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子どもに、ママに、余裕がなくてごめんね

「ぐおぉ〜、もう会社も遅刻だ…!」
怒鳴りたい気持ちをぐっと堪えて、それでも漏れた言葉。

朝支度は、時間との闘いだ。
子どもを起こして、洗濯機を回して、朝食を用意して、食べさせて、そのすきに食パンをかじりながら自分の用意をすばやく済ませて、食器を洗って、洗濯物を干して、子どもの服を着替えさせて、妻を起こす。

もうこれだけで手いっぱいなのに、今日は「イヤイヤ期の息子に風邪シロップを飲ませる」という重労働が加わった。

案の定、全然飲んでくれない。
イヤ!とぼくの手を払う。
その拍子に、シロップがぼくの服にかかる。
ああ、服を着替え直さなきゃ…
シロップも飲ませなきゃ…
会社の始業に間に合わない…

朝からヘトヘトになるし、誰にも罪はないが、イライラもしてしまう。

息子を抱えるように家を出て、保育園に向かう。
余裕があるときは、花が咲いてるね、とか、珍しいクルマが通っているね、とか、話しかけるけど、今日は、何も話さなかった。

保育園の入口を抜けて階段を登り、2歳児クラスの部屋に連れて行き、先生に引き渡す。
事務連絡だけ先生に伝えて、足早に部屋を後にする。
階段を降りる前に、いつもはそんなことしないのだが、ふと後ろを振り向くと、息子が部屋からじっと、こちらを見つめていた。
はっとして、あわてて息子に全力で手を振る。

朝からバタバタして、ゆっくり話もせずに息子を預けてしまった。
その罪悪感と、息子が見送ってくれていた姿に、胸が締めつけられる。

うう、ごめんよぅ、ごめんよぅ。
ごめんよぅとは思うけど、きっとこれからも余裕なんてなくて、毎日バタバタと過ごすのだろう。
優雅にのんびりと子育てなんて、共働きの家庭ではムリだ。

そんなあきらめと、そのなかで息子にどう愛情を伝えていこうか通勤電車の中で考えていた。
ぐるぐるいろんなことを考えはじめて、過去をさかのぼり生後6ヶ月間を思い返すと、あのころはイヤイヤ期とは別の大変さがあった。

朝、突然ゲロを吐く。
え、なになに?どうした息子よ。
うーん、病院連れて行くか。
午前中の商談はどうする?間に合わないな…

そんな、急な体調変化に振り回されることが多かった。

息子の体調とは関係のないことでも、大変なことは多かった。
仕事と家事と育児で疲れ果てて夕飯の食器を洗えずに、朝もギリギリまで起きれず、食器を洗えずに家を出てしまったときに、妻から大激怒のメッセージが通勤中のスマホに届く。
もう、心身ともに限界なのに、なぜこんなキツい追い討ちメールを読みながら出社しなければならないのか…

それも、仕事のバランスが取れていなかったことが起因してもいる。
今なら仕事をセーブしたり、家事の分担を妻と相談したり、いろいろ考えられる。
でもあのころは、すべてが初めてで、ぼくも妻もいっぱいいっぱいで、相手を思いやる余裕もなかなか持てず、家が重い空気に包まれていた時期もあった。

未来のことはわからないけど、子どもが生まれてからずっと、その時々で環境は違うけど、常に何かに追われて、はじめての問題が起き続けて、余裕がなくなってイライラしたり子どもに冷たく当たってしまったりすることもあるんだと思う。

たぶん、大切なのは、自分を責めることじゃなくて、それよりも自分を立て直して、1秒でも多く、子どもに笑顔を見せてあげること、話を聞いてあげる時間をつくること、そういうことなんだと思う。

いま、帰りの電車で書きながら、家に着いたらぎゅっと抱きしめよう、そう思うパパなのでした。








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