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FP学習日誌(8) -生命保険の制度としくみ その2 「保険料」

今日は、保険料についてです。
ではさっそく保険料の仕組みについてから。
1. リスクと保険
保険とは、テキストによると「疾病や事故など同じようなリスクにさらされている多数の人々」が、「共有の準備財産を形成する合理的な経済準備」なのだそうです。なんのこっちゃ。
翻訳すると、個々人が、少額の負担金で、万一多額の損失を被った場合に必要となる多額の保障を得ることができるという仕組みです。まあ、このくらいのことは皆さん知ってますよね。改めて言葉にすると先のような表現になりますが、他にも「相互扶助の精神」や「大数の法則」に基づいて運営されている、とテキストにはあります。

2. 「大数の法則」
(1) 大数の法則と生命保険制度
Wikipediaによると「大数(たいすう)の法則」とは、確率論・統計学における基本定理のひとつで、たとえばサイコロの目を記録し続けていると、回数が増えれば増えるほど平均値の3.5に近づいていくというようなことだそうです。これを保険では、人間の年齢別死亡率に当てはめ、生命保険制度の基礎としているということです。

(2) 死亡率と生命表
死亡率」とは、ある年齢の人が1年間で死亡する割合(死亡者数÷年始の生存者数)です。ここで大数の法則を応用して、過去データから死亡率=保険事故の発生確率を求めて、将来の死亡率を見込むことができます。
その死亡率を基礎として、人の生死の法則を表にしたものが「生命表」です。これは男女別・年齢別に表示されています。

3. 収支相等の原則
「収支相等の原則」とは、個々の契約者が払い込む保険料の総額と、保険会社が支払う保険金の総額とが相等しくなることです。個々の契約者ベースでは、事故が起こらず保険料を払いっぱなしの人もいますし、逆に少額の保険料で多額の保険金を受け取る人もいますが、全体で見ると「保険料イコール保険金」となるということです。
実際には、保険会社は預かった保険料を運用するので、保険料+運用益=保険金、となります。また、保険会社の運営コストやインフレなど貨幣価値の変動もあるので、両者は必ずしもぴったり一致はしないでしょうが、これは原則の考え方だと理解してください。

4. 保険料計算の基礎
保険料は、予定死亡率、予定利率と予定事業費率の3つの計算基礎率に基づいて計算されます。
(1) 予定死亡率
性別・年齢別の死亡者数は、過去のデータをもとに生命表によって予測できるので、これをもとに将来の保険金支払いのために必要な保険料を算定します。このベースになるものを予定死亡率といい、予定死亡率が低ければ保険料は安くなります。
(2) 予定利率
保険会社に払い込まれる保険料の一部は、将来の保険金や解約返戻金の支払いに備えて積み立てられ、運用されます。保険料の算定に当たっては、この運用収益の分、あらかじめ保険料を割り引くことになりますが、その際に使用する利率のことを予定利率といいます。予定利率が高ければ保険料は安くなります。
(3) 予定事業費率
保険会社の運営に係る必要経費(事業費)をあらかじめ見込んで保険料に組み込むための割合のことです。当たり前ですが、予定事業費率が低ければ保険料は安くなります。

5. 保険料の構成
保険料=「営業保険料」は「純保険料」と「付加保険料」に分けられ、純保険料は「死亡保険料」と「生存保険料」に区分されます。
(1) 営業保険料
表定保険料または総保険料ともいい、契約者が払い込むお金のことです。
(2) 純保険料
営業保険料のうち、保険金支払いに充てる部分を純保険料といいます。純保険料は、予定死亡率と予定利率とを計算基礎として算出されます。
(3) 付加保険料
営業保険料のうち、保険事業の運営経費に充てる部分を「付加保険料」といい、予定事業費率を計算基礎として算出されます。
(4) 死亡保険料
純保険料のうち、死亡保険金支払いに充てる部分を「死亡保険料」といいます。死亡保険料は死亡率が高いほど高くなるため、一般的に日本では女性より男性の方が死亡保険料が高くなります。
(5) 生存保険料
純保険料のうち、満期(生存)保険金支払いに充てる部分を「生存保険料」といいます。生存保険料は生存率が高いほど高くなるため、一般的に日本では、死亡保険料と逆で、男性より女性の方が生存保険料が高くなります。

6. 責任準備金
責任準備金とは、保険会社が将来の保険金等の支払いに備えて、保険料の中から積み立てるもので、保険業法により積み立てが義務付けられているものです。これは解約時に受け取る解約返戻金の原資でもあります。

ここまでが本日、保険料についてでした。次回は「配当金」についてです。(つづく)

※画像と本文は関係ありません。

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