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FP学習日誌(11) -生命保険の制度としくみ その5「保険料が払えない。。。」

保険料の払込猶予期間
前回の最後で「復活日」について注書きをしましたが、そのこととこの「払込猶予期間」には深い関係があります。保険契約を有効に継続するためには、当たり前ですが期日までに保険料を払い込む必要があります。しかし、何らかの都合で遅れてしまうこともありますよね。。。その場合、契約はすぐに効力を失うのではなく、保険会社は一定期間待ってくれることになっています。これが「払込猶予期間」です。細かいルールは割愛しますが、猶予期間は、保険料の払込方法(回数)によって定められています。概ね1ヶ月程度、という感じでしょうか。払込猶予期間中に保険事故が起こった場合には、未払保険料を差し引いて保険金や給付金が支払われることになります。

払込猶予期間を過ぎても保険料の払込がない場合は、契約は効力を失います=「失効」となります。
しかし、いったん失効した契約でも、一定期間内であれば「復活」することができます。一般的には3年以内などに、被保険者の告知書を提出し(または診査)、失効している間の滞納保険料をまとめて払い込むことが必要です。場合によってはその間の利息も支払わなければなりませんが、そうすることによって元の保険料のままで復活することができます。

ちょっと話が戻りますが、何らかの理由で保険料の支払いが困難になった場合には、「(自動)振替貸付」という制度があります。
個人的には、支払が困難になるような保険契約は分不相応なものだと割り切って、解約してしまう、もっというとそもそも契約しないことをお勧めしますが。。。まあ人間うっかりということもあるので、こういう制度があるのは助かりますね。
契約によりますが、この(自動)振替貸付がある場合には、猶予期間を超えてもすぐには保険は失効しません。(自動)振替貸付は、その時点の解約返戻金の範囲内で保険会社が保険料を立替えて契約を有効に継続させる制度です。ただし、解約返戻金が少ないときはこの制度が使えず、契約が失効してしまう場合もあります。貸付を受けた場合は、会社所定の利率による利息を支払う必要があり、元利合計は複利で計算されます。
参考まで、いまある保険会社のサイトで利率を見てみたところ、2.85%でした。5.75%というところもありますね。まあさほど高くないな、と思うかもしれませんが、複利はこわいですよー。泣
この貸付金と利息はいつでも全部または一部を返済することができ、また契約消滅時に未返済部分があった場合には、その際精算されることになっています。
ちなみに、この貸付を受けた保険料についても、年末調整や所得税申告時には「生命保険料控除」の対象となります。

また、同じく保険料の支払が難しい場合には、払込を中止して契約を有効に継続する、次の2つの方法もあります。
① 払済保険
保険料の払込を中止して、その時点の解約返戻金をもとに、元の契約と同じ種類の一時払の保険(または終身保険や養老保険)に変更する方法です。この場合、一般的に保険期間は変わらず、保険金額は元の契約の保険金額より小さくなりますが、減額された水準での保障は続きます。
② 延期(定期)保険
保険料の払込を中止して、保険金額を変えず、その時点での解約返戻金をもとに一時払の定期保険に変更する方法です。解約返戻金の額によって、保険期間が元の契約期間より短くなる場合には、その期間満了をもって契約は消滅し、もとの契約期間を超える場合には元の保険期間にとどめ、満了時に生存保険金が支払われます。
まあいずれの場合も、同じ元手(解約返戻金)で、別の商品に乗り換える、ということですね。簡単にいうと①は保険の規模自体を小さくして調整、②は期間を短くして調整(商品選定によっては長くなる可能性もあるけど)、という感じですね。そしていずれの場合も、変更前に付加されていた各種特約は消滅します。

さらに、保険料とは関係なく一時的に何か現金が必要になった場合には、「契約者貸付」として、解約返戻金を担保にして保険会社から貸付を受けることもできます。
また繰り返しになりますが、わたしは、保険というのは余裕資金で将来に備えるものという考え方なので、ものすごくベーシックなものを除けば、貸付を受けるくらいなら解約を、と思っています。しかしこれも、やむを得ない場合には有効活用できるかもしれませんね。
貸付金の限度額は、その時点の解約返戻金の一定範囲内(通常8-9割)で、保険種類や加入経過年数によっては利用できない場合もあります。貸付を受けた場合には、もちろん利息を払う必要があり、これもまた複利です。
自分の預けてるお金の範囲で借りて、それになんで利息払わなあかんの、それも複利で!と怒り心頭ですが(笑)仕方ありませんね。
貸付金と利息はいつでも全部または一部を返済することができ、これも契約消滅時に未返済部分があった場合には、その際精算されることになっています。

それからお金が必要になったときは「配当金の引出し」という手段もあります。配当の受取方法が積立であれば、請求すればその全額または一部をいつでも引き出すことができます(一部の個人年金保険ではNG)。ちなみにこの配当金は、いったん引き出すと、再び元に戻すことはできません。(つづく)

※画像と本文は関係ありません。

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