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FP学習日誌(10) -生命保険の制度としくみ その4「約款」と「保険料の払込」など

久しぶりにFP学習に戻ってまいりました。今日はまず、生命保険の約款とは?です。
Web辞書によると約款とは「契約・条約などの取決めの、一つ一つの条項」とあります。一般的には、企業が不特定多数の利用者との契約を定型的に処理するためにあらかじめ作成した文章です。
みなさんもご覧になったことがあると思います。クレジットカードの申込書の裏面にびっしり書かれた小さい文字とか、Webでの商品購入申込みなんかで「同意する」の前に読まされるやつです。保険でも、契約したことのある方は見たことありますよね。「そんなんだれも読まんわ~」っていうやつです。笑
その約款から重要な部分を抜き出し、平易な言葉で解説したものが「ご契約のしおり」になります。生命保険契約においては、ご契約のしおりは、原則として定款・約款と合本になっていて、契約の申込時までに契約者に手渡されることになっています。

保険契約を成立させるには、保険料を払い込む必要があります。払込みには「月払」、「半年払」「年払」、「一時払」があります。
月・半年・年払はその名の通りです。月よりも半年、半年よりも年の方が、一般的に保険料は安くなります。
「一時払」というのは、加入の際に保険期間全体の保険料を一時に払い込む方法で、年払いに比べ保険料総額がさらに安くなります。なお、一時払いでは解約しても保険料は返還されません*。
その他「前納」という方法もあります。これはあらかじめ数回分の保険料を払い込む方法で、所定の割引率が適用されます。保険料払込の全期間分を前納する場合を全期前納といいます。
* 年払・半年払などの場合は、未経過保険料相当額は返還されます。
さらに特殊な支払方法としては、「ボーナス払併用」や「頭金制度(一部一時払)」などもあります。いずれも月払などに比べて保険料負担が軽減されます。

そして保険料の払込方法です。
- 集金扱
- クレジットカード扱
- 送金扱
- 口座振替扱
- 団体扱
といったものがあります。通常、集金が最も手数料が高いでしょう。クレジットカードはまだ取扱いが少なく、送金は銀行手数料がかかるので、口座振替が最も一般的なのではないでしょうか。
また、団体扱というのは、勤務先の会社などで給与天引きしてもらうことです。これは口座振替よりもさらに安くなりますが、人数要件等があります。

責任開始期とは?
責任開始期」とは、保険会社が契約上の責任を負う義務が開始する日を指します。つまり、保険金や給付金の支払が可能となるスタート日ということですね。
生命保険契約の責任開始期は、保険会社が契約の引受を承諾した場合、
申込書の提出 → 告知(診査) → 第1回保険料(充当金)払込 
のすべてが完了したときです。保険会社が保険の引受を承諾するかどうかを決定するには通常時間がかかるので、「告知」または「第1回保険料の払込」のいずれか遅い日に遡って、保険の支払責任が開始することになります。
ところで、火災保険の証書を見ていると、「令和x1年x月x日〇〇時から令和x2年x月x日〇〇時まで」のように時間まで指定されていますが、生命保険では上記の通り「日」単位となっています。これは火災保険は短期で更新するもので、生命保険は一般的に長期間に渡るものだから、ということなんでしょうね。

告知義務制度とは?
生命保険契約の申込に際して、契約者や被保険者は生命保険会社に対して、重要な事実を告げる義務、および重要な事項について不実なことを告げない義務を負います。これが告知義務です。健康状態や職業などの点で危険度の高い人が無条件に加入したりすることのないよう、契約者間の公平性を保ち、保険事業を適正に運営していくための制度です。
告知事項には、被保険者の現在の職業や健康状態のほか、過去一定期間の病歴等も含まれます。なお、保険法により、告知義務は、従来の自発的申告義務から質問応答義務へ変更されました。契約者または被保険者は、保険事故発生の可能性(危険)などに関する重要な事項のうち保険会社が告知を求めたもの(告知事項)について、事実などの告知をしなければなりません。すなわち、聞かれてないことは答えなくてよい、ということですね。告知の場面では、あまり余計な話はしない方がよいでしょう。「いやー、今日は寒いですね。ちょっと風邪気味で。。。」みたいなことから「実は持病の〇〇が」とかの話になるかもしれません。不実な回答はもちろんいけませんが、聞かれもしないことをあえて開示する必要はないかもしれません。
もし、契約者や被保険者が、故意または重大な過失により事実の告知をしなかった場合などには、告知義務違反となり、保険会社は契約を解除することができます。保険会社が契約を解除すると、解約前に保険事故が発生していても保険金(または給付金)は支払われず、すでに支払われていれば保険会社はその返還を請求できます。ただし、死亡原因等と告知義務違反の事実との間に因果関係がない場合は、保険金等が支払われます。ちなみにこの場合、支払った保険料は返還されませんが、解約返戻金があれば支払われます。なお次の場合には、保険法により、保険会社は契約を解除することができません。
① 契約の締結時において、保険会社が告知義務違反の事実を知り、または過失によって知らなかったとき
② 保険募集人が、契約者または被保険者が事実の告知をすることを妨げたとき
③ 保険募集人が、契約者または被保険者に対し、事実の告知をせず、または不実の告知をすることを勧めたとき

ただし、契約が、契約日または復活日**から2年を超えて有効に継続した場合、および保険会社が解除の原因を知ったときから1ヶ月以内に解除を行わなかった場合は、保険会社の契約解除権は消滅します。
** 復活日・・・保険料未払いなどにより保険契約がいったん失効した場合、所定の手続きにより復活の請求をすることができますが、その失効期間が終了した翌日のことです。(つづく)

※画像と本文は関係ありません。

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