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FP学習日誌(27) -損害保険の制度と仕組み その5 賠償責任保険等

5. 賠償責任保険等
偶然な事故によって他人の身体または財物に損害を与え、法律上の損害賠償責任を負った場合に、それによって被る損害を填補する保険です。被害者の救済とともに加害者を保護する機能を併せ持っており、消費者の権利意識の高まりもあってニーズが高まってきています。
賠償責任の発生原因はさまざまなため、それぞれのリスクに適合した「特別保険約款」と「普通保険約款」を組み合わせて契約します。
なお、賠償責任保険では、契約者または被保険者の故意による賠償事故は免責となっています。

(1) 個人向け賠償責任保険
個人が、居住する住宅の管理および日常生活において生じた偶然な事故により他人の身体または財物に損害を与え、法律上の損害賠償責任を負うことによって被る損害に対して保険金が支払われます。また、応急手当等の緊急措置費用や訴訟費用も補償の対象となります。
ただし、一般的には、職務の遂行に基因する賠償事故、自動車運転中の賠償責任、借り物・預り品に対する賠償責任、地震・噴火・津波を原因とする損害については、保険金支払の対象となりません
被保険者には本人(記名被保険者)のほか、その配偶者、本人または配偶者と生計を共にする同居の親族および別居の未婚の子が含まれます。
例としては、自転車での歩行者との接触事故や店の商品を落として壊してしまったとき、飼い犬が他人にかみついてケガをさせた場合、などが挙げられます。

(2) 生産物賠償責任保険(PL保険:企業向け)
製造もしくは販売した商品などの欠陥等に伴って生じた偶然な事故により、他人の身体または財物に損害を与え、法律上の損害賠償責任を負うことによって被る損害に対して保険金が支払われます。
損害保険金のほか、争訟費用・応急手当費用等が支払われますが、欠陥製品の回収・修理・交換費用等は補償されません。なお、補償の対象となるには製造日は関係なく、保険事故の発生日が保険期間内であることが必要です。

(3) 施設所有管理者賠償責任保険(企業向け)
工場・店舗などの各種施設の所有・使用・管理又はその施設における仕事の遂行に伴って生じた偶然な事故により、他人の身体または財物に損害を与え、法律上の損害賠償責任を負うことによって被る損害に対して保険金が支払われます。

(4) 請負業者賠償責任保険(企業向け)
建築工事・土木工事の請負による仕事の遂行または遂行のための施設の所有・使用・管理に伴って生じた偶然な事故により、他人の身体または財物に損害を与え、法律上の損害賠償責任を負うことによって被る損害に対して保険金が支払われます。

(5) 受託者賠償責任保険(企業向け)
他人から受託した財物を保管中に、火災・盗難・取扱い上の不注意等により他人の財物に損害を与え、法律上の損害賠償責任を負うことによって被る損害に対して保険金が支払われます。

(6) その他の企業向け保険
① 労働者災害総合保険
被用者が、政府労災保険等の対象となる業務上の災害を被ったとき、事業主が法定外補償(法定給付の上乗せ)によって被る損害および使用者としての法律上の損害賠償責任によって被る損害に対して保険金が支払われます。
政府労災の上乗せとして位置づけられる保険で、「法定外補償保険」と「使用者賠償責任保険」の2つがあります。
② 動産総合保険
動産について、保管中・使用中・輸送中すべての偶然な事故によって生じた損害を担保するオールリスク担保方式(免責事由を除く)の保険です。ただし、火災保険・自動車保険・運送保険・船舶保険等の対象になる動産は、この保険の対象にはなりません。
その他、③機械保険、④建設工事保険、⑤火災利益保険、⑥会社役員賠償責任保険(D&O保険)などがあります。(つづく)

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