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FP学習日誌(18) -第三分野の保険その2 「ガン保険・特約」「生前給付保険・特約」など

2.ガン保険・特約
(1) ガン保険
① 保障内容の概要
ガン保険とは、保障の対象をガンに絞った保険です。ガンと診断された場合には診断給付金が支払われます。死亡保険金については、ガンを原因とする場合とガン以外の病気を原因とする場合があり、死亡保険金のないものもあります。
ガンによる入院給付金は初日から支払われ、一般的に支払日数に限度がないのが特徴です。ただし、通常、契約から3ヶ月または90日の免責期間があります。この免責期間中にガンと診断確定されたときは保障の対象とならず、保険契約は無効となります。
② 保障期間
保障期間には、定期タイプと終身タイプがあります。終身タイプのガン保険には、所定の年齢等で保険料の払込が満了する有期払込みと、払込が一生涯続く終身払込みがあります。
④ 近年の動向
ガンの中でも上皮内ガンは、治癒率が高いことからガン保険の保障対象外とされてきましたが、近年は、保障対象とするガン保険も増えています。がん以外の病気を保障する医療特約や、ガン以外の特定疾病も保障する特定疾病保障特約が付加できるガン保険もあります。また、過去にガンが発病したことのある人でも所定の条件を満たせば加入できるガン保険も、一部保険会社で販売されています。なお、近年は、ガンに対して有効とされながらも
他にも、先進医療特約付きのガン保険や、ガンと診断されたときに支払われる診断給付金、および退院後の治療給付金を手厚くしたガン保険や、これらの保障を主契約とするガン保険なども登場し、多様化が進んでいます。

(2) ガン入院特約
ガンを原因として入院した場合に入院給付金が支払われます。保険会社によっては、診断給付金や手術給付金、死亡給付金等が支払われます。

3.生前給付保険・特約
(1) 特定(三大)疾病保障保険
① 特徴
死亡・高度障害のときの給付に加えて、特定の重度の疾病に罹って所定の条件を満たした場合に、生前に死亡保険金と同額の保険金が支払われる保険を生前給付保険といいます。特定(三大)疾病保障保険は、ガン・急性心筋梗塞・脳卒中の三大生活習慣病に罹った場合に備える生前給付保険です。
② 特定(三大)疾病保険金の支払要件
・ガン・・・初めてガン(悪性新生物)に罹患したと診断確定されたとき
・急性心筋梗塞・・・初診日から60日以上所定の状態が継続したと診断されたとき(狭心症は除く)など
・脳卒中・・・くも膜下出血、脳内出血、脳血栓、脳塞栓などとなり、初診日から60日以上所定の後遺症が継続したと診断されたとき
③ 保険契約の消滅
特定(三大)疾病保険金を受取ることなく、その他の原因を含めて死亡または高度障害になった場合には、それぞれ死亡保険金・高度障害保険金が支払われます。特定(三大)疾病保険金、死亡保険金、高度障害保険金のいずれかが支払われると、保険契約は消滅します。
④ 指定代理請求制度
被保険者本人が特定(三大)疾病保険金を請求できない特別な事情があるときには、あらかじめ指定された指定代理人が請求することができます。

(2) リビング・ニーズ特約
① 特徴
被保険者が、医師の診断の結果、余命6ヶ月以内と認定された場合に、原因にかかわらず、死亡保険金の範囲内かつ会社所定の金額(一般的には1~3千万円)の範囲内で前払請求ができる特約です。
② 特約保険料と支払額の関連性
リビング・ニーズ特約を付加するための保険料は必要ありません。請求した保険金額から6ヶ月分の保険料と利息相当分を差し引いた金額が支払われます。
③ 保険金支払以降の取扱い
リビング・ニーズ特約により死亡保険金の一部が生前に支払われた場合、支払われた死亡保険金に対応する保険料の分だけ以後の支払保険料が少なくなります。なお、死亡保険金の全額が生前に支払われた場合、保険契約は消滅します。
④ 指定代理請求人制度
被保険者本人がリビング・ニーズ特約保険金を請求できない特別な事情があるときは、あらかじめ指定された指定代理請求人が請求することができます。指定代理請求人は1名ですが、保険事故発生までは変更することができます。

(3) 就業不能保険
被保険者が病気やケガによって働けない状態となった場合、毎月給付金が支払われます。必ずしも入院が必要なわけではなく、保険会社が定める就業不能状態に該当すれば支給の対象となります。商品によっては、うつ病などの精神疾患も対象となります。

4.介護保障保険・特約
(1) 介護保障保険
公的介護保険が40歳以上を対象として介護サービスの利用料の一部を給付するのに対して、民間の介護保障保険では、要介護状態(認知症や寝たきりなど)となったときに、介護一時金や介護年金などが支払われます。介護保障保険の中には、公的介護保険の要介護認定の区分と連動しているものもあります。一方で、公的介護保険とは異なり、40歳未満でも加入できるものや、被保険者が所定の状態となったときには以後の保険料の払込が免除されるものもあります。終身タイプの介護保障保険では、保険料の払込期間に、一時払、有期払込、終身払込があります。

(2) 介護特約
介護のみを保障するタイプと、1つの特約で介護と死亡を保障するタイプがあります。後者では、介護と死亡の保険金額(年金額)が同額でいずれか一方のみが支払われることになっており、所定の要介護状態で保険金(年金)が支払われると死亡時には支払われません。

5.保険料払込免除特約
三大生活習慣病、所定の要介護状態などになった場合、以後の保険料払込が免除される特約です。その他、重度慢性疾患や所定の身体障害状態についても保険料払込が免除されるものもあります。

第三分野の保険についてはここまでですが、最後に「職域の個人向け商品」として次の2つを紹介します。
1.団体定期保険(Bグループ保険)
法人の従業員等が勤務先を通じて任意に加入する定期保険です。契約者を法人、被保険者を従業員等とする1年更新の団体保険で、個人で同様の保険に加入するよりも保険料が割安になっています。多くの場合、加入時は簡単な告知のみで医師の診査は行わず、保険料は従業員等の給与から天引きとなります。
わたしの以前の勤務先では、保険料を会社が負担して原則全員が加入していました。これは上記のBグループ保険に対して「Aグループ保険」と呼ぶようです。死亡等の場合の保険金の受取人も会社ですが、保険金の半額を遺族等に弔慰金として支払うといった内規(慶弔規定)を設けていました。会社にとっても保険料が経費計上できるため、福利厚生スキームとしても有効なものでしょう。

2.財形保険
「勤労財産形成促進法」(財形法)という法律があるんですね。知りませんでした。「国民経済の健全な発展に寄与すること」が目的だそうです。
この財形法に基づく財形制度の下で、勤労者の財産形成を目的として国と事業主が援助しています。保険料は、勤労者(契約者)の給料等から天引きされ、事業主を通して保険会社へ払い込まれます。財形保険には、「勤労者財産形成貯蓄積立保険」、「財形住宅貯蓄積立保険」、「財形年金積立保険」の3種類があり、いずれも保険期間中に不慮の事故により災害死亡保険金・災害高度障害保険金の支払対象となる場合は、払込保険料累計額の5倍相当額の保険金(および積立配当金)が支払われます。

以上ここまでが各商品の紹介でした。次回は「リスクマネジメントと生命保険設計」です。
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