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FP学習日誌(28) -生命保険を相続対策に

今日は学習カリキュラムから少し離れて、生命保険を相続争い(=争続)対策として利用する例をご紹介します。
* 日経新聞2021年5月1日(19面)を参考にしました。

<ケース>父が死亡、長男Aと弟Bが法定相続人、相続財産は自宅(4千万円)と預貯金(1千万円)。母はすでに他界しています。

父の遺言では、「自宅は同居している長男A、預貯金は弟に」とありました。しかし遺産分割の話になると弟は、1千万円だけでは不公平だと言い始め、追加で1,500万円の支払を求めました。

弟の要求である、預貯金1千万円に加えて1,500万円となると、いま住んでいる自宅を売却するしかありません。。。住むとこあらへん。。。これを回避するために、事前に父が生命保険に入っていたらどうだったでしょうか?

若いころに加入する生命保険では、夫婦それぞれを受取人とすることが一般的でしょう。そして本ケースでは、母(妻)はすでに死亡していましたので、その生命保険の受取人を誰にしておくか、という点が問題です。
「そうか、弟Bへの足りない分を補うために、弟を受取人にしておけばええんや!」と思いますよね。
しかしそうなると、弟Bは、生命保険金はすでに自分のものだとして、相続財産の預貯金に加えて、さらに1,500万円を要求してくるということが考えられます。やっぱり自宅売らなあかん。。。

したがってこのケースでは、母が死亡した時点で、受取人を長男Aにしておき、自宅を現金化しなくとも代償金を支払えるようにしておくことが必要です。
これ、弟の立場からするとまた不公平?と思われるかもしれませんが、兄なのか弟なのか、という点ではなく、不動産など流動性の低いものを相続する人を受取人にするというところがポイントなのです。

また、死亡保険金には非課税枠がありますので、それを利用して全体の相続税額を減らすということも検討の価値ありです。法定相続人一人につき500万円が非課税枠なので、本ケースでは1千万円までとなります。多額の相続税が発生するような場合に、先祖伝来の土地を泣く泣く手放すなどの状況を避けるためにも、納税資金として活用しましょう。

「相続税なんてお金持ちのもの」と思っているかもしれませんが、数年前に免税点が下がったことにより、たとえば都内に戸建てを持っているという程度で課税されるケースなども増えてきています。

争続や納税でせっかく建てたお家を売るのはもったいないですよね。もしいまの時点で将来相続税がかかることが予想されるのであれば、その預貯金を保険に切り替えて、相続対策を行うことを検討されてはいかがでしょうか。

※画像と本文は関係ありません。

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