

「なんでもできそうだから」って理由を挙げる学生が多いけど、課題も自由なようで自由じゃないじゃないし、その「なんでもOKな専攻」っていうニュアンスとも違う気がしています。

──(学生A)うーん…私消去法で専攻選んじゃって…でもそういう人の受け口にはなっているんじゃないかって思います。

──(学生B)そういう面はあるよね…。私もなんか色々やってみたいなっていうのはあって、それまでは絵とかばっかり描いてたけど、3年生になって手法とかデザインとか素材とかに括られない方が自分が興味持ったものに手出しやすいかなって思ってビジュに入りました。

世の中には「ケーキ屋さんになりたい」「弁護士になって人助けしたい」みたいに、扱うモノとか手段から自分のなりたい職業を決める選び方があるね。それとは別に「仕事はしたいけど、その職業に名前がついてない」っていう働き方もあるよね。時代と共に増えたり減ったり。その名前の付いてない範囲を制作でやれるのがビジュアルアーツ専攻ぽいのかなと思ったりする。

その割に「ビジュアルアーツ」っていう割と具体的な専攻名を背負ってるね。専門性の高い学校みたいな。アニメーションとかイラスト描いたり、アートな立体やファッションショーの服作ってるようなキラキラした感じがするね。

──そうですね…。

一般の高校生たちは、そんな「ビジュアルアーツ」を想像してる生徒が一定数いるから。大学説明会でビジュアルアーツ専攻の説明していると「あれ!?なんかここちょっと違うぞ」ってキョトンとされたりする。戸惑った顔されたり。まあ、それが逆に快感なんだけど。笑
そんなキラキラネームを背負った、業のある専攻です。



──次は8期生の印象について教えてください。

ちゃんと大学に来てる人が多い。朝からこの人が工房いて、昼になったらこの人が来て、夕方くらいにこの人が来る、キッチンが活気付く、みたいな活動時間帯が大体決まってるじゃん。夕方に集まってくる蚊柱みたいな。大学での生活サイクルを制作と結びつけてやってるのが好きですね。自分のアトリエとしてのビジュ棟の使い方をしていて、すごくいいと思ったし、頼もしい印象。

──雰囲気はどうですか?

わかりやすい派閥がない?よね。例年だいたい2つ3つくらいの島に分かれそうだけど。全体がヌルッと一緒にいる。飴に群がるアリみたいな。

──さっきから馬鹿にしてますか?(笑)

全体のまとまりがあってよかったって言うと定型文ですが。そんな感じです。


──先生の学生時代のことについて聞いてもいいですか?

うーん…そうだね。グループワークで人と仲悪くなったりする感じでした。

──えっ、トラブルメーカーですか?

僕、22歳まで自分が誰よりも優秀だと思ってました。

──へえー!?

イタい学生です。(笑) どんなグループ課題でも僕のアイディアが一番だと思ってたから、それを押し通す。周りをそれに従わせるって発想しかなくて。

──ああ~。



すごい自信があったけど、制作は上手くいかなかった。そりゃそうだよね。(笑)
講評でも褒められず。作品もよく仕上がらなくて、、。自分達よりも、和気あいあいとしたグループの方が面白い作品発表して嫉妬したり。

それが何度も続いた時に。これは何だ?俺は天才じゃなかったのか!?ってヒリヒリしてくる。その時はグループ制作の利点とか全く気づけなくて。で、そのまま、人とじゃなくてコンピュータと友達になった。コンピュータは俺の言うこと聞いてくれる「最高」(笑) と思ってました。

──(笑)やばい。

Macを借金して買って。一人暮らしのアパートにインターネットも開通して。そっからもうどっぷり。

──そんな始まりだったんですね。

で、今で言うメディアアートの存在知って、、コンピュータを使って作品を作れるってことが。グループワークで失敗した僕にとって、もう残された可能性がここしかない感じだったから。
だから他大学の先生を訪ねて研究室に会いに行ったり、友達づてに紹介してもらって別の大学の助手部屋とかに機材相談行ったりしてました。
すごい教えてもらうのに飢えてた感じがする。知りたいことがいっぱいありすぎて。

──自分がトガってたなあってことを自覚したのはいつぐらいですか?

22歳の誕生日の時に、大学の編集室でビデオ機材を触ってたんだけど、ふと「おや?俺、結構、、天才じゃないのかも」みたいな…。天才以前に、何者にもなれない人間かもしれない、、みたいな、すごい怖さが急に来て。「あっ」てなった。

──徐々に、とかじゃなくて?

急にきたね。その日何かが崩れたのは覚えている。部屋で一緒にいた知人が「おまえ大丈夫?」って焼肉連れてってくれましたけど。

──へえー、かっこいい!
──主人公みたい。22歳の誕生日に。

大学では、あんまり褒められた経験なくて。ほとんどグループワークで作ったりするから、「こいつらが俺に何かした……」って人のせいにしてました。

──(笑)
──そこからどうしたとかありますか?そこに気付いてから。

他人の能力を尊敬するようになりました。その誕生日を境にすぐに切りかわったわけじゃないけど。(笑)
個人個人それぞれに能力があって、誰もが何かに特化している。グループワークのときに『全部を自分がやらなくていい』ようなやり方。『人の得意なものを引き出す』そして、他人を頼って、そこにパスを出す楽しさを覚えましたね。そういう制作の仕方に変えようって大学時代を経て気付けたのは、まあよかったかな〜。

──最後に8期生になにかありますか?
4年間あっというまだけど、卒業後も連絡とりあえる関係が築けるといいですね。

卒展の搬入中に意気投合したり、とか、会期中に急に仲良くなったり、どこで新しい繋がりが出来るかわからないので、最後まで楽しんでください。あとたまに僕の事も思い出してください。


──ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?